ザンネン6……何か悪いの?
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二話
◇
「作戦を説明するわ」
全員がパイロットスーツに着替え終え、ブリーフィングルームに集合すると、すぐさまブリーフィングが開始された。
シモンとスズカゼの背後に設置されたモニターに、作戦宙域らしき場所の地図が表示される。
「ウンディーナは、現在位置から座標CR34に位置する、GDF軍の最前線基地よ。現在敵の攻撃を受け、この基地は放棄。撤退することになったわ」
スズカゼの言葉に、黒地に赤いサブカラーのはいったパイロットスーツを着たイズルが、なぜか驚いたような反応を示す。
「作戦は単純。ウンディーナ基地から人員が撤退するまで、時間を稼ぐこと。それだけよ」
単純で分かりやすい作戦内容が告げられるが、それは言うほど簡単ではないことを、マヤは理解していた。無論。マヤだけでなく、イズル以外は、このことが如何に難しいことかを理解している。
「撤退完了まであと三時間。陥落予測まで二時間半。たった三十分敵をかく乱し、妨害するだけでいいわ。OK?」
「はい!」
簡潔に告げられた作戦内容に思案顔になっていたマヤだが、唐突に左から聞こえてきた返事に、思わずきょとんとした表情でそちらを見る。
他の四人も同様。中央に立っているイズルの顔を、呆れたような表情で見ていた。
「簡単に返事すんなよ。どれだけ大変なことか分かってんのか?」
黄色のサブカラーをしたパイロットスーツ姿のスガルが言う。それに対し
「でも、やるしかないんじゃ……」
と、憮然とした表情で答えた。
その言葉を聞いたチームラビッツは、それぞれ「仕方ないか」といった様子で頷きあうと、何かを決意した表情で真っ直ぐ前を見た。
イズルは、自分のチームメンバーの反応に、ホッとしたように息を吐く。
「何をホッとしてんだ」
「いやぁ。初めてツッコまれなかったぁ……」
チームラビッツの反応を見て、スズカゼは満足そうに口元に笑みを浮かべる
◇
「これが私のですか……」
私の《アッシュ》があるピットには黒いアッシュがあった
「君がこいつのパイロットか?」
「は、はい……」
後ろから声をかけられた、私は少し戸惑いながら返事をする
「そう、緊張するな」
声をかけてきた青年は私達より2つ、3つ年上ぽい
「す、すみません。私、ひ、人と話すのが苦手で特に初対面の人と話すのが……どうもダメでして。……あむ、私、マヤ・ヤマトって言います」
「それは、すまなかった。俺はアスラン、アスラン・ザラだ。こいつの説明をするぞ?」
「は、はい………」
「こいつはブラック6(シックス)と言って、オールラウンダー機だ、簡単に言えば近距離、遠距離を両方できる機体だ。現在の装備はマヤのデータを本に装備してあるから自分の戦闘スタイルで戦えるはずだ」
「はい。あ、ありがとうございます」
私が礼を言ったのと同時にピットに二人入ってくる
「説明は終わった、アスラン?」
「あぁ、今ちょうどよくな」
「え、え、と」
私が少しあたふたしていると入ってきた女性が私の方に歩いてきた
「なにやってんだおまえ?」
「い、いや、う………」
話せないでいるとアスランが女性に言った
「マヤは人と話すのが苦手らしい、初対面だと特にな」
「そうか、それは、すまなかった。渡しはカガリ、カガリ・ユラ・アスハだ。」
「僕はキラ、キラ・ヤマト。よろしくね?」
「よ、よろしく、お願いします」
「これで、自己紹介はすんだし、そろそろ乗りな」
「は、はい」
私はブラック6に乗りこむ、肩に何かユニットのようなものが装着されると同時に、私を含めチームラビッツ全員が妙な感覚を覚える
「なんだ。今のは」
「≪アッシュ≫とコネクトしたの」
疑問の声をあげるアサギに、ゴディニオンのブリッジにいるスズカゼが答える。
『コネクト?』
「あなた達と≪アッシュ≫を繋いだの。これで「ジュリアシステム」は作動するわ」
スズカゼの言葉に、なるほどと私は頷く。
今の私は、まるで機体そのものが自分になっているような感覚に陥っていた。そう。この機体を動かせることが、まるで自分の手足を動かすことと同じことだというように。
「準備はいい?」
「全艦。レタッチメントモード」
スズカゼの言葉と同時に、オペーレーターである金髪の男が言う。
その言葉に応じるように、ゴディニオンに搭載されている、各機体のカラーをモチーフにされたピット艦が動き出す。
「レタッチメントモード・レディ」
「ボルト・オープン」
「ピット艦発進!」
合図と共に、各ピット艦はスラスターを全開にして、各々に指定されたポジションへと向かう。
「各ピット艦、予定ポジション到着」
「全機メディファイチェック完了。出力、正常に上昇中」
「ブラスト・オフ」
各オペレーターの報告を聞き、問題がないことを確認すると、シモンが指示を出す。
続く
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