リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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第六十話 イクス=未知数
前書き
エクスブイモン超進化。
大輔「さて、あの女を探さないといけないんだけど…」
フェイト「どこにいるのかな?」
賢「やはりそう簡単に尻尾を見せないか」
ワームモン[口やかましいかもしれないけど。あんまり喋ってると、注意力が散漫になるよ]
ブイモン[分かってるって]
チビモン[喋らなきゃいいんでしょ?]
ギルモン[リリカルアドベンチャー、始まっぞ!!]
大輔達は現在、ダークタワーを破壊しながら、ダークタワーデジモンを造れる女を探していた。
大輔「一体どこに行きやがったんだ…」
辺りを見回しながら、呟く。
はやて「そうやねえ。でも、はっきり言ってこんな広いデジタルワールドで女一人見つけるなんて、砂漠に落ちた米粒を見つけるのと同じくらい大変やで……」
大輔「…けど、その女を生かしておくわけにはいかねえ。これ以上デジタルワールドを目茶苦茶にされてたまるか」
一度モチモンの村に戻る。
そこは大輔達のデジタルワールドでの拠点となっていた。
ギルモン[にしても、あいつどうやってダークタワーをデジモンにしてんだ?]
魚を頬張っているギルモンだが、賢は自分の推測を言ってみる。
賢「どうやってかは分からないけど…恐らく、ダークタワーのデータを書き換えたんだろう。パルモンから話を聞いてみたけど、髪の毛をダークタワーに差し込んだらダークタワーデジモンになった…あの女の髪はダークタワーのデータを書き換える力があるんだろう」
チビモン[なるほどね…]
ブイモン[う~ん…]
フェイト「どうしたの?ブイモン?」
ブイモン[何かさ、デジタルワールドに妙な匂いが混ざってる気がするんだよな~]
ワームモン[どんな匂い?]
ブイモンほど、嗅覚が良くないワームモンが尋ねる。
ブイモン[何て言うか、チビモンとギルモンに似たような匂いが混じってるような…]
はやて「ギルモンとチビモンが傍にいるからやろ?」
ブイモン[いや…チビモンとかギルモンより…何と言うか…野生の匂いがするっていうのかな…]
大輔「…なあ、確か、確か向こうの現実世界にデジモンが現れたんだよな賢?」
賢「ああ、そうだけど?」
大輔「ワームモンが戦ったんだよな?そいつの匂い、覚えてるか?」
ワームモン[匂い…?確か、僕達に似てたような…]
大輔「匂いの違い…もしかしたら、フェイト達の世界のデジモンがこの世界のデジタルワールドと現実世界にいる可能性があるな…それに…」
フェイト「それに?」
大輔「いや、ほら。俺達の世界にはお台場があるのに、向こうの世界にはない。そしてフェイト達の世界には海鳴市があるのにこっちの世界にはない。こっちと向こうの日本地図を見比べると、まるで二つだけが切り離されたかのようだ」
向こうの日本地図とこっちの日本地図。
お台場と海鳴市のみが存在しない。
これはどういうことなのだろうか?
賢「確かにね。もしかしたら、僕達の世界とはやて達の世界は何らかの関係があるのかも」
はやて「じゃあ、うちらがここに飛ばされたのは偶然やないっちゅうこと?」
フェイト「確かによく見ていると変だよね…」
ブイモン[もしかしたら、元々大輔達の世界とフェイト達の世界は一つだったり…?]
大輔「流石にそれはないんじゃないか?世界の違いかもしれな…」
言い終わる前に、妙な音が近付いて来る。
疑問は焦った表情を浮かべているモチモンによって解決した。
モチモン[た、大変だ!!]
はやて「どないしたんや?」
モチモン[デジモンの大群が村に向かって来ているんだ!!]
チビモン[ええ!!?]
慌てて、村の外に出ると、ガジモン、ヌメモン、ティラノモン、モノクロモン、クワガーモン等…。
大輔「コカトリモンにアカトリモン?」
ブイモン[あいつらから、チビモン達と似たような匂いがする。それにあいつら、あの船にいた奴らだ。何か色んな料理の匂いがする]
賢「もしかしたら、ダークケーブルのブラックホールに巻き込まれたのかも…」
ギルモン[あいつら目がイッてんぞ…]
ブイモン[多分、環境の異常な変化に耐え切れなくて自我が崩壊したんだろ。向こうとこっちじゃ、環境が全く違うし。俺達みたいにパートナーデジモンか、ダスクモンくらいの実力なら大丈夫かもしれないけど、あいつらは普通のデジモンだしな]
フェイト「可哀相だけど…倒すしかない!!」
大輔「行くぞ!!モチモンの村を何としても守り抜くんだ!!デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!燃え上がる勇気!フレイドラモン!!]
