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第二章
「然るべき時にはね」
「然るべき時って」
「それって」
「今じゃないけれどね」
今この時ではないというのははっきり言った。
「その時になればね」
「スカートとか半ズボンも」
「そういったのを」
「穿くから」
このことは間違いないというのだ。
「そういうことでね」
「ううん、そうなの」
「その然るべき時ってのが何時かわからないけれど」
「とにかくあんたもよね」
「そうした服を持ってるのよね」
「そうよ」
このことは確かな声で保障する梨亜杏だった。
「ちゃんとね」
「その時が気になるけれど」
「そういうことなのね」
「あんたもちゃんとそうした格好はする」
「そうなのね」
「そう、ただ高校まではね」
その時まではというと。
「ちゃんとスカートも穿いてたから」
「それ制服でしょ」
すぐにだ、女の子達は梨亜杏の今の言葉に総員で突っ込みを入れた。高校までのスカートというとそれが第一に来るからだ。
「制服なら当たり前じゃない」
「女の子はスカートなんだから」
「それ以外の何があるのよ」
「そう、だからよ」
それでだというのだ。
「私もスカートは穿いたことあるから」
「それでも今はね」
「ズボンなのね」
「いつも」
「そうした時以外は」
「そうなの、まあとにかくね」
ここまで話してだ、そしてだった。
梨亜杏はズボンでいるのだった、その彼女にだ。
ある日その友人達がだ、こう言って来た。
「今度の土曜時間ある?」
「バイトとかサークルの予定ある?」
「土曜日ね」
土曜と聞いてだ、梨亜杏は彼女達に答えた。
「サークルはなくてアルバイトは午前でね」
「じゃあ午後空いてるのね」
「フリーなのね」
「ええ、完全なね」
そうだとだ、友人達に笑顔で答えた。
「それで家でゲーム三昧って考えてたけれど」
「そこを変えない?合コンに」
「そっちに」
「あっ、合コンね」
合コンと聞いてだった、梨亜杏はにこりとなった。そのうえで友人達にこう返した。
「それじゃあね」
「行くのね」
「もう即決みたいだけれど」
「ええ、実は今ね」
今の自分はどうかというのだ。
「フリーだから」
「というか大学入ってからよね」
「梨亜杏ってフリーよね」
「彼氏いないわよね」
「実際のところそうなのよ」
梨亜杏自身も苦笑いと共にそのことを認める。
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