ソードアート・オンライン~十一番目のユニークスキル~
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唯一無二の不確定因子
第二十二話 思い出(前編)
前書き
もうホント更新不定期ですよね(笑)まあ許してください><(笑)
「リオン・・・・・・リオンですね。私の名前はアリスです、こちらこそよろしくお願いします」
「アリスか! りょーかい!! にしてもかっちかちの敬語だね。さっきはあんな子供みたいな声あげてたのに」
リオンと言う少年は、いたずらっ子のような笑みを浮かべて、私をからかってきた。初対面なのにホント馴染みやすい人だなと、思いながらも反論する。
「これは癖なんですからしょうがないじゃありませんか。それにそのことは忘れてください!!」
「いやー、それは無理かな! こんなお堅い雰囲気からは想像もできないくらいかわいい姿もしてたし、絶対忘れん! 記録結晶に永久保存だよね」
私は彼の手を見た途端、背中から汗が流れたような気がした。彼の手には黒色のクリスタルが握られていたのだ。それには見覚えがある。確か、情報屋とかがよく持っていたはず。そう。あれは写真をとるためだけの専用のクリスタルだ。それが意味するのは。
「リオン・・・・・・まさかあなたそれで写真を・・・・・・?」
「おう、もちろん!!」
とても爽やかな笑みが返ってきた。よし殺ろう。私は心の中でそう決意して、腰からゆっくりと剣を抜いた。恐らく今の私の顔は彼以上に、爽やかな笑みを浮かべているだろう。
「いや、おい、待て・・・・・・アリスさん、なんで剣を握りながらそんな最高の笑顔してるんですか?」
「大丈夫です。ここは圏内ですので死ぬことはないでしょう」
「いやそうゆう問題じゃ、ってうお、あぶねっ!! 本気かよ!!」
彼は冗談めかした言い方で叫ぶと、初撃を後ろに跳んで避けた。私はそれを追って、剣をふるい続ける。だが・・・・・・
――――当たらない!?
そう。攻撃がことごとく避けられるのだ。むしろ余裕すら見える。
手加減はしていない。当たっても不可視の障壁に阻まれ、相手にダメージを与えることがないため、本気で剣を振っても大丈夫なのだ。だが、その攻撃が当たらない。仮にも私は最前線に身を置いているため、剣速には自身がある。閃光と言う二つ名を持つアスナにも、アリスの剣は鋭いし早いよね~、とも言われているくらいだ。だがこの男は、空に浮かぶ葉のようにヒラリヒラリと私の剣を避け続ける。
次第に私は、むきになって、三本のピックを取り出して投げた。胴体目がけて、一本、足に向かって二本。すると、やっと彼の口から、げっ!! という声が聴けた。
足に投げた二本は、避けられたが、胴体に向かって投げたピックは、彼にヒットし、少しノックバックした。相手の身体が崩れる。ようやく隙ができた、私はそこを逃さず、思いっきり踏み込んで剣をフルスイングした。
「やあっ!」
短い気合いとともに振るった剣は、リオンに思いっきりクリーンヒットした。紫色の閃光。爆発にも似た衝撃音。そのまま彼は、バシャーーン!! と、盛大な音を立てて湖に落ちた。私はそこまでやって、あっ! と思ってしまった。仮にもさっき出会ったばかりの人である。なのにむきになって本気になった挙句、湖に叩き込んでしまった。もしかして怒ってしまったのではないかと、私は少し心配になり、彼が落ちた湖のほとりまで近づいた。
「す、すみません!! つい本気になってしまって・・・・・・その・・・・・・大丈夫ですか?」
「アハハ! まあ大丈夫、大丈夫!! それよりちょっと岸に上がりたいから手を貸してくれー」
心配は杞憂だったようだ。むしろさっきよりも楽しそうな表情を浮かべていた。ホッと胸を撫でおろしながら、私は彼に手を伸ばす。だが――――
バシャーーン!!!
と再び盛大な音が辺りに広がった。バサバサ! っと鳥が飛び立つ音が聞こえる。一瞬私はなにが起きたのかわからなかった。だが、すぐに湖に落ちたことに気付く。いや、落とされたと言ったほうが正しいだろう。上から非常にムカつく高笑いが聞こえてきた。
「油断したな、アリス!! 最後の最後で爪が甘い。ガハハハハハ!!」
前言を撤回しよう。どうやらこの男に心配というものは必要がないらしい。ならばこちらにも考えがある。私はアイテムストレージを開いて、ある物を取り出す。そして、それをいつの間にか岸にあがっていた彼の足元へ投げて、自分は湖に潜った。数秒後、耳に響く嫌な音とともに、それは爆発した。
「ぐうぉぉぉぉぉぉぉおお!! 耳が耳がーーーー!!!」
私が再び湖から顔を出すと、そこには耳を押さえながら、もだえ苦しむ奴がいた。それを見て、私は悠々と岸にあがり、彼の横に座った。
「そっちの爪の方が甘いようですね、リオン。私の勝ちです」
「くっそ!! 最後のあれはなんだ!? 卑怯だろぉ!!」
私は自分でもわかるくらい楽しげな笑みを浮かべた。最後にリオンの足元投げたのは、音爆弾という圏内専用の、遊び道具のようなものだ。投げると凄まじい音と一緒に爆発する。他にも色々とあるので、まだまだ彼と勝負はできる。なので
「自分の手札を明かす馬鹿はいませんよ。秘密です」
そう言うと、彼はクソーと言いながら顔を私の反対側に向けた。
気づけばもう日は沈んでいた。時間を忘れるくらい楽しかったのだ。こんな遊んだのは久しぶりだ。ほんといつ以来だろうか。デスゲームが始まって以来ではないだろうか。本当に楽しかった。しかも、それが初対面の男だなんて驚きである。しかも、心の中のわだかまりもいつの間にかなくなっていた。
「ありがとう、リオン」
自然とその言葉が出ていた。色んな意味でありがとう。恐らく意味がわからないだろうなと、言ってから気づいた。だが、彼はそのお礼に対し、小さくボソッと呟いた。
「どんな状況でも、楽しむ心は必要なんだよ」
「・・・・・・え?」
私の思考が数秒止まった。そして、様々な考えが交錯するところで、
「ほら、俺はもう帰るぞ、アリスはどうするんだ?」
彼は立ちあがって笑う。私の思考を断ち切るかのごとく。もしかして彼は気づいていたのだろうか? それについて問おうかと考えたところで、私は察した。多分、まともに答えないだろうな、と。勘だがそう思う。だから私は考えることをやめて、今を楽しむことにした。
「私も帰ります。途中まで送っててください」
「いやだね!! もう一勝負だ!! この森を抜けて街に着くまで鬼ごっこだ!!」
そう言って彼は私の肩にタッチして、一目散に逃げて行った。本当に楽しい人だ。一緒にいて飽きない。
「いいですよ!! 二つ目の黒星をつけてあげます!!!」
後書き
二十三話目です。なんか気分よかったんで速攻でもう一話書きました(笑)
過去もいいけどはやく他のことも書きたい(笑)
とりあえず、感想、指摘お待ちしております!
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