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第四章
「茶道で飲むお抹茶はまた格別ですね」
「そう言ってくれると嬉しいわ、それじゃあね」
「はい、もう一杯ですね」
「淹れるわ、今度は回し飲みをしましょう」
その飲み方で飲もうというのだ、そして一杯の碗の中の茶を部員全員で回し飲みをしたのだった。その部活の後で。
帰ろうとしたところでだ、同じ二年生の部員達に呼び止められたのだった。
「水野さん、いい?」
「一緒に帰らない?」
「一緒に?」
「うん、お茶飲んだけれどね」
「喫茶店寄らない?」
「駅前のマジック」
「そこに行かない?」
こう言って誘って来たのだった。
「これからね」
「マジックね」
「あそこの紅茶美味しいから」
「水野さん紅茶も好きかしら」
「だったらよかったらね」
「一緒にどう?」
「それじゃあ」
寿子は彼女達の言葉に応えてだった、そのうえで。
彼女達と一緒に喫茶店、十九世紀のイギリスを思わせる木製のダークブラウンの店の中に入った、そしてだった。
その喫茶店の席に座って紅茶を頼んでだ、そうしてだった。
その紅茶を飲んでだ、寿子はこう言った。
「ここの紅茶美味しいのよね」
「あっ、知ってるのねここのお店」
「水野さんも」
「そうだったのね」
「紅茶も好きだから」
それでとだ、寿子は彼女達に微笑んで答えた。
「だからね」
「じゃあ話が早いわね」
「ここの紅茶も楽しみましょう」
「皆でね」
「ええ、ここはケーキも美味しいから」
寿子はにこりと笑ってスイーツの話もした。
「紅茶によく合うのよね」
「そうそう、そうなのよね」
「だからこのお店いいのよ」
「カウンターの若い男の人無愛想だけれどね」
「マスターと娘さん達は愛想いいから」
「あっ、その人だけれど」
お店の人の話になるとだ、寿子は小声になってだった。そのうえで彼女達に対してこうしたことを言ったのだった。目はカウンターを密かに見ている。
「カウンターの人ね」
「うん、今紅茶淹れてるね」
「あの人ね」
多分自分達のものだろうと考えながらだ、彼女達もカウンターを見つつ寿子に応えた。
「あの人がどうしたの?」
「格好いいとか?」
「背高いしスタイルいいしね」
「無愛想だけれどお顔はいいわね」
「寿子ちゃんの好みなの?」
「私はどっちかっていうと千葉雄大さんだから」
この役者が好きだというのだ。
「あの人も悪くないけれど」
「あれっ、じゃあ違うの」
「あの人がタイプとかじゃないの」
「また別の話なの」
「そうなの」
「うん、あの人多分だけれどね」
そのカウンターの若い男を見つつだ、寿子は話したのだった。
「このお店の娘さん、一番上の人とね」
「あっ、あの小柄で垂れ目のね」
「黒髪のショートヘアの人よね」
「あの人私達より年上だけれど可愛いわよね」
「アイドル出来る位にね」
「あの人とね」
見ればその女の人もいる、寿子は彼女も見つつ話すのだった。
「仲いいわよ」
「あっ、そういえば距離が」
「二人共近いわね」
「結構親密?あれで」
「ということは」
このことから言うのだった。
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