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ソードアート・オンライン~十一番目のユニークスキル~

作者:りんまろ
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唯一無二の不確定因子
  第二十四話 生存

 
前書き
題名のまんまです。 

 
「・・・・・・夢ですか・・・・・・少し眠ってしまったようですね」

 浅い眠りから覚めたアリスが目を開けると、先刻まで見えなかった月が登っていた。アリスは、その月を一瞬眺め、もう一度目を閉じた。まるで、思い出を噛み締めるかのように。

 ――――懐かしい夢でした・・・・・・あの時は毎日が刺激的で本当に楽しかった。後になって、リオンが攻略組の一人だって知った時はびっくりしましたね、ほんとに――――

 再び、ぽたぽたと涙が滴る。

「ああ。駄目ですね・・・・・・もう生きていることが辛い・・・・・・また失ってしまった。大切だと思う人ほど、すぐ私の前から消える・・・・・・もう嫌だ・・・・・・」

 アリスの心が黒い何かに覆われていく。そして一つの単語が心に浮かんだ。




 自殺




 彼女の心は、もう限界まで追い詰められていた。後一歩踏み出せば、戻ることができないギリギリのところまで。
 そこまで来て、アリスが踏みとどまることができていたのは、幻想を抱いていたから。もしかしたら、という、叶うことがない願いを持ち続けていたから。
 だが、それは所詮幻想。脆く、儚いもの。夕日が沈んだ時点で、彼女を引き留めていた鎖は壊れてしまった。後は闇に落ちていくだけ――――と思われた・・・・・・

「アリス!!!!」

 その声が、彼女の心を再び繋ぎ止めた。声がした方へ、アリスがゆっくりと振り返ると、そこには無二の親友の姿があった。
 それは最後の鎖。アリスを絶望の淵から引き上げることができる最後の希望であり、可能性。



「ア・・・・・・スナ・・・・・・・・・・・・」



 ◆◆◆



 ――――きろ・・・・・・


 声・・・・・・?


 ――――起きろ、理音


 ・・・・・・誰だ? わからない・・・・・・でもどこか聞き覚えがあるような・・・・・・


 ――――あの場所で待っている。手遅れになる前に早く来い


 手遅れ・・・・・・? あの場所・・・・・・? 何のこと――――


 突然視界がホワイトアウトした。



 ◆◆◆



「う・・・・・・」

 気が付くと俺は、薄暗い森の中に横たわっていた。ひとまず、身体を起こして辺りを見渡す。全く見覚えのない景色だ。

「ここは、どこだ・・・・・・いや、それ以前にどうして俺は生きているんだ・・・・・・」

 記憶が正しければ、俺はPoHとライトとの戦いの後、死んだはずだ。アリスたちを救うために無茶をした俺は、HPが0になって、あの世界から去った。視界にもYou are deadと表記されていた。なのにどうして・・・・・・
 その時、一つ疑問が湧いてきた。ここはまだSAOの中なのか、ということだ。俺はその疑問を解消すべく、右手を振る。すると

「出た・・・・・・」

 鈴を鳴らすような効果音とともに、紫色に発光する半透明の矩形が現れた。これで確定だ、ここはまだSAOの中である。だが、同時に謎は深まるばかりである。この世界ではHPが0になれば、こちらでも現実でも退場することになる。それは絶対の理のはずだ。だが、俺はこうして生きている。

「とりあえず、みんなに生きていることを報告しよう」

 不可解なことがいくつもあるが、まずはそれが先だ、と思った俺は、メールを作成し始めた。
 最初に送るのはアリスだ。一番最初に送らなければ殺されるだろう、と俺は、簀巻きにされて湖に落とされた過去の出来事を思い出した。とりあえず、帰ったら何かやられるのは確定だな・・・・・・と遠い目をしながらメールを送ろうとした。

「あれ?」

 メールが送れない(・・・・)・・・・・・。

「どうゆうことだ・・・・・・」

 もう一度送信しようとするが

 error

 この五文字が表示される。俺は、この時点で嫌な予感を感じ始めた。
 続いて俺は、メールを送れないならばと、メニューの中からアイテム欄をタッチし、無数の項目の中から《転移結晶》を選択して、オブジェクト化させた。

「頼む・・・・・・転移、<アルゲード>」

 俺は祈るように青い結晶を強く握りしめた、が、いつまでたっても転移は始まらない。

「転移!<アルゲード>!!」

 もう一度転移結晶を掲げ、叫んだ。
 だが――――

「やっぱりダメか・・・・・・」

 転移結晶はウンともスンとも言わなかった。
 メールが送れない時点で、そんな予感はしていた。第一、俺がこうして生きていることがおかしいのだ、何かしらのバグが起きていても不思議ではない。

