転生赤龍帝のマフィアな生活
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四十六話:開戦&開戦
前書き
今回は全部三人称で書きました。
それでは本文どうぞ。
三勢力会談に襲撃しに来ていた『禍の団』の魔法使い達は焦っていた。当初の予定であれば
ハーフヴァンパイアの神器を暴走させて警護の者達を無力化する手はずだったのだが肝心のハーフヴァンパイアを捕えに行った仲間からの連絡が突如として悲鳴と共に途絶えたのだ。
さらには、そのことに危機感を覚えた仲間が増援に行こうとしたところで突如現れた緑の雷撃により殺されてしまったのだ。誰かは分からないが自分達の行動がばれていることには間違いがない。だからと言ってこのまま引き下がるわけにもいかない。ばれたのならばれたで力押しをすればいい、こちらには大量の仲間がいる。そう思い、魔法陣から姿を現し校舎に向かおうとする。
すると―――彼等の体はバラバラに切り落とされていった。
それを見た後ろの者達は理解不能の事態に恐れをなし統率を失い我先にと逃げだそうとする。
しかし、そんなことが許されるはずもなく空を再び緑の雷撃が彩る。そして、哀れにも撃ち落とされた魔法使い達をまるで焼却炉で焼くかのように赤い炎が待ち受ける。
そして、その惨劇を引き起こした二人組はいつもの事とばかりに何でもないように話し合う。
「あーあ、折角苦労してあんな高い所にワイヤー張ったのに大して悲鳴を上げてくれないんじゃ面白くねーな」
「ボスからの命令を達成できればそれでいい」
「むっつりおやじには聞いてねーよ」
「なぬっ!?」
先程、魔法使いの体がバラバラに切り落とされていったのはベルフェゴールの張ったワイヤーのせいである。そして雷はむっつりおやじことレヴィの仕業である。そして地面で落ちて来る死体を焼却しているのはベルの匣である『嵐ミンク』である。因みに二人はレヴィの匣である
『雷エイ』の上に乗り空を飛んでいる。
そしてそんな二人がこの惨劇の犯人だと気づいた何人かの魔法使い達が二人に襲い掛かって来る。
「ふん、いいだろう。このレヴィ・ア・タンの必殺技の餌食にしてくれる」
「んじゃ、俺は良い悲鳴を上げてくれそうな奴らでも探してくっか、うしし」
ベルが『雷エイ』から飛び降りるのを確認すると同時にレヴィが自分の武器である雷傘を取り出す。そして『雷エイ』の能力により何倍にも増幅させた己の炎を一気に放射する。
「SUPER・LEVI・VOLTA!」
雷傘から強力な電撃が放たれ哀れにも歯向かってきた魔法使い達を食らい尽していく。
そして運“悪く”それから逃れられた魔法使い達にはそれ以上の恐怖が待っていた。
ナイフが躍るように舞い、少しでも動けばワイヤーによって自分の体が切り裂かれる。そうして動けない様にされてからジワジワと切り刻まれて殺されていく。そしてより大きな悲鳴を上げられるようにベルは決して喉は切り裂かない。
「うしし……もっと断末魔を聞かせてくれよ」
無邪気なまでの残虐な笑みを浮かべながらベルは、ゆっくりと獲物を切り刻みながら断末魔の悲鳴を上げさせていく。レヴィとベル、どちらに殺された方がいいかは本人達次第である。
ところかわり、こちらでは校舎の中に侵入してきた敵を始末している二人組が居た。
スクアーロとルッスーリアである。スクアーロの剣が煌めいたかと思えば鮮血が舞い散り死体が積み重なっていく。貪欲なまでに敵を斬っていくその姿はさながら血に飢えた鮫である。
一方のルッスーリアといえば向かって来る敵を男限定でその体つきを査定しながら殴り殺していく。そのため、ルッスーリアの周りには敵が近づこうとしていない。そのことに不満げな声を上げながらもルッスーリアはなおも敵を屠っていく。
「もぉー、ディフェンスなんて退屈よー。性に合わないわー」
「ゔおおおい! 死にてえ奴からかかってこい! 心臓を切り刻んでやる!
俺はスクアーロ! スペルピ・スクアーロだあああっ!」
「あら、スクアーロったら、最近ボスから本気で名前を忘れられたからってはしゃぎすぎよ」
「ゔおおおい! それを言うんじゃねえええええ!」
ボスから本気で名前を忘れられていたのが実はスクアーロの最近の悩みであった。普段から自分に対してぞんざいな扱いをするボスであるが名前を忘れているのは流石に許せなかった。基本的に『カスザメ』としか呼ばれないのだが最初の頃はまだ、書類などにはきちんと本名で書いてあった。
しかし、最近では書類にまでカスザメと明記されていたので本名で書けと文句を言いに行ったら気まずそうな顔で目を逸らされたのだ。そこで本気で忘れたために『カスザメ』と明記していたことを察したのだ。道理で最近部下が書類を読み上げる時に自分とボスを交互に見て脂汗を流していたわけだ。自分の面子とボスの面子どちらを立てるべきかで板挟みになっていたに違いない。因みにその部下は現在、胃潰瘍で入院している。
「ああああっ! 思い出しただけで腹が立ってきたぜええええっ!
