カジノ王
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第四章
「ホテルに博打以外の遊び場、まあ風俗店とかバーとかレストランとかな」
「そうした店もか」
「用意してか」
「人もな、御前等がそうした場所で働いて」
そして、というのだ。
「風俗店はそうした仕事の姉ちゃん達呼んでな」
「その呼んで雇う金もか」
「そうした金も用意してきたのか」
「そうさ、あと宣伝費用もな」
ジェロニモはこちらの予算のことも忘れていなかった、そうしたことも全て頭の中に入れて稼いできたというのだ。
そしてだ、こうも言った。
「全部稼いできた、それでな」
「店開いてか」
「宣伝もしてか」
「そうしていくぜ、いいな」
「何か徹底してるな」
「そこまで考えてるんだな」
「そこまでしないと誰がこんな場所来るんだよ」
ジェロニモは友人達にこうも言った。
「こんな辺鄙な場所にな」
「この居留地にか」
「そうおいそれとか」
「俺達はアメリカ人であってアメリカ人でないだろ」
ネイティブだからだ、ジェロニモはここでもこう言ったのである。
「居留地に押し込められて飼い殺しだ」
「その飼い殺しだからか」
「飼い殺しの立場だからか」
「こんな辺鄙な場所に入っていて」
「押し込められているからか」
「その俺達がこんな場所にいるからな」
それで、というのだ。
「どうにかしてのし上がってせめてでもいい暮らしをする為にはな」
「そこまでしないとか」
「駄目か」
「これがラスベガスにでもいたら違うさ」
彼もいたアメリカだけでなく世界のギャンブルの聖地なら、というのだ。
「普通に店開いて宣伝すればいいさ」
「けれどこの居留地で店を開くとなると」
「そうしないといけないならか」
「ああ、そこまでしないとな」
それこそというのだ。
「駄目なんだよ」
「俺達の立場ならか」
「それでこの居留地にいればか」
「そこまでしないとか」
「駄目なのか」
「これがアフリカ系ならヒスパニックならな」
所謂アメリカでマイノリティーと呼ばれている差別されることも多い立場の人間でも、とだ。ジェロニモは彼が見ている現実を話していった。
「ここまでしなくていいさ」
「あの連中でもか」
「そこまではか」
「ああ、いいんだよ」
まだそこまではというのだ。
「連中は他の場所から来た『本来の』アメリカ人だからな」
「『本来の』か」
「アメリカ人か」
「奴隷あがりにしても他の国から来てるだろ、アフリカ系も」
その彼等にしてもというのだ。
「騎兵隊やガンマン、カウボーイとして俺達のご先祖様とやり合ってきたしな」
「連中もアメリカ人」
「俺達と違ってか」
「正真正銘のアメリカ人だから」
「御前が言うまでしなくていいんだな」
「さっき言ってそこで成功すれば済むんだよ」
ラスベガス等で新しい店を開いて繁盛させればそれでいいというのだ、『本来の』アメリカ人が成功しようと思えば。
「連中はな、しかしな」
「俺達が居留地にいてのし上がるにはか」
「本当にそこまでしないと駄目か」
「飼い殺しから出るには」
「そこまでしないとか」
「そう思うからな」
だからだというのだ、そしてジェロニモは友人達にこうしたことも言った。
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