チビモン[チビモン進化!ブイドラモン!!]
ワームモン[ワームモン進化!スティングモン!!]
ギルモン[ギルモン進化!グラウモン!!]
大輔「突っ込めえ!!」
フレイドラモン達がデジモンの大群に向かっていく。
賢「それにしても!!こんな風に荒れ狂う敵陣の真っ只中に飛び込むなんて久しぶりじゃないかな!!?」
大輔「確かにな!!」
フェイト「はやて、大丈夫?ついて来れる?」
はやて「心配せんといて!!デジタルワールドの冒険で結構鍛えられたんやからな!!自分の足で立てて走れることがこんなに嬉しい物だったなんて知らへんかった!!」
大輔「初っ端から飛ばし過ぎんなよ!!バテるからなあ!!」
ヌメモンを蹴り飛ばす。
フェイト「はやては私について来て!!」
はやて「うん、賢兄も気をつけるんやで!!」
賢「分かってる!!」
襲い掛かる、ガジモンをかわして逆に蹴り飛ばす。
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
ブイドラモン[カッターシュート!!]
スティングモン[スパイキングフィニッシュ!!]
グラウモン[プラズマブレイド!!]
フレイドラモン達が最小限の力でデジモンの大群を屠っていく。
異世界のデジタルワールド出身の彼等は転生出来るか分からないため、データを取り込みながらだ。
フェイトははやてを庇い、大輔と賢は自分達でも何とか手に負えそうなガジモンやヌメモン達を殴り、蹴り飛ばしていく。
大輔「相変わらずやるな賢!!カイザーだった頃より動きがいいんじゃないか!!?」
賢「そういう君だって動きがいいじゃないか!!?相当鍛えていたようだね!!それから出来ればあまり話し掛けないでくれないか!!?」
大輔「何でだ~?」
賢「分かって聞いてないか?話し掛けられると戦いに集中出来ないんだ!!」
大輔「はいはい、そりゃあ失礼!!アーマーチェンジだ!!」
フレイドラモンからゴールドブイドラモンにチェンジすると一番敵が密集している場所に向かう。
ゴールドブイドラモン[ブイブレスアローMAX!!]
フルパワーの熱線が放たれた。
グラウモン[エキゾーストフレイム!!]
火炎弾を放ち、モノクロモンを撃破する。
賢「ざっと100体くらいかな!?」
はやて「うげ~、そんなにいるんか?」
大輔「なあに、このペースなら100体なんてすぐだ!!必ず二組で行動しろ!!絶対敵に背中向けんじゃねえぞ!!」
フェイト「うん!!」
敵に突っ込んでいく大輔達とパートナーデジモン達。
しばらくすると、ゴールドブイドラモンからブイモンに退化してしまう。
大輔「時間切れか…ゴールドブイドラモンは強力だけど時間が短いのが欠点だよな…デジメンタルアップ!!」
ブイモン[ブイモンアーマー進化!地上最大の希望!サジタリモン!!]
サジタリモンにアーマー進化し、必殺技のジャッジメントアローを繰り出す。
凄まじい貫通力を誇る矢は、複数のデジモンを薙ぎ倒していく。
ブイドラモン[伏せて!!]
ブイドラモンの叫びに、全員が伏せた。
ブイドラモン[ブイブレスアローMAX!!]
回転しながら繰り出す熱線。
威力はゴールドブイドラモンに大きく劣るが、それでもかなりの数が減った。
スティングモンとグラウモンはサジタリモンやブイドラモンのように複数の敵を撃破するような真似はあまり出来ないので、一体ずつ蹴散らしていく。
大輔「大分数が減ってきたな…」
サジタリモンの進化時間もとうとう限界に近付き、現在はフレイドラモンになっている。
オーバードライブの多用で、フレイドラモンの姿を保てるのも後僅かな時間だ。
ブイドラモン[兄さん]
フレイドラモン[はあ…はあ…大丈夫だ。まだ…戦える]
この中で負担が大きいのはフレイドラモンだ。
完全体と渡り合えるフレイドラモンは必然的に負担が他より大きくなる。
かといってブイドラモン、スティングモン、グラウモンも相当疲労している。
賢「後…10体!!」
大輔「全員踏ん張れ!!」
フレイドラモン達が突撃しようとした時、空から光弾が降り注ぐ。
大輔「あれは…」
賢「ギガドラモン!?こんな時に…最悪だ」
自我がないということはあれもブラックホールに巻き込まれたデジモンなのだろう。
ギガドラモンは両手から有機体系ミサイルを放つ。
全員がそれをかわし、ギガドラモンに攻撃を繰り出した。
フレイドラモン[ナックルファイア!!]
