転生者の珍妙な冒険
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この夜集阿 聖斗が最も好きなことの1つに、高慢な奴の鼻っ柱をへし折る事がある!!
前書き
大変長らくお待たせしました。
今回と次回で進化した夜集阿の実力を見せきりたいと思ってます。
『さぁ、皆様お待たせいたしました!! いよいよ、大武闘大会決勝トーナメント1回戦、最終の試合を行いたいと思いますっ!! 予選で凄まじい活躍を見せた夜集阿 聖斗選手とジーク・レオパルド選手の、注目の1戦ですっ!!!!』
―――――ウオォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!
司会者のやたらとデカい紹介と、それにも負けない観客の歓声がコロッセオを揺らす。
アレからセーナが不運にもオッサンに当たって負けたり、何か俺の知らん奴が勝ち上がってたりして、ようやく俺の出番になった。
「ま、さっきの騎士は気になるけど、対戦相手が相手だし気を引き締めていかんとな。」
「その通りだ聖斗!! 余計なこと考えてたら一瞬で叩き潰してやるぜぇ!!?」
俺の対面に立ってる対戦相手、師匠が吠える。
まさか師匠に当たるとは思ってもみなかったが、考え直してみたら遅かれ早かれぶつかるんだし、早めに当たるに越したことはない。
「それに、師匠に今までのシゴキの返礼をするいい機会だしな・・・。」
メシを中々食えなかった日々、木の実とかで食いつないだ夜・・・・・・・・・。
それだけじゃない、無意味に滝行、断食(既にメシはほぼ食ってないのに)、夕日をバックにした殴り合い・・・・。
・・・・冷静に考えたら、よく強くなれたよな、俺・・・・。
いや、今はンなことどうでもいい。
目の前の奴が最重要だ!!
「さぁ、行くぜジーk『そしてぇぇぇぇぇ!!!!! なんとここでシード権のあった「あの男」の参戦だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』・・・・・・は?」
俺の声を遮って響いた司会者の声。
しかも内容の意味が分からん、ジークも呆気にとられてるよ・・・。
そんな俺らを無視して司会者は続ける。
『皆様、覚えておいででしょう!! 昨年の大会において、決勝まで初出場ながら勝ち進んだタルタス・フォードを完膚なきまでに負かし優勝を掴んだ美貌剣士!! ジョブは十字軍、聖なる剣技を使う聖騎士の攻撃特化型という珍しいジョブ!! ついた二つ名は「剣戟貴公子」!! その名も高きキャベン=ジェリア選手です!!!!!!!』
そんな紹介と共に颯爽と武舞台に現れたのは、ジョブをパラディンって言われてたあのビリオンを倒した奴よりも軽装な似た雰囲気の鎧を着た男。
確かに「貴公子」だの「美貌剣士」だの言われるだけあって顔は良い、会場の女子は殆どがウットリしてる。
だが、その表情には若干の侮蔑の色が混ざってた。
てか、「ジェリア」ってまさか・・・・・・・。
「オイッ、俺と夜集阿の一騎打ちじゃねぇのかよ!! 何なんだコイツは!!!」
思考に没頭してた俺に代わって(?)、司会者に向かって怒鳴りつけるジーク。
司会者が何か答えるよりも先に、より一層侮蔑の色を強めたその「剣戟貴公子」とやらが答えた。
「フンッ、何も知らないのか。やっぱり力でのし上がってきたような野蛮な冒険者だな。仕方がない、僕が答えてやるよ。
この大会の制度として、前年の優勝者は予選を出ないで決勝トーナメントに行けるんだ。そして決勝トーナメントでは既にそのシード者以外で1対1の戦いが組まれてるから、シード者はその中から好きなのを選んで乱入出来るのさ。そして、乱入したらそこからは1対1対1でも2対1でも良い戦いの幕開けさ。」
