『曹徳の奮闘記』改訂版
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第五十五話
「お久しぶりです劉ソウ様」
「お久しぶりです王双さん」
玉座で、俺と美羽、七乃、劉ソウは会っていた。
「………劉備に国を追い出されたのですか?」
美羽は劉ソウに聞いた。
その原因は自分にあると考えているのか?
「確かに表向きは劉備ですが、裏は天の御遣いやらと蔡瑁一派の生き残りが手を組んだらしく、気付いた時には………反乱を起こされました」
劉ソウは右手を強く握りしめる。
「劉備は妖術を使っているのかは分かりませんが、短期間で民衆、文官や武官を掌握しています」
「………劉備の性格でああなったというわけはか」
俺はそう呟く。
「兄さんと平和の荊州を作ろうとしていましたが、このような結果で終わってしまうのが………」
劉ソウは静かに泣いていた。
「泣かないで下され劉ソウ様。荊州は必ず取り戻します」
美羽は泣き崩れる劉ソウに言う。
「ただ、今は孫呉を討つために準備をしていますのじゃが、それが終われば必ずします」
「いえ、構いませんよ袁術殿。貴女が成すべき事をしたらいいのです」
「ですが………」
「袁術殿が孫呉を攻略した際、荊州は袁術殿の配下に入ろうと兄さんと考えていました。荊州の民を戦火から守るためなら私は何でもしようとしていたので」
「劉ソウ様はそこまで私を買っていたのですか?」
美羽は思わず驚いた。
「そうです。貴女の配下は優秀な配下が大勢います。代表な例は王双さんですよ」
………何か恥ずかしいな。
「ですので、袁術殿は貴女がしたい事をして下さい」
「………分かりました」
流石に美羽もそこまでいわれたら引き下がるしかない。
「それと自分も袁術殿の配下に加わってもよろしいですか?貴女達とならこの国を統一出来ると思うので」
「………七乃、長門。どう思うのじゃ?」
劉ソウの配下という言葉に、美羽は思わず俺達に聞いてきた。
「………配下は駄目ですね」
俺の言葉に劉ソウはがっかりとした表情をした。
「あぁすいません。言葉が足りませんでした。劉ソウ様、配下は無理ですが、共同戦線をとるのはどうですか?」
「共同戦線………ですか?」
「はい。劉ソウ様は一応ながら皇帝の血筋を引いていますので、配下にしてしまったら、劉備が皇帝の血筋を配下にしたとして攻めてくる可能性があるのです」
「その代わり、共同戦線なら格下とは見られず、ごまかせられると思うのです」
俺の言葉を七乃が引き続いて言う。
「分かりました。なら共同戦線といきませんか袁術殿?」
「はい、構いませんのじゃ」
そして、劉ソウと美羽の共同戦線が締結され、荊州の地理に詳しい劉ソウを荊州方面守備軍に加えさせた。
「それで、あんたらが将として我が袁術軍に入りたいんだな?」
俺は、机と四つの椅子しかない部屋で椅子に座りながら正面にいる三人の男女に聞いた。
「まぁそうだね」
「その通りです」
「はい」
三人はバラバラに返事をする。
「それじゃあ、左側の貴女から名前を頼む」
俺は薄赤い色をして、ポニーテールの女性に尋ねた。
「あたしは郭淮。元は曹操軍にいたんだよ」
「ブホォッ!?」
俺は飲んでいた水を吹き出した。
「だ、大丈夫かい?」
「き、気にするな。それで、何で曹操軍を辞めたんだ?」
「あたしとこの張コウは、夫婦なんだ」
「それはおめでとう」
「ありがとうね。あたしと張コウは一小隊長として戦っていたんだけど、曹操があたしに目をつけてね。閨に来いと言われたんだけど、あたしは妻だからと断ったんだ。でもしつこく来てね。上司の夏侯淵に除隊させてもらったんだよ。夏侯淵は私達を手放したくなかったらしいけどね」
………おいおい曹操。人妻にも手を出そうとするなよ。
てか郭淮と張コウか………。
二人ともに魏の名将だな。
「あたしと張コウは槍を得意としてるよ」
「ほぅ」
そういや、二人とも槍を持ってるな。
「成る程成る程。張コウは郭淮と同じ理由か?」
「まぁ大体は同じであろう。俺の妻を閨に呼ぶ女に仕える気はない。それに貴方達の軍なら何かと面白い事がありそうですからな」
張コウは俺にそう言った。
「分かった。んで、最後に君だが………」
最後の女性は明らかに横山三国志に出てくる文官らしい服を着ていた。
水でも飲むか。
「はい、ボクは司馬懿です」
「ブホォッ!?」
………また水を吹き出したが俺は悪くないぞ。
後書き
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