「これはまずいな・・・・・・」

 それでも俺は焦りを感じずにはいられない。連絡手段がないのだから。つまり、誰にも自分の安否を伝えることができない。
 アリスたちは恐らく俺が死んだと思っているはず。それがどれほど彼女らを傷つけているか。
 それに、一番心配なのはアリスだ。俺が死ぬ間際に聞いた彼女の声は、今にも泣きだしそうなほど震えていた。多くの人は知らないが、強気な口調と見た目に反して、アリスの心は繊細である。ただ、弱い自分を人に見せようとしていないだけ。

 だからまずい。前に一度、彼女は仲間を目の前で失ったことがあるのだ。その時のアリスは本当にひどかった。俺とアスナの二人で、ギリギリ落ち着かせることができた。だが、今回はアスナしかいない、キリトもいるが、少し心もとない上、唯一頼りになりそうなユージオは、今彼女のそばにいない。
 なら、俺がとるべき行動は一つだ。

「一刻も早くここから脱出する」

 早くしなければ、手遅れになる。一秒でも早く生存していることを伝えなければ、と決意し、立ち上がった時だった。
 索敵に反応があった。背後に一人のプレイヤー。

「誰だ!?」

 俺は素早く振り返り、唱える。

「アルキミア・アーマメント!!」

 白銀のオーラが自身を中心に、らせん状に立ち昇る。同時に、俺は反応があったところを睨んだ。
 しかし、相手の姿を確認した途端、俺は脱力してスキルを解除した。その理由は知っている顔だったから。少し前に、とあるクエストをクリアしに行ってくると言って、一時的に別れを告げた俺の親友。

「ユージオ・・・・・・」

「リオンなのかい・・・・・・?」

 俺は十秒ほどかけて、目の前の亜麻色の髪をした少年の姿を見続けた。あちらも俺のことを、目を点にして見ていた。束の間の沈黙、先に破ったのは、なぜか、表情をひどく歪めたユージオだった。

「どうしてリオンがここにいるんだい? まさか・・・・・・僕を追ってきたのかい?」

 そうゆうことか・・・・・・どうして怒ったような表情を浮かべているのか疑問だったが、今理解した。
 ユージオは、俺が心配のあまり、追いかけてきた、と思っているんだろう。
 彼は俺が死んだことを知らないのだから無理もない・・・・・・ならまずは誤解を解こう。

「いいや、誤解しないでくれ。そんなバカなことはしない」

「じゃあどうして?」

「俺もよくわからない、けどユージオがここにいることから、ある程度検討はついた」

 ユージオは首を傾げ、実に不思議そうな顔をする。そんな彼に、俺はさっきまでの出来事を全て話した。

「僕がいない間にそんなことが・・・・・・」

 納得してくれたようだが、相変わらず顔は優れない、恐らく、その場にいなかったことに対する自責の念、そして何よりアリスが心配なのだろう。だが、彼を励ましている時間はない、一刻も早く俺が生きていることを伝えなければならないのだ。

「・・・・・・ユージオ、落ち込んでいるところ悪いが、俺を黒いコンソールとやらが、あるところに連れて行ってくれ」

 要件を素早く伝える。ユージオがいてくれたのは本当に助かった。彼は一度、この場所から、黒いコンソールを使って、アリスたちがいる場所へと帰ってきているのだから。
 しかし、物事はそううまくいくものではないと、俺は知ることになる。

「それはできない」

「できない・・・・・・? なんでだ!! アリスが心配じゃないのか!?」

 俺は予想に反し、首を横に振るユージオに怒鳴った。どうして彼がそんなことを言うのか、深く考えずに。

「心配に決まっているだろう!! でもね、できないものはできないんだ!!」

 一瞬、俺は彼の鬼気迫る迫力に気圧されてしまった。その間に、彼は一旦深呼吸してから、こう続けた。

「怒鳴ってごめん・・・・・・でも無理なんだ・・・・・・だって――――」

 彼の話を聞き終えた瞬間、思考が停止したような感覚に襲われた。

「嘘だろ・・・・・・それじゃあ一体どうすりゃいいんだ」








 そう呟かずにはいられなかった。
 それだけ衝撃的なことを、彼は口にしたのだ。














 ――――だって、黒いコンソールはもう消滅してしまったんだ



 
 

 
後書き
二十五話目です。やっと、リオン君をかけた。回想やらなんやら長かった(><)

では、話に入りますが、伏線らしいものをはってたので、こうなることを予想していた人はいるんじゃないかと思います。というよりも主人公が死んだら話おしまいですしwww
まあそれでもこの世界がなんなのかー?って疑問もあると思うので、後々書いていきます。

それで本題ですが、ちょうど書きたいとこまで書いたので、一旦こちらを休んで、二話くらいもう一つの方を書き進めます。それから戻ってくるので、次、こちらの更新がいつになるか不明です・・・・・・
加え、忙しくなるので、また間が空くと思いますが、ご了承くださいm(><)m

出来る限り頑張りますので!!

感想、指摘お待ちしております。 
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