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お金

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第四章

「休日は八時間勤務だし」
「そうして働いてるから」
「もうお金が貯まって貯まって」
 まさにお金を愛してやまない人間の言葉だった。
「しかもね」
「しかも?」
「しかもっていうと?」
「いや、働いてると」
 このこと自体についてもだ、南は言うのだ。
「働いてるっていう実感があって」
「それもなの」
「いいの」
「そうなの、中学校の時は部活してたけれど」
 バレー部だった、小柄だがそれでも楽しんでいたのだ。
「その時とはまた違った」
「充実感があるの」
「そうなの」
「そうなのよ、この充実感がよくて」
 それで、というのだ。
「毎日ね」
「充実している」
「そうなのね」
「何かをしていると違うって」
 こうもだ、南はクラスメイト達に話した。
「お母さん言ってたけれど」
「実際になの」
「そうなのね」
「そう、アルバイトはじめてよかったわ」
 本当にというのだ。
「ただ学校に行くのとは違うわ」
「そこまで言うのね」
「アルバイトをはじめてよかったって」
「そういう風に」
「実際にそうだからね、ただ学校に通って帰ってじゃお金は貯まらない」
 ここでもお金のことを言うことは忘れない、その辺りはやはり生粋の守銭奴でありお金好きだ。南の南たる由縁だ。
 しかしだ、今の彼女はそれだけではないのだ。
「アルバイトもするとよ」
「それで、またなのね」
「違うのね」
「そのことがわかったわ」
 アルバイト、それをはじめてというのだ。
「疲れても心地よいっていうかね」
「そうした充実感がなのね」
「あるのね」
「そうなのよ、だから今とてもいい感じよ」
「ううん、お金だけじゃない」
「そうなのね」
「やっぱり働いてこそよ」
 それこそというのだ。
「私そのことがわかったわ」
「じゃあこれからも」
「働くのね」
「そうしてお金を稼いで」
「充実感もなのね」
「そうしていくわ、アルバイトってお金を稼ぐだけじゃなかったのよ」
 最初は稼ぐことだけを考えていたがそれでもというのだ。
「そうしたものもなのよ」
「手に入れる」
「そうなのね」
「そう、だからこれからも」
 それこそというのだ。 
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