新説イジメラレっ子論 【短編作品】
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蛇足
新説イジメラレっ子論、読んでいただきありがとうございます。
8話に「二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めた~」という文章がありましたよね。知っている人は知っていると思いますが、あれはフレデリック・ラングブリッジの『不滅の詩』に登場する有名な言葉を2人に当てはめて引用したものです。小説の概要部分にもちょっと表現を引用しました。あの二人を言い表すのにこれ以上相応しいものはないと個人的に思っています。
(ちなみにあの詩には「同じ風景でも人によって違うものを見ている」とか「人はいつも希望を見つめたがる」など様々な受け取り方があるようです)
この場合、鉄格子というのは真人君にとっては忘れることのできない過去の記憶です。
真人君は星の光から目を逸らして泥をかぶりました。どうせ自分は、と言い訳をするのも嫌だけど星の光を見失うのも怖かったから、光を見ていないふりをして強がりながら泥の道を突き進もうとしたのです。
一方、来瞳ちゃんにとっての鉄格子は家族や家庭、学校です。ある意味学校は真人君と共通しているかも。
彼女は泥の中にまっさかさまに落ちながらも、いつかは脱出できると信じて必死に星の光を追いかけてもがきました。一度は見失いましたが、星は一つではないからと見事に立ち直りました。
結局は二人ともまだ泥まみれな訳ですが、あの二人ならきっと大丈夫です。二人三脚でいつかは沼を抜けるでしょう。
荒の目立つ拙作ではありましたが、一応の目的は達成することが出来たかな、と思います。
私は何かしらを書くたびに目標みたいなものを掲げていたりするのですが、今回はいくつかの目標がありました。
テーマその一、10話以内にまとめる。
登場人物がどんなキャラなのかをきっちり書いた上で考えた話をを限られた話の中に収める、という単純なものです。切るところを切って入れる所を入れる、言わば編集能力を鍛えたかったのです。あまりグダグダ続けるのも嫌いですから。
結果として文字数的には当初の目標をオーバーしましたが、達成は出来たかなと思います。
テーマその二、ボーイミーツガール。
恋愛ものは私の最も不得意としている所でして、だからこそ安っぽくてもいいから、主人公とヒロインを結ばせてハッピーエンドで終わらせる事を重視しました。なお、麗衣ちゃんがヤンデレだったり関谷くんが片思いだったりと色々な要素を用意してましたが、書いてるうちに本筋にそぐわなくなってきたので大幅カットしました。
大分苦しみましたが、まぁ何とか形になりました。
テーマその三、弱さ。
よく暴力振るっていじめっ子を撃退したりするキャラいますよね。でも暴力を振るう人はやっぱりどこかで嫌われてて、同類同士でしか通じ合えない部分があると思うんです。そういう意味で真人くんは本当はいじめられる側の人間なんだという事を伝えたかったり。スカッとする暴力なんて本当は殆ど無いと思います。
これに関してはまぁ……正直伝えられたかどうか分かりません。
あ、ちなみに主人公は来瞳ちゃんでヒロインは真人くんです。
あの子は絶対にヒロインです。男の子だけどヒロインです。攻略対象です。
真人くんは元々私が書くのを断念した二次創作の主人公が原型として存在しまして、このヒロインをお披露目せずに終わるのは余りにも惜しいと使う機会を伺っていたのです。今後、彼を攻略しようと来瞳ちゃんの前には様々な刺客が現れることでしょう。麗衣ちゃんを筆頭に5人ぐらいは考えました(笑)
とまぁそんな話はさて置き、内容は賛否様々あると思いますが改めまして。
皆さんお疲れ様でした。
以下、あまりにもユルすぎて没にしたNG集です。
NGシーン 第2話で負け犬呼ばわりされた直後
(ま、負け犬って何よ!なんで初めて会った人にそこまで言われなくちゃいけない訳!?いいもん、ちょっと意地悪してやるもん!)
意地になった私は、あらん限りの握力を込めて差しのべられた手を握り潰そうとした。
だが――
「んん~!……はぁっ、はぁっ……も、もう一回……んん~~!!」
「お前、何がしたいんだ?」
どんなに必死で握っても全然握力が足りず、ただ顔を真っ赤にして手を握りしめているだけになってしまった。しかも相手はいい加減離してほしそうなのに無駄に頑張っている。
「どう!?痛い!?」
「正直ちょっとくすぐったい」
「………うわぁぁぁーーん!!そこは嘘でも痛かったって言ってよぉ!!」
(面白い奴……)
NGシーン 第2話の再開シーン
「あっ……昨日の」
「………………」
「まなちゃんだ!」
「その名前で呼ぶな恥ずかしいっ!!」
実に息の合った漫才であった、と後に香織は語った。
翌日から「二人は幼馴染説」がまことしやかに流布されることとなる。
NGシーン 第4話で教科書を盗み見した際
授業再開はよかったものの、横から教科書を覗く来瞳は唸っていた。
「う~ん。ど……どさふり……?」
「……土砂降り、だ」
「い、言われなくても分かってたんだからね!」
顔を真っ赤にしながら自身の読み間違いを否定する来瞳の拳がぽかぽかと襲うが、非力すぎて蚊ほども痛くない。来瞳はいたって本気なのだが、周囲の空気が妙に和やかになるだけだった。
「お前ら……なに授業中にじゃれてるんだ」
「一方的に絡まれてるだけですが」
NGシーン 第5話で風原が忠告した際
「大人など役に立つものか。自分の身は自分で守れ」
「む、無理だよ……怖いよぉ」
どれだけビビッているのやら、完全に及び腰の来瞳は風原の服の裾を掴んでふるふると震えている。
たしかに自分の身さえ自分で守れなさそうである。流石の風原もこのヘタレっぷりには呆れた。
「おまえ自分で言ってて情けなくならないのか?」
「だ、だってぇ……ひゃっ!?カ、カラス!」
「おい、俺を盾にするな鬱陶しい」
「ひぃ!?虫!!」
「ただのバッタだろうが。いちいち俺を盾にするな」
「だって怖いんだもん!風原くん守ってよぉ……」
(どんだけビビりなんだ……つーか掴まれてるシャツが伸びる)
その後、いい加減に鬱陶しくなった風原は草むらから適当な虫を捕まえて、それを利用してヘタレ来瞳を追い払った。その様子は完全にいちゃついているようにしか見えまかった。
NGシーン 幻の第六話の展開
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
無言で机に座り続ける風原と来瞳。二人ともどこか喧嘩しているようなぎすぎすとした空気を醸し出しており、2人とも不機嫌そうな顔はそっくりである。喧嘩している筈なのに、どこか雰囲気が一致しているように見えなくもない。
「倦怠期?」
「違う」
「違います」
(息ぴったりじゃん……)
実は仲がいいんじゃないのか?と疑る周囲だった。
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