ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-3 転機の連続
Story3-11 聖なる夜に
シャオンside
第49層・ミュージエン
街の中心に大きなクリスマスツリーがあるのが印象的な街だ。
俺はこの街のNPCに今回のMobの話を聞いたのだ。
その街でキリトとおちあう予定だった。
「クリスマス・イブ…………聖なる夜…………か」
明日は…………俺の…………
思考が別の方向に傾き始めたその時、俺の思考を戻したのはある声だった。
「シャオン」
直ぐ傍にまで来ていたキリトがそう言う。
「キリトか。遅かったな」
シャオンは振り返る。
「ああ、悪い。待たせたな」
「さっさと済ませようぜ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
第35層・迷いの森
辺り一面、銀世界の森林の先は薄暗く……漆黒の闇に包まれていた。
入ってしまえば同じような景色が広がる為、迷う可能性もある危険な場所だ。
「さて……この先、か」
「ああ」
キリトも気を引き締めなおした。
…………茅場は、はっきりと言っている。
『あらゆる蘇生手段は機能しない。HPがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』
でも、蘇生アイテムが存在しないことの裏付けにはなり得ない。
確率の低い方でも信じてみる価値は…………ある。
「……どうかしたか?」
キリトは考え込んでいた俺に気が付いたのか、そう聞いていた。
「いや、なんでもない。……さっさと狩って帰ろうぜ」
シャオンは、剣を取り出し軽く振っていた。
その時だった。
シュウウン
どうやら俺たちの背後に何人か転移してきたようだ。
振り向くその殆ど同時に、その場に現れたのはざっと見て、約10名のプレイヤーの姿。
「つけられてた……みたいだな」
ついでに、その出てきたメンバーの中心にいる男を見て正体がわかった。
「クライン……」
「俺のギルドには追跡スキルの達人がいるんでな」
クラインはそう答えた。
「キリト! お前が全部のツリー座標の情報を買ったっつう情報を買った。
念のため49層の転移門に貼り付けといた奴がお前が何処の情報にも出ていないフロアに向かったっつうじゃねえか。
こういっちゃ何だけどよ。お前らのコンビは戦闘能力じゃ群を抜いてる。それにゲーム感もそうだし、キリトの反応速度、シャオンの始動速度もそうだ。すげえと思ってるよ。
2人とも、攻略組の中でも最強…………あのヒースクリフ以上だとな。だからこそなぁ。
お前らをこんな所で死なすわけにはいかねえんだよ!
キリト!シャオン!」
伸ばした右手で真っ直ぐに指差し、さらに叫んだ。
「たった2人なんてやめろ! 俺らと合同でパーティを組めば良いじゃねえか! 蘇生アイテムはドロップさせた奴のもので恨みっこ無し、それで文句ねえだろう!」
……確かに……クラインの言葉は身を案じる友情から出ているんだろう。
だが………キリトにとって、この場は譲れない。
「それじゃあ、意味ないんだよ」
「クライン、心配してくれるのはありがたい。
けど、俺達2人で十分だし…………キリトの心情は……クラインが理解できるほど浅いものじゃない。
それでもキリトを止めようとするのなら……まずは俺を斬ってからにしろよ」
言われたクラインはどこか……悲しい目をしていた。
エリアに第三の侵入者が姿を現したのはまさにその瞬間だった。
バシュウウン!!
今度のパーティは10人どころじゃなかった。
ざっと見ただけでその3倍……近くはいるだろうか。
「……お前らもつけられてたな、クライン」
キリトも武器を構えた。
「……ああ、そうみてェだな!」
50mほど離れたエリアの端から、風林火山とオレ達を見つめる集団の中には、何人か顔見知りもいた。
風林火山のメンバーがリーダーであるクラインに顔を近づけ、低くささやいた。
「あいつら、聖竜連合っす。フラグBossの為なら、一時的オレンジ化も辞さない連中っすよ!」
それは……キリトは勿論、俺もよく知っている。
攻略組、トップギルドの一つで、最強ギルドと謳われる血盟騎士団と並ぶ名声も誇る。
個々のレベルは俺やキリトの方が高いが、数の多さとそして安定した強さ……それが聖竜連合の強さだ。
かなり厄介だぞ…………キリトだけを行かせて俺が…………
「くそっ!!くそったれがっ!!」
クラインが叫び声を上げる。
「行けッ! キリト! シャオン!!ここは俺らが食い止める!お前らは行ってBossを倒せッ!
アレだけ大見得切ったんだ!死ぬんじゃねえぞ!オレの前で死んだらぜってえゆるさねえからな!!」
クラインの怒声と共に、風林火山メンバー全員が構えた。
「………悪い、クライン」
キリトは背を向ける。
もう、時間は殆ど残っていない。後数分で指定時間だ。
2人は最後のワープゾーンへと足を踏み入れた。
Story3-11 END
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