そう言ってファサッと髪をかきあげる「剣戟貴公子」もといジェリア。
「あ~、つまりは俺と夜集阿でお前をボコボコにしても良いし、俺か夜集阿がお前をボコボコにしても良いってことだな?」
頭をガシガシと掻きながらそう言うジーク。
アレは間違いない、キザな事するイケメンに腹立ててるんだ、明らかに台詞が喧嘩売ってるし。
そして、呷り態勢0っぽいジェリアはブチギレた。
「何だとっ!? 下賎な冒険者が何を言う、僕を見くびるな!!!!」
「OKOK、じゃあ俺ら2人で行っても良いんだな?」
「当然だ、斬り捨ててくれるっ!!!」
・・・・・何か、俺を無視して話が纏まってる・・・・。
「じゃあ決まりだ。サッサとやるぞ夜集阿、アレを片して俺らの一騎打ちだ。」
「あ~・・・と、まぁ待ってくれよジーク。」
屈伸とかして体を温めてるジークに取り敢えず待ったをかける。
「確かにジークの言うとおり、サッサと片したい。だけどコイツは俺1人でやらせてくんない?」
「・・・・・その心は?」
流石は師匠、提案を退けられても激さないぜ。
「ジェリアって苗字は、俺が昔半殺しにしたネーナさんにDVしてた貴族と同じなんだよ。その貴族、その後もしつこく俺らを暗殺とかしようとしてたから、ここでコイツを俺がぶっ飛ばしてそろそろ手出し止めさせようかと思ってな。」
そこで言葉を切り、「それに」と笑いながら続ける。
「アイツが去年オッサンを下した相手だ。俺がオッサンの敵を討ったら良い土産になる。」
そこまで言うとジークは目をパチクリさせた後、フッと笑って、
「ん、分かった、妥当な理由だな。じゃあ俺はそこら辺で見てるわ。」
と言って武舞台の隅まで歩き、どっかり腰を下ろした。
理解力のある師匠で良かったぜ。
「よし、お待たせ。」
「随分と長かったじゃないか、僕を待たせる何て良い度胸だね。それに1人で戦うとは・・・・。」
コイツ、ホントに腹立つな・・・・。
「なぁ、気になったんだがアンタそんな嫌味ったらしい話し方しててよく嫌われないよな。ある意味凄いよ。」
そう言うと、やっぱりコイツは侮蔑の色を浮かべやがった。
「あぁ、知らないのか。僕は任意で選んだ相手以外には僕の話した言葉が綺麗な感じで聞こえるようになる魔道具を持ってるのさ。この首飾りがそうだよ。」
そう言って見せびらかすように首飾りを強調してくる。てか、自覚あったんならンなもん作る前に口調変えろよ・・・。
「さて、そんなことより試合を始めよう。と言っても、1対1なんて呆気なく終わっt「違ぇよ。」え?」
「そんなチンケな数じゃねぇって言ってんだよ。『星の白金』!!!!」
『オラオラァッ!!』
開戦の言葉も無しに星の白金を嗾けて拳を叩き込む。
俺の中ではこれで奴は血を吐きながら吹っ飛んで取り敢えず1ダウン取れるって所だったんだが・・・・。
「成程、そう言えば君には精霊があったね。」
「なっ!?」
一瞬で拳を回避し、俺の眼前に来て奴は斬りつけてきやがった。
何とか反応して後ろに飛べたが、胸の所を薄く斬られたようで血が滲んでる。
「へぇ、僕の『美剣・ダイアモンドステップ』からの斬撃を躱すのかい。野蛮だとは言っても流石は高ランクの冒険者、と言ったところかな?」
「ケッ、誉めるなら野蛮ってのを抜きやがれ!」
奴の嫌味に返しながら考える。
マズイ、面倒だ・・・。
奴の速度は遅くても星の白金と同等。今のは全力でも無いだろうからもっと早いだろう。だとしたら速度よりも動きを止める方向で考える方が良さそうだ。
でも、どうやって・・・・。
「・・・・・いや、待てよ?」
「何だい? 僕に戦いを待てと?」
嫌味は無視するとして・・・・。
そうだ、傷つけられたのはウザい。鬱陶しい。
