ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
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第一部 はじまり
動き出す物語
第二話 普通じゃないなにかがはじまる
前書き
デス・ゲームが始まります。今回は短めかも…
「かなり奥まできたんじゃない?」
とマルバが訊く。エギルはひとつ頷くと右手の中指と人差し指を揃えて下に振った。ちりん、という軽快なSEに続いてシステムメニューの窓が現れる。
「そうだな。現実だと……そろそろ五時半ってとこか。ああ、俺はそろそろ落ちるわ。明日の準備があるからな。」
「そうなんだ?じゃあ僕はもうちょっと狩ってから落ちるよ。まだポーション残ってるしね。」
「そうか。じゃ、またな。機会があったらまたパーティ組もうぜ!」
「うん。じゃあね。」
マルバはは右手を上げて別れを告げるとエギルに背を向ける。素直にいうことをきく仮想の右足を踏み出して次の戦闘に向かおうとしたとき……
「ん?そんな…馬鹿な!?」
背後でエギルが素っ頓狂な声を上げた。
「どうしたの、そんな変な声あげて。」
「いや…、ログアウトボタンがねえんだよ。ほら、ここ。」
エギルが可視モードにしたウィンドウを覗きこむマルバ。
「……本当だ……。ないね、ログアウトボタン。ちょっとまって。……うん、僕のとこにもない。バグかな?」
「いや、こんな妙なバグがあるもんか。ログアウトボタンがねえってことはログアウトできねえってことだ。GMも呼び出しに応じないし、どうなってんだ、これ?」
「そんなの僕に訊かないでよ。こっちでもGMコールしてみるから。」
「お前に訊いてねえよ。うーん、どうも嫌な予感がするな……。」
しばらく試行錯誤する二人。その頭上で……
鐘の音が、鳴り響いた。
「うわっ!!」
青い光に包まれたと思ったらいきなりの転移。ここは…始まりの街の広場か。全プレイヤーが一度に召喚されたらしく、広場は人で溢れかえっている。とっさにエギルの姿を探すが、転移するときにどこかにはぐれてしまったらしい。フレンド登録は済ませてあるから後で呼び出すとして、マルバはこれから何が起こるのか見ようとした。嫌な予感がする。僕の『普通』がまた崩れ去ってしまうような、嫌な予感が。
そして、その予感は最悪の形で実現化した。
後書き
次の話も同時に公開します。ぜひ読んでいってください。
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