てめえらで気晴らしさせて貰うぜえええ! 鮫 特 攻!」
怒りの叫び声を上げながら敵に向けて一直線に剣を高速で振るいながら周囲のもの全てを切り刻みながら特攻するスクアーロ。それに巻き込まれた敵はなすすべなく肉塊へと変わり果てていく。その過程で校舎も無残な形になっていくがスクアーロは気にしない。
というか、そんなことなど考えていない。暗殺部隊でありながらこの部隊には派手に暴れる人間が多いのだ。そもそもボスであるイッセーがこそこそとやらずに一撃で敵のアジト事消し飛ばすのだからそんな事を気にする隊員は新入りぐらいのものなのだ。
「あら、あなたいい体しているわねー。八十点よー。あなたはダメ、二点!」
そんなスクアーロを眺めながらルッスーリアは再び敵の体の採点を始める。
ルッスーリアは何を隠そう死体愛好家である。朽ち果てて冷たくなった動かない肉体に美しさを見出しているのだ。その為良い肉体があれば殺してから持って帰ってコレクションにするのだ。しかし幸か不幸か分からないが今回は中々ルッスーリアのお眼鏡にかなう肉体は出て来なかった。
まあ、出て来ようが出て来まいが待っているのは死だけなのだが。
さらに場所は変わり屋上になる。そこには一人の少女と一人の背の高い青年が佇んでいた。
少女の名前はブルーベル。そして青年の名前はこの惨劇を生み出した張本人である、ヴァリアーのボス、兵藤一誠である。そしてそれを見つけた魔法使い達はよせばいいのにも関わらずに襲い掛かって来る。
「カス共に身の程を教えてやれ」
「りょうかーい! ちゃっぷーん☆」
『雨ショニサウルス開匣』
イッセーの命令に従いブルーベルが匣を開匣するとブルーベルの姿に変化が起こる。下半身がショニサウルスの姿になり、全身に雨の炎を纏う。因みに上には何も着ていないがギリギリのところで髪に隠れていて乳首は見えない。そのことに歯ぎしりをしている紳士がイッセーの精神世界に居たことをブルーベルはもちろん知らない。
魔法使い達は様々な魔法を二人に撃ち込んでくるがそれらは全てブルーベルが展開した巨大な雨の炎による防御壁による防がれていく。そのことに業を煮やした魔法使い達はその防御壁を壊そうと突っ込んでくるがそれこそがブルーベルの狙いである。接近した相手を自身が纏っている純度100%の雨の炎のプールの餌食にすることこそがこの『クラゲ・バリア』の真骨頂なのである。そして分子レベルで動きを止められた敵の末路は一つだけである。それは―――死。
ブルーベルは動きの止まった敵にアンモナイトの殻をぶつけて爆殺していく。
その顔はただ遊ぶ子供の様なあどけなさを残しているだけで人を殺すことになんの戸惑いなどなかった。
「俺もやるか……カストカゲ」
『了解した』
『Welsh Dragon Balance Breaker!』
イッセーの呟きに答えドライグはその力を開放する。赤き光が迸り、イッセーの手に二丁拳銃が創り出される。その二丁拳銃の銃口はドラゴンの口を象った形になっており、銃の背にはドラゴンの棘の様な装飾が施されている。それはイッセーのもう一つの禁手の姿―――
『龍 帝 銃!』
『赤龍帝の二丁拳銃』の禁手に当たるこれは二種類の特徴を持っている。
まず一つ目は―――
「目障りな蠅共だ……一匹残らずカッ消えろ!」
イッセーが片方の銃から巨大な龍の形を模した憤怒の炎を撃ちだす。その炎は未だにうじゃうじゃと空を飛んでいた魔法使い達を食い殺すように向かっていくが相手はそれを見て避けるので全てには当たらないように見えたが―――
「……散れ」
イッセーのその言葉に従い、瞬間的に何体もの龍に“増殖”して辺りに散っていき一瞬でその近くにいた魔法使い達を全て消し去ってしまう。そう『龍 帝 銃』一つ目の能力とは複数の死ぬ気の炎を混合させることだ。今回は憤怒の炎と雲の炎を混合させて多種多様な技を使える雲の炎での攻撃を最も威力の高い憤怒の炎で成し遂げたのだ。
そして二つ目の能力は二丁拳銃であるが故の能力だ。本来であれば禁手であっても一度倍加した力を放出してしまえば一から倍加しなおさなければならない。しかし、この禁手においてはそんなことはない。二丁拳銃は別々に分かれて倍加を行っているのだ。片方がリセットしても、もう片方では残っているために同時に打ち出さない限りは交互に連射していればその出力を落とすことはほぼない。
「まだまだ、いるじゃねえか……俺のストレス発散の為に消えな!」