なら、それを「あの」スタンドで利用してやれば良いんだ。
「・・・・・テメェ、よくも俺に傷をつけやがったな・・・?」
「何だいいきなり、それに遅いよ。」
奴に呆れられようが構わない、大丈夫だ。
「それに、テメェの弟のせいで俺は矢鱈と鬱陶しい刺客に襲われたんだよ畜生がっ!!」
「いや、だからそれは僕には関k「うるせぇ!! お前マジでふざけんなよ!?」・・・・なっ。」
『お~っと、何なのでしょうか!! いきなりヨシュア選手がジェリア選手へ恨み言をぶつけ始めました!! 試合の邪魔になるんですが!?』
司会者すらウザイな・・・。まぁいいや。
「黙れ司会者ぁっ! 俺の恨みを知らねぇからンな事言えんだよ糞がッ!! この恨み、晴らさでおくべきか!!!」
言いながら自分の傷に波紋を流す。みるみるウチに傷が「物理的に」浮き出て、剣と盾を持った石像のような形になる。
これが、いや、俺自身はコレそんなに好きでは無いんだが・・・・・まぁ、勝てそうだし良いや。
「タロット、大アルカナは15番『悪魔』の暗示するスタンド、悪魔!!!」
宣言と共にスタンドが現れ、一瞬で消える。
成功だ、これでいい・・・。
「・・・・・何だ? かなり大袈裟に叫んだ割には失敗かい? 一瞬だけ何かが出たが直ぐに消えてしまったじゃないか。」
そう言ってせせら笑うジェリア。前人気とさっきの俺の恨み節のせいで完全にジェリアの味方な雰囲気になってる観客も同じように笑い出すが、
ピンッ
そんな、何かが弾けるような音が方々で鳴り、その音の出処であるネックレスやブレスレットが切れたご婦人が不思議がる。
そして・・・・・。
シュルルルルルルルルルルルルルッ!!
「何を・・・・・あぐっ!?」
ジェリアの背後から凄まじい速さで伸びてきたネックレス等の紐を繋げたロープがジェリアの首を締め上げる。
『おぉっと、これは一体どういう現象だぁ!? ジェリア選手、突如現れたロープに釣り上げられたあぁぁぁぁ!!!』
「はっはー!! どうだオイ、流石のアンタの速度でも背後からいきなりやってきたこんなに細いロープに咄嗟に反応するのは難しいだろ!!」
「な・・・・・なに・・・・が・・・・・?」
首を締め上げられ、窒息寸前になりながら問うジェリア。持っていた剣は地面に落ちてしまっていて、脱出の方法もなさそうだ。
「知りたいか? 教えてやるよ。あの悪魔の能力は、恨めば恨む程その恨みのパワーを周囲の物に憑依させて攻撃出来るってのだ。つまり、俺のさっきの恨み節はこー出来るレベルの恨みのパワーを集めたかったからだよ!」
言いながら奴の落とした剣を拾い、奴の首筋に当てる。
「命乞いをしろ。」
「なっ・・・・。」
「聞こえなかったのか? 惨めに泣き叫び、俺に許しを請えって言ったんだよボケが!! このまま首を絞め落とされても良いのか? 切り落とされても良いのか? アァ!!?」
自分でもこのやり方はどうかと思うが、まぁ、やれるところまでやるか。
再度「テメェさっさと答えやがれ!!」とか言いながら剣を首に当て、薄皮一枚くらい斬る。
「ゆ・・・・・許してください・・・・・・。」
しばらくして、絞り出すようにして奴が命乞いをしたのを見届け、剣を投げ捨ててロープを解く。
奴は地面に崩れ落ちてしばらく咳き込んでた。
「な、どうだ? 誇り高い『剣戟貴公子』様よ。俺みたいな野蛮な冒険者に良いようにされて惨めに命乞いする気分はどうだい?」
煽り耐性ゼロだってことはさっきので分かってるし、煽る。
当然、ブチギレた奴は口汚く喚きだした。
