ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~
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番外:世界の割り込み
前書き
ユキ君所のGGO編後のもう一人のダークの話です。
『ジリリリリッ!!』
「うっせぇ……」
目覚まし時計を砕き、俺はベッドからのそりと起き上がる。
「……クアアアアッ」
あくびを一つすると、下に降りて飯を作る。
今日の飯はピザトーストにサラダと言う簡易的な物だ。
「んー……良い匂いが……」
それに反応したかの様に、寝ぼけた真夜美が起きてくる。
俺は少し苦笑すると、真夜美に言う。
「おーい、寝ぼけて無いで覚醒しろ」
「んー……」
未だに寝ぼけているので、俺はピザトーストを口に、真夜美の横を通る。その肩にはショルダーバック。
「あー、今日俺出掛けてくるから昼は適当に作れよ」
「んー……」
のそのそとリビングに入る真夜美を見て、俺は外へ出る。
(……本当の意味での人間体で出掛けるのは久しぶりだよなぁ)
俺はそう思うと、シャドウチェイサーの方へ足を向ける。
『……zzz』
AIなのに寝ている妖精姫ミリアネスを写している画面を見ると、俺はため息を一つ吐く。
「ミリィ、起きろ」
ツンツンと画面を叩くと、ミリアネスが覚醒する。
『はっ!?ね、寝てませんよ!?』
「比叡かお前は……。出掛けるからエンジン掛けろ」
俺は再びため息を漏らそうとするのを押さえ、エンジンが掛かったシャドウチェイサーを動かし、自宅を出た。
†††
時間は十時四十五分。
腹が鳴ったので、近くのマッグのドライブスルーに寄る。
「いらっしゃいませー!!」
元気の良い声が俺の鼓膜に響く。
因みに、神格を失っても、暫くはその影響があるらしい。
「ご注文は御決まりですかー?」
「じゃあ、ビックマッグのセット。飲み物はコーラで」
「分かりましたー!ビックマッグセット1!コーラ1!」
威勢の良い声が響き、クルーはお釣りを返してくる。それを終えると、お待ちくださいと言って、何処へ消えた。
「……ハァ、飯を少なめにしたのが仇になったなぁ」
『この調子じゃ、あの子もさぞかし不満でしょうねー』
ケタケタと笑うミリアネスを見て、俺は少し落胆する。
(……そう言えば、真夜美に何かしてやったっけか……?)
今更の様に、俺は思い出す。
向こうでもそうだが、ここでも何時も真夜美と、その半身であるミヤビに助けてもらっていた。
つまり、借りが多く積まれて要るのだ。まぁ、本人は余り気にして無いようだが。
「……それじゃ、俺の気が収まらないなぁ……」
ハァ……と、ため息を付くと、クルーが現れ、ビッグマッグセットを俺に渡してくる。
「ありがとうございましたー!」
俺はドライブスルーから出ると、その場で食べる。
「モグッ……俺が真夜美に出来る事なぁ……はむっ……アイツ、万能だし、やること無いよなぁ……ズズッ……」
『……アンタ、意外と考えてるのね』
「意外とは余計だ!」
俺が叫ぶと、空間が突然割れて、そこから怪人ーーー主にロイミュード達が現れた。
「ロイミュード!?それにドーパント達まで!?」
俺は咄嗟に空間を開けようとしーーー神格を返上したのを思い出す。
俺はもう神では無く、一般人にしか過ぎない。ベルトさんも居ない、仲間も居ないーーーー打つ手無し。
「それでもッ!」
怪人と戦うのは仮面ライダーの使命で在り、定め。俺はすぐにシャドウチェイサーから降りると、ロイミュード達に向かう。
「テメェラァアアアアッ!!」
先頭のボルトロイミュードを蹴るが、異に返さない様に俺を吹き飛ばす。
「グアッ!!」
「……おや、これはこれは。彼が言っていた力の元はこの人でしたか」
「何……ッ!?」
俺はボルトロイミュードを見て、言う。
「どういうことだ……答えろ!!」
「どうしたもこうしたも……我らが主が、貴方の力を頂いたのですよ」
「力を……ーーーーまさか!?」
俺はそれを聞くと、あの腐れ闇神を思い出す。いや、一応本人で在るには代わりは無いが、俺は<未来と今の>狭間にいる俺だ。つまり、別の時間枠に存在する筈“だった”と言えば、解るだろうか。
