美しき異形達
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第三十六話 古都においてその二
「様々なお花が奇麗に咲くのです」
「それはまた雅だな」
「京都は雅のはじまりの場所の一つじゃない」
菫は薊の今の言葉に微笑んで突っ込みを入れた。
「まさに」
「そういえばそうか」
「そう、だからね」
「雅がある場所なんだな」
「確かに夏は暑いけれど」
菫もこのことは否定しなかった。
「それでもこの夏でもね」
「雅があるのか」
「そうよ、これまで行った場所とは違うけれど」
「京都じゃ雅か」
「それを感じるのもいいと思うわよ」
「そうか、雅なあ」
菫からこの言葉を聞いてだ、薊はしみじみとした口調で述べた。
「これまでずっと縁がなかったよ、あたしには」
「なかったってことはこれから知るってことよね」
向日葵が薊ににこりとしてこうしたことを言った。
「だからね」
「これからか」
「そう、色々知ろう」
薊にいつもの明るい笑顔で言ってだ、そしてだった。
向日葵は前を指差してだ、皆に言った。
「じゃあね」
「まずは映画村よね」
裕香がその向日葵に応える。
「あそこに行って」
「うん、楽しもう」
「映画村もね」
裕香は映画村に行くことについてだ、感慨を込めて言った。
「はじめて行くのよ、私」
「凄く楽しい場所よ」
向日葵はその薊ににこりとしてこう話した。
「時代劇の舞台があってね」
「東映のよね」
「そう、遠山の金さんや必殺や暴れん坊将軍のね」
「大岡越前もよね」
他にも様々な作品がある。
「あそこで沢山の時代劇が作られたのよね」
「そうよ、映画やドラマの資料もあって」
「凄い場所よね」
「私特撮やアニメが好きだけれど」
東映の作品では、というのだ。
「時代劇も好きなのよ」
「あちらもなのね」
「うん、好きだから前にも何度か行ったし」
そして、というのだ。
「今度も行くのよ」
「それで楽しむのね」
「あそこ本当に楽しい場所だから」
「それじゃあ今から」
「あとね、あそこ時代劇の格好にもなれるから」
向日葵は裕香にこのことも言った。
「そういうことでも楽しめるから」
「色々楽しめる場所なのね」
「だから面白いのよ」
「そういうことね」
「じゃあね」
向日葵は裕香も他の皆も手を引く様にして言った。
「行こうね」
「よし、映画村に行ったら」
薊はまだ暑さにいささか辟易していたが笑みを浮かべて言った。
「色々見て回るか」
「そうしようね」
向日葵は薊にも応えた、そしてだった。
京都駅のバスターミナルに出てそこから映画村に行くバスに乗った。そうして太秦まで言ってだった。
その映画村まで来た、学生割引を使って中に入ると。
その中はまさに時代劇の場所だった、裕香は暴れん坊将軍のめ組の詰所の前に来て向日葵に問うた。
「ここがよね」
「そう、暴れん坊将軍のね」
まさにそこだとだ、向日葵は笑顔で答えた。
「め組の場所よ」
「そうよね」
「あそこに暴れん坊将軍も来るのよ」
「撮影も行われていて」
「そうそう、ここでね」
まさにだ、かつてはそうしていたというのだ。
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