同志
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第三章
だからだ、表面上はそういうことにしておけばというのだ。
「だからな」
「ばれないといいか」
「ばれてもな」
それでもだった、禁じられた場合でも。
「文革みたいなことはないさ」
「ああした時代じゃないからな、中国も」
「ああ、ヒステリックに自己批判させられるとかな」
そうしたことはというのだ。
「ないさ」
「党も弾圧はしてもな」
「殺すことはなくなったからな、滅多にな」
「国家反逆でもないしな」
同性愛はそこまではいかない、流石に。
「俺達そんなつもりはないしな」
「正直政治には興味はないさ」
「俺もだよ」
このことも二人共だった、王も李もそうしたことには一切興味がない。テレビや新聞も普段は政治的なものは聞き流してとばし読みしている。ネットでも観ない。
「憤青と違ってな」
「連中はその政治さえわかってないけれどな」
「馬鹿でも興味を持つのは自由だからな」
「ははは、中国も自由になったな」
「毛沢東の頃よりはな」
多少にしても、というのだ。
「そうなったな」
「そうだよな、まあ体制を潰すものでもないし」
「禁じられてもな」
例えそうなっても、というのだ。
「殺されはしないし」
「表向きは友達ってことでな」
「付き合っていこうな」
こう話すのだった、そしてだった。
二人で王の部屋で一晩過ごした、二人のことは誰も知らないがそれでも若しもの時のことは考えてもいた、そしてその党の上層部はというと。
この問題についてだ、それこそ政治部レベルで話をしていた。党の最高決定機関と言われるその中においてだ。
彼等は首を傾げさせてだ、一室で話をしていた。
「好ましくないか」
「共産主義の考えではな」
ソ連が同性愛を禁じていたことから来る考えをだ、彼等も言及した。
「そうなるな」
「そうだな」
「しかしだ」
ここでこうも言うのだった、彼等は。
「別に体制に関係ない」
「そうだ、同性愛は変わった趣味であるだけだ」
「しかも我が国には昔からあったからな」
「そうした話もな」
彼等もこのことは知っている、それでここで話すのだ。
「ある、だからな」
「禁じてもな」
「このことを言われると難しい」
「しかも体制を脅かすものか」
「まさか、ただの同性愛だ」
好ましくないと思うところはあっても、だった。
「所詮な」
「一人っ子政策にはかえって都合もいいしな」
「子供が出来ないからな」
「少子化にもつながるが」
中国は人口問題と共に少子高齢化の問題も抱えているのだ、何かと難しい状況である。しかしそれでもだ。
同性愛はだ、どうかというと。
「所詮少数派だしな」
「しかも体制には影響はない」
「彼等は我々を批判しない」
「特にな」
「だからな」
「これといってな」
「禁じることもないのではないのか」
こうした言葉も出て来た。
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