ドリトル先生と学園の動物達
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第五幕その五
「餌の類も投げ込めないので」
「被害はないですか」
「彼等は大丈夫です」
「ではアシカやアザラシがですね」
「そうです、水のコーナーにいるのですが」
「そこはものが投げ込めるからですね」
「ですから」
それで、というのです。
「虫歯になっている子も多いです」
「左様ですか、水族館のお話も出ていましたが」
「ですから水族館にもです」
「はい、先日のお話通りですね」
「来て頂いて」
そのうえで、とです。日笠さんは先生にお話します。
「とはいっても私は水族館は管轄外ですが」
「動物園の獣医さんだからですね」
「あちらはあちらで獣医がいます」
水族館担当の獣医さんがというのです。
「私が連絡をさせて頂きますので」
「だから僕が水族館に行ってもですね」
「はい、大丈夫です」
こう先生にお話するのです。
「そちらへの連絡も」
「では僕が行かせてもらえば」
「すぐに診察にかかれますので」
「そうですか、それでは」
「そちらもお願いします」
「はい、しかし先生は」
ここで日笠さんは先生にこうも言うのでした。
「よく動かれますね」
「診察と治療にですか」
「いきなりの申し出だったのですが」
「いえいえ、動物の皆の為ならです」
温厚な笑顔で、です。先生は日笠さんに答えるのでした。
「何も問題はありません」
「そうなのですか」
「では日笠さんは動物が急病になったらどうしますか?」
「その時はですか」
「はい、どうされますか」
「決まっています、例えどんな状況でもです」
日笠さんは先生にはっきりとした声で答えました。
「行ってそうして」
「診察してですね」
「助けられる命は助けます」
そうするというのです。
「絶対に」
「そうですね、ですから」
「先生もですか」
「はい、そうします」
こう先生に答えました、澱みのない声で。
「それが獣医の務めですから」
「僕もですよ」
先生は日笠さんにこうも言いました。
「そのことは」
「だからですか」
「僕も医者の端くれです」
それ故にというのです。
「その時は同じです」
「そうですか、先生も」
「はい、ですから今回も」
「こうしてですね」
「協力させてもらっています」
日笠さんにこうもお話するのでした。
「では水族館にも行かせてもらいますので」
「そちらもお願いします」
こうしてでした、先生は水族館にも行くことになりました。ですが水族館の動物達のことについてトミーがお家で先生に言いました。
「水族館はものが投げ込めない場所が多いので」
「うん、だからね」
先生もトミーの言いたいことがわかっていて応えます。
「虫歯になっている動物は限られるよ」
「そうですよね」
「しかもお水の中に入るから」
「お口も洗われて」
「水族館の動物で虫歯になっている子は少ないよ」
「ですね、鮫とかにしましても」
トミーは海にいる皆が知っているお魚の名前も出しました。
「お菓子を食べることがないですから」
「うん、彼等が虫歯になっていることはね」
「ないですね」
「そうみたいだよ、聞いた話では」
「そうですか、そういえば」
「そういえば?」
「鮫は虫歯になっても大丈夫ですね」
ここでこうも言ったトミーでした。
「歯が何度でも生え替わりますから」
「うん、彼等はね」
実際にそうだと答えた先生でした。
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