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ハイスクールV×D ライド22
「今日も収穫無しか……」
「神父のふりをしていればその内アイツと出会うと踏んでいたんだけどな……」
路地裏に一誠達三人のグレモリー眷属と匙の姿が在った。彼等の服装は駒王学園の制服では無く、男三人が神父の服で小猫だけがシスターの服。
協力こそ出来なかったものの、情報交換とエクスカリバーの破壊の許可だけは取り付けることが出来た。……『出来るのなら破壊しても良い』と言う言葉だったが、一誠達にはそれで十分だった。
木場が神父の襲撃現場に遭遇……その際に交戦したエクスカリバーの一振りを持った襲撃者が、以前一誠が遭遇したはぐれエクソシストである事が判明。……そんな訳で、ここ数日こうして神父のふりをして襲撃者をおびき寄せようとしているのだが、未だに収穫は無かった。
その日の放課後……まだ巻き込まれている様子の匙を含めたグレモリー眷属の三人……一誠、木場、小猫の姿を四季と詩乃の二人は遠距離から監視していた。
「それにしても……」
「神父とシスターの服って……」
近くに有るビルの屋上から水色の髪でその姿での武器となる《ヘカート》のスコープを覗いている詩乃と、双眼鏡で確認していた四季の二人が彼らの姿を見てそう呟く。
(随分と匙の奴も協力的だな……何か有ったのか?)
ファミレスで分かれたときに比べて匙も率先して協力している様子が有る為にそんな事を思う。
協力はしなくとも情報交換程度はしたのだろう。……匙には悪い事をしたが態々一誠達グレモリー眷属には決闘の一件の恨みも籠めて囮になって貰う為に、『関わるな』と言う条件を提示しなかった。
ここ最近、この街を訪れた神父が次々と惨殺されている事から、誰かが迎撃の為に動いているのは明白……恐らくはそれはコカビエル達一味の仕業だろう。
「『関わるな』なんて言わなかったのはこの為なんだ。精々動いてもらうぜ」
「……時々思うけど、四季って……」
「敵だけだ、冷たいのは」
情報を持っていても自分達が敵をおびき寄せるための囮にならなかったのは、詩乃を危険に晒さないため。リスクを誰かに押し付けることが出来るのなら……それが対して温かくない関係の一誠達に押し付けられるなら、そう思って関わらせたのだ。
「こっちが関わってくれと言った訳じゃない。向こうが関わってくれているだけだ」
悪人みたいな笑みを浮かべる四季に対して『悪い事を考えてるな』等と思いながら溜息を吐く詩乃。そんなやり取りをしている間もグレモリー眷属の監視は怠っていない。
「四季」
「どうした?」
「作戦は成功したみたいよ」
「っ!?」
詩乃の言葉に反応し双眼鏡を覗きこむと、グレモリー眷属+匙と対峙している白髪の剣を持った男の姿が在った。
「撃つ?」
「いや、オレが向こうに行く、監視は任せた。……隙を見て襲撃者のエクスカリバーを持った腕を狙ってくれ」
「分かった」
そう言って四季は一誠達グレモリー眷属+匙のところへと向かう。……別に飛び降りても無事に着地する術が無いわけでは無いが、こんな所で余計な力は使いたくない。そんな訳で素直にこのビルの屋上に入り込むのに使った非常階段を使って下に降りて行く。
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