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美しき異形達

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第三十七話 川の中での戦いその十二

「あたしにとっちゃ」
「そうなの、お祖父さんなの」
「ああ、そんなところだよ」
 こう言うのだった。
「あの人はな」
「いいお祖父さんね」
「優しくてそれでいて人の道はわきまえていてさ」
「拳法も教えてくれて」
「凄くいい人なんだよ」
 こう菫に話してだ、そしてだった。
 笑顔でだ、薊は言った。
「また会いたいな」
「横須賀に戻った時は」
「そうしたいな」
 こう笑顔でだ、戦いの後の会話をしてだった。二人は仲間達のところに戻ってだった。
 まずは薊が火を出してそれで二人の服をその熱で乾かした。それが終わってからだった。
 裕香がだ、一行に言った。
「戦いも終わったし何処に行こうかしら」
「何処がいいだろうな」
 薊は裕香の問いには首を傾げさせて返した。
「そう言われてもな、あたし嵐山全然知らないからな」
「だからなのね」
「ちょっと何処って言えないよ」
 それで、というのだ。
「何処でもいいよ」
「何処でもなのね」
「いい場所ならな」
 まさに何処でもというのだ。
「この嵐山でさ」
「それじゃあ橋行かない?」
「橋?」
「そう、渡月橋にね」
 裕香は薊にその橋の名前も言った。
「行こう」
「その橋にか」
「嵐山で景色が奇麗で有名な橋だから」
 それで、というのだ。
「行かない?」
「そうか、それじゃあな」
「皆も行く?」
 裕香は他の面々にも声をかけた。
「渡月橋に」
「いいんじゃない?」
 菊は裕香のその言葉に笑顔で返した。
「あの橋も観光名所だしね」
「私もね」
「では私も」
「勿論私もね」
 他の面々も笑顔で賛成の意を述べる。そうして渡月橋に行き天龍寺等も行ってだ。この日は嵐山を楽しんだ。
 そして宿に泊まってだ、薊は夕食の豆腐を食べて言った。
「このお豆腐美味過ぎないか?」
「京都はお豆腐が名物でして」
 桜がその薊に応える、全員既に浴衣に着替えて卓を囲んで食べている。
「それで美味しいのです」
「作り方が違うのかね」
「おそらくは」
 それで、というのだった。
「作り方自体はです」
「普通の豆腐とか」
「変わらないです」
 それ自体はというのだ。
「ただ。その腕が」
「違うんだな」
「職人の中でも」
 豆腐職員の中でもというのです。
「超一流なのです」
「それで違うんだな」
「そして素材も」
 豆腐の素材である大豆、それもだというのだ。 
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