イッセーはニヤリと笑い引き金を引いた。
旧魔王レヴィアタンの血を引く、カテレア・レヴィアタンは茫然としていた。
今回の襲撃で魔法使いと共に新魔王派である憎きサーゼクスやセラフォルーをオーフィスから譲り受けた蛇の力を使い討ち取るつもりだった。しかし、ふたを開けてみればどうだろうか、魔法使い達は訳も分からない人間達に一方的に虐殺されていき新魔王派がいるであろう会議室に転移してみればまるで罠かのようにそこは既にもぬけの殻で誰もいないのだ。そんな様子に立ち尽くすカテレアに突如声がかかる。
「よお、負け犬」
「あなたは!?」
カテレアを負け犬と呼び現れたのはヴァリアー幹部を従えた兵藤一誠だった。カテレアはその人物が外で魔法使い達を皆殺しにしていた人物だと分かり思わず狼狽してしまう。
そんなカテレアの様子を見たイッセーはくだらなさそうにフンと鼻を鳴らし。自らの匣であるベスターを呼び出した。
「お友達がいなけりゃ何も出来ねえ負け犬がクーデターなんざ笑えるな」
「我々を侮辱するとは許しませんよ! 下等な人間風情が!」
「貴様! ボスに無礼な口を!」
イッセーの言葉に激高したカテレアが見下したような発言をするのをレヴィが我慢できずにカテレアを殺そうと前に出るがイッセーはそれを腕で制す。そしてあざ笑うような顔を浮かべながら再びカテレアに話しかける。
「その下等な人間風情に今から殺されるてめえはなんだ? ドカスか、いや、ゴミ以下の存在か」
「貴様っ!」
「そもそも、あの甘ったれた魔王共のお情けで生きている様な負け犬どもが上に立とうなんざ考えるんじゃねえよ。カス共は黙って従ってりゃいい。従わねえカス共は―――カッ消えろ!」
その言葉を引き金にしてヴァリアー幹部たちが次々に匣を開匣していく。
そして全員の匣がベスターを中心に共鳴するかのように光始める。これは高度な知能を持つアニマル匣にのみ出来る連携『匣間コンビネーションシステム』だ。雨、嵐、雷、晴の炎がベスターに溜められていく。
そして晴れの炎によりそれらの炎が増幅しさらに威力を高めていく本来であれば互いに打ち消し合う特性もあるのだが大空の特性である調和により絶妙な状態で力を上げている。それを見たカテレアは蛇を使い魔王クラスにまで引き上げた強力な魔力でイッセー達を消し飛ばそうとする。
が、イッセーはそれを鼻で笑うだけである。
「魔王クラスの力を受けてみなさい!」
「笑止……やれ、ベスター」
「GAU」
カテレアの飛ばす強大な魔力弾を前にしてベスターは今まで蓄えていた力を咆哮として一気に放射する。
『X・VARIAN・ROAR!』
五種類の炎を纏った咆哮は、カテレアの魔力弾を一瞬にして呑み込み、すぐに驚愕の表情を浮かべるカテレア本人も消し飛ばし、そのままの勢いで会議室ひいては咆哮の前にあるもの全てを破壊しつくして校舎をボロボロにしてからようやくその威力をおさめた。
イッセーはそんな様子に満足し、幾分かのストレスは発散できたと思い満足げに笑った―――
その瞬間後ろからとてつもなく冷たい声が聞こえてきた。
「こんなに校舎をボロボロにして……駒王学園の校舎を破壊した罪は重いよ。
いくらイッセー君でもタダじゃ許せないわ」
「イ、イリナ……か?」
ギギギとまるでブリキ人形の様に後ろを振り向くイッセーの顔は引きつっており、イリナの恐ろしさを十二分に理解しているスクアーロは顔面蒼白で振り返っていた。
振り返った先に居たのはイリナの形をした修羅だとイッセーは真剣にそう思った。
その余りの気迫に気圧されたのかそれぞれのアニマル匣達は主人を見捨てて匣の中に自主避難をしてしまったが主たちはそれを責めない。むしろ、代わって欲しいと思うほどだ。
それほどまでに今のイリナは恐ろしい。
イッセーはここから何とか避難しようと一歩後ずさるがその瞬間自分達を取り囲む様に鉄格子が生えてくる。
「飛んで火にいる、咬み殺される―――袋の鼠!」
イッセーの胃はまたストレスで悲鳴を上げ始めた。
後書き
罠にかかったのはカテレアじゃなくてイッセーですww
イリナちゃんがミカエルさんにO☆HA☆NA☆SHIして場所を移動してもらいました(´・ω・`)
イリナさんがラスボスww
まあ、改造人間もちゃんとでるけど。
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