「巫山戯るなよっ、薄汚い平民のっ、それも野蛮な冒険者が!!! 貴族であり優れた騎士でもある僕に対してあんな仕打ちをした挙句、そんな態度を取るとはっ、絶対に許さない!! そこらの馬鹿な民衆みたいに、僕を崇めて湛えていれば良かったものをっ、後悔するなよ、あらゆる手段を以て貴様の全てを奪ってやr「あ~あ~、やっちまったな~・・・。」何っ!?」
激昂してるジェリアの台詞を遮って、ジークが口を開く。
「なぁ兄ちゃんよ、足元見てみろ。」
「足元・・・・? なっ!!!?」
奴の足元に落ちているのは、さっき自慢してた言ってる内容を良い感じに聞こえさす魔道具。脅してた時、剣で「薄皮一枚くらい」斬ったんだから当然その魔道具も切れるってことだ。
「ま、ジークに指摘する役目盗られちまったが・・・・。これでアンタの言葉を綺麗にする手段は消えたってことだ。ところで、さっき随分と盛大に罵ってたなぁ・・・、ん?」
俺の言葉を皮切りにしたように(いや、喋るのを止めたからか?)、観客の声が聞こえてくる。
「え、ちょっと何、今のジェリア様の・・・・。」
「うわ~最低・・・・。」
「あの野郎、俺らの事そんな風に馬鹿にしてたのかよ!!」
「舐めてんじゃねぇぞ、このクズが!!!!」
「・・・・・・あ、あぁ・・・・・・。」
観客からの罵りを浴びたジェリアは、膝から崩れ落ちて地面に座り込んじまった。
目は虚ろで、何かブツブツと「嘘だ・・・・・・、これは夢だ・・・・・・」とか呟いてるし、もうダメだなこれは。
「さて、これでお前の精神は再起不能になった訳だ。これからお前の肉体を再起不能にしてやる。星の白金!!!」
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオォラオラオラオラオラオラアァァァァ!!!!!』
『キャベン=ジェリア選手が武舞台の外まで吹き飛んだあぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 場外っ場外ですっ!!! 意識も無いようです!! 夜集阿 聖斗選手の勝利ですっ!!』
『いや~、それにしても両方ともかなり性格の悪い、何やら見ててモヤモヤする試合でしたね~。』
解説、今回一切喋ってなかったクセにうるせぇよ・・・・。
後書き
夜集阿 聖斗:『格闘家』『奇術師』:ランクA+
・波紋の呼吸法【レベル2】
波紋ズームパンチ
波紋疾走
波紋カッター
仙道・波紋疾走
銀色の波紋疾走
生命磁気の波紋疾走
山吹色の波紋疾走
稲妻十字空烈刃
クラッカーボレイ
我流・冷酷な怒りの波紋疾走
深仙脈疾走
・スタンド「タロット大アルカナ」【レベル2】【現在固定:星の白金】
0番『愚者』の暗示する「愚者」
1番『魔術師』の暗示する「魔術師の赤」
4番『皇帝』の暗示する「皇帝」
6番『恋人』の暗示する「恋人」
7番『戦車』の暗示する「銀の戦車」
8番『正義』の暗示する「正義」
9番『隠者』の暗示する「隠者の紫」
10番『運命の車輪』の暗示する「運命の車輪」
15番『悪魔』の暗示する「悪魔」
17番『星』の暗示する「星の白金」
21番『世界』の暗示する「世界」
レオパルド・ジーク(神風 零弥):『格闘家』:ランクS-
・神砂嵐の流法【レベルMAX】
真空竜巻
闘技・神砂嵐
・漢武夷流柔術【初期レベルMAX】
神砂の拳
セーナ・フォクス:『格闘家』:ランクB
・イヌ科の嗅覚【初期レベルMAX】
・イヌ科の聴覚【初期レベルMAX】
・波紋の呼吸法
ネーナ・チュミン:『アーチャー』『補助魔術師』:ランクA
・魔導弓【レベル2】
回復型
威力型
速度型
(上から順に使用頻度の高さ順)
・補助魔法
ヒール(極小回復)
ホイミヒール(小回復)
ケンロ(防御小アップ)
ムッキ(攻撃力小アップ)
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