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ドリトル先生と学園の動物達

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第七幕その七

「僕はね」
「日笠さんにもなんだ」
「お声かけないんですね」
「いいと思うけれどね、あの人なら」
「性格いいですし美人さんですよ」
「お料理も出来てね」
「しっかりした人じゃないですか」
 つまり奥さんに相応しいというのです、先生にとって。
「だからと思うけれど」
「やっぱりですか」
「日笠さんにもお声かけないんだ」
「このままですね」
「結婚する気はあるよ」
 先生にとってもというのです。
 ですがそれでもです、やっぱり先生は奥手で。
「けれど声をかけることは僕にはね」
「ほら、そこでそう言ってね」
「前に出ないから駄目なんですよ」
「一歩進み出したら」
「また違いますから」
 このことには強く言う王子とトミーでした、ですがそれでもなのでした。
 先生の奥手さは変わりません、次の日日笠さんとお会いしてもです。
 完全にお仕事としてです、周りにいる動物達も王子やトミーと同じく困ってそのうえでなのでした。
 王子達と違いです、やれやれとなって言い合います。
「先生らしいね」
「うん、女の人に会ってもね」
「イタリア人みたいにはしないね」
「紳士ではあるけれど」
「サラさんにも言われているのに」
「結婚したいって言うのに、自分でも」
「相変わらずだね」
 奥手であることにやれやれとなるのでした。
「お仕事もあるのに」
「それで収入もあるし」
「先生みたいないい人いないのに」
「これだけいいもの持ってるのにね」
「先生だけが動かない」
「肝心の本人が動かないと」
「どうにもならないのに」
 本当にやれやれとなって言う彼等でした、ですが。
 日笠さんは彼等のお喋りを耳にしてです、先生に怪訝な声で尋ねました。
「あの、この子達は何と」
「はい、まあ色々と話しています」
「お喋りをしているんですか」
「僕のことで」
 そうしていると日笠さんにお話します、まさか先生に日笠さんに声をかけないことはどうかと言っているとは言えないので。
「何かと」
「そうですか、彼等の言葉で」
「お話しています」
「先生は動物の言葉がおわかりになられるのでしたね」
「はい」
 その通りとです、先生は日笠さんににこりと笑って答えました。
「教えてもらいましたので」
「教えてもらったのですか」
「この子にです」
 ポリネシアを手で指し示して言うのでした。
「そうしてもらいました」
「それで動物の言葉も理解出来るのですか」
「そうなりました」
 まさにというのです。
「そして喋れるようにもなりました」
「そうなのですか」
「誰でも言葉がわかって喋れるようになります」
「教えてもらえばですね」
「知れば誰でもです」
 それこそどんな人でもというのです。 
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