「……あのユキモドキの野郎が闇神の力を同質化した訳か!!」
「だとしたら?しかし、貴方には関係のない!!消えろ!!」
ボルトロイミュードらの一撃が俺に浴びさせられる。
「っーーーーー!?」
付いてねぇ。真面目に。
俺はその時思った。
だがしかし、同時に俺はチャンスと取った。
「……へっ。ザマァねぇな彼奴。けどま、それでハッキリしたぜ」
俺はリングを付けると、地面に叩き付ける。
叩き付けると同時にアースによって電気が無惨し、俺の前に一本の刀が現れた。
紅い刀身を持つ、彼女の希望の刀。
そして、それに呼応するように、<未来>と<今>の狭間から一つの武器が転送される。
白き刀身、黒き銃口、白と黒のタワーシールド。
「神機<白夜><極夜><極白王>」
その名を呼ぶと、気高き声が響き、辺り一帯を全て『極白の世界』へと誘う。
「な、にっ!?」
「……テメェラに世界を犯させはしない」
地面に刺さっていた刀を抜くと、『刀身が燃えて』ロイミュード達に襲い掛かる。
「燃えろ、『緋桜』」
「うわぁあああっ!!」
吹き荒れた炎はロイミュード達に襲い掛かり、その体を燃やす。
「な、何だ!?この炎、消えねぇ!?」
ビースト・ドーパントが言うと、俺は<ヴォーパル・ストライク>の姿勢を取る。
「……その炎は神火汚れの無い聖なる火。ーーーー業を持つテメェラにお似合いだ」
そして、放つ。
「弾ぜろ、深紅の劫火!<深紅撃>!!」
心意技<深紅撃>。
その一撃は槍となってロイミュード達を吹き飛ばし、黒い物へと変えていく。
「ーーーー慈悲はねぇぞ?俺の力を奪った奴も居るみてぇだし、それに今、すっごい苛ついているんだよねぇ?」
顔では笑ってても、目は笑っていない。
未来で在ろうが過去で在ろうが今で在ろうが。
<神>としての『自覚』とその『力の意味』を一番に理解している。
この翔夜は本物に近く、また本物になれなかった『異形存在』。
その名も『聖神 シャイニングウイング』、聖皇剣を持つ、“もう一人の闇神”。
「さぁ、元の所へと消えてしまえ!!」
神機、バスターブレード<白夜>が飛んで来ると、それを掴んで振るう。
途端、残っていた過半数が、白夜に呑まれた。
「ーーーーは?」
呑まれた者達は自分がどうなったかも分からず消える。
「アサルト<極夜>!」
レイジングロアに似た銃身を向けて弾丸を放つと、それに当たった奴等もまた、暗き暗黒に侵食される。
「シェアアアアッ!!」
残った者達が翔夜に攻撃を放つが、
「タワーシールド<極白王>」
黒と白のタワーシールドに阻まれ、それらが反射されて消滅していく。
「馬鹿な……!?」
「悪役は悪役らしく」
そして、翔夜は剣形態に戻した神機を黒い獣の牙を模した物を出して。
「綺麗サッパリ掃除されろ」
残った怪物達を、一斉に捕喰した。
†††
夜
「……こんな物か」
俺は真夜美の家に行き、血だらけになっている家を綺麗にしていた。
勿論、全て手作業だ。染み付いている奴とかは、流石に無理が在ったので、自前の大工スキルを使って同じ様な物を作った。
「これで、喜んでくれると良いなぁ……」
俺は彼奴の喜ぶ所が見れればそれで良い。今の俺は唯の一般人だ。
神の俺に手を貸すことなんて一つもーーーー。
「ーーーーって、俺なんだから助けないとかな。けど、物語に介入するのは結構面倒なんだよなぁ……」
俺は溜め息を付くと、シャドウチェイサーに乗り込む。
「ミリィ。次元転送装置のリミッター解除しろ。異次元飛ぶぞ」
『どういう風の吹き回し?』
「ーーーー『今の』俺を助けに行くのさ。ライトを失った俺には、もう出来ることは無いが、それでもーーーー彼奴の物語を終わらせる訳には行かない」
俺はそう言うと、シャドウチェイサーを飛ばす。
「カウント三秒前」
『次元転送装置、リミッター解除し!!』
途端、幾つものワープゲートを通り、俺は異次元へと飛んだ。
後書き
勝手に済みません!!ご迷惑で無ければ此方のダークも使って下さい!!
次回もお楽しみに!!
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