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ウォーボンネット

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第四章

「どうにも」
「それがな」
「寂しいな」
「どうにも」
「他にも欲しいな」
「何かな」
「格好いいのが」
 こうぼやきもしていた、だが。
 選手の一人が自分達の方の観客席を見てだ、目を瞠ってだ。
 そのうえでだ、他の選手達に言った。
「おい、見ろよ」
「んっ、どうした?」
「何かあったのか?」
「あそこにネイティブの兄ちゃん達がいるぜ」
 観客席を指差しつつの言葉だった。
「あそこにな」
「んっ?あれはスー族か?」
 別の選手がその指差された方を見て言った。
「ネイティブの」
「ああ、昔の西部劇とかでな」
「出てたな、ああいうの」
「騎兵隊と戦ってな」
「嘘つかないとか言うんだよ」
 他の選手達も言った。
「何でここにスー族がいるんだ?」
「居留地から遊びに来てるのかね」
「あの格好でか?」
「今更白人やっつけろとかじゃないだろ」
「頑張れ!」
「我々がついているぞ!」
 だがここでだ、そのスー族の戦士、ウォーボンネットと皮の服それに斧と盾で飾った二人が言ったのだった。
「雄々しく戦え!」
「正々堂々と!」
「我々の様に!」
「勇ましく!」
「強く!」
「そして勝て!」 
 選手達に対して言う、ここでだ。
 選手の一人がだ、二人のスー族の戦士達そのウォーボンネットで飾っている彼等をよく見て気付いたのだった。
「あれアクセント兄弟じゃねえのか?」
「あの歴史学科のか」
「あの兄弟か」
「ああ、そうじゃないのか?」
 こう言うのだった。
「スー族じゃなくてな」
「応援しに来たのか、俺達を」
「そういえば二人共いつも応援に来てるしな」
「それでか」
「今回も来てくれてか」
「応援してくれるにしても」
 選手達はその二人を見つつ話していった。
「あの格好になってか」
「スー族になって」
「それでか」
「応援してくれるんだな」
「さあ、進め!」
「勝利を手にしろ!」
 二人はまた選手達に言った。
「我等の様に!」
「雄々しく戦え!」
「全く何やってんだよ」
「また面白いこと考えたな」
 選手達はその二人を見て苦笑いになって呟いた。 
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