ブイドラモン[ブイブレスアロー!!]
スティングモン[ムーンシューター!!]
グラウモン[エキゾーストフレイム!!]
四体の技がギガドラモンに炸裂した。
賢「やったか!!?」
この言葉が出る時は大抵倒せていない。
今回も例に漏れなかった。
ギガドラモンの必殺技、両手から有機体系ミサイルを無限に放つジェノサイドギアが炸裂した。
フレイドラモン、ブイドラモン、スティングモン、グラウモンが有機体ミサイルの直撃を受けて撃墜された。
ブイモン[ぐっ!!]
チビモン[あう!!]
勢いよく地面に叩きつけられるデジモン達に歩み寄る大輔達。
大輔「大丈夫かブイモン!!」
ブイモン[な、何とか…]
よろめきながらも立ち上がるブイモンだが、他のデジモン達はダメージが深いのか、立ち上がることすら出来ない。
ブイモン[ぐっ…]
アーマー進化しようとするが、疲労でアーマー進化すら出来ない。
ギガドラモンはモチモンの村に両腕を向ける。
そして有機体ミサイルが放たれようとしていた。
大輔「止めろーーーっ!!!!」
大輔の叫びに呼応するかのようにD-3から光が放たれた。
ブイモン…正確にはエクスブイモンとD-3に取り込まれたスナイモンのデジゲノムが融合を開始する。
ブイモン[ブイモン進化!エクスブイモン!!]
現代種のエクスブイモンと現代種のスナイモンのデジゲノムが一つとなる。
大輔「ユニゾンエボリューション!!」
エクスブイモン[エクスブイモン超進化!パイルドラモンイクス!!]
本来ならパイルドラモンは特定の条件を満たした竜系と昆虫系が融合することで誕生する完全体デジモンである。
しかし、D-3に融合する対象のデジゲノムを入力することで、単体で進化するという前代未聞の進化を遂げた。
故にイクス…未知数を意味する名前が付けられた。
フェイト「パイルドラモン…イクス…!!」
チビモン[凄い…凄いよお兄ちゃん!!]
ジョグレス体のパイルドラモンと比べれば劣るであろうが、パイルドラモンイクスの力はゴールドブイドラモンやサジタリモンの力に匹敵するほどである。
大輔『行くぞパイルドラモンイクス!!』
パイルドラモンイクス[おう!!エスグリーマ!!]
両腕からスパイクを出し、ギガドラモンに迫るパイルドラモンイクス。
ギガドラモンも両腕のクローで応戦する。
金属同士がぶつかり合い、火花が散る。
両腕の砲口から有機体ミサイルが放たれようとした瞬間。
パイルドラモンイクス[エレメンタルボルト!!]
砲口に電撃が炸裂した。
発射直前の有機体ミサイルが爆発し、両腕のクローが吹き飛んだ。
そして両腰の生体砲を向ける。
パイルドラモン[デスペラードブラスター!!]
攻撃の要を失ったギガドラモンにフルパワーのエネルギー波を生体砲から放った。
直撃を受けたギガドラモンはD-3に取り込まれた。
チビモン(D)[ふへえ…]
大輔「チビモン、生きてるか…?」
チビモン[お兄ちゃ~ん?]
チビモン(D)[フッ…可愛い妹がいれば俺はいつだって元気百倍、アンパ…]
賢「おっと、それ以上の発言は控えてね」
危ないことを口にしかけたチビモン(D)の言葉を遮る賢。
フェイト「凄かったね。パイルドラモンイクス」
はやて「ほんまに」
ワームモン[でも、今日は本当に疲れたね]
モチモン[村を救ってくれて本当にありがとうございました!!モチモンの村名物の芋煮です!!]
湯気で一瞬あたりが真っ白になるが、ぐつぐつと煮えている芋煮。
村を守る防衛戦で体力を使い切った大輔達は何度もお代わりをした。
モチモンの村の名物料理、芋煮はとても美味なる物だった。
しかし食べ過ぎて、夕食が入らないという弊害がついたが。
後書き
ちなみに芋煮は豚と里芋、味噌です。
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