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ハイスクールV×D ライド20
「お、おい、お前ら……」
何処まで行っても詩乃中心の四季の言葉に『恥ずかしいから止めて』とでも言おうとした詩乃だが、彼女の言葉を遮る様に第三者の言葉が響く。
「……何しに来たんだ、君達は」
「……まあ、大体見当は付くがな」
四季は視線を一誠へと向ける。其処に居るのは一誠と小猫……そして、何故か居る匙の三人だった。
「……ってか、ソーナ会長に許可は取ったのか、匙?」
「兵藤に無理矢理連れてこられたんだよ……」
取ってないのだろう、許可。
「先に言っておこうか。匙は兎も角、お前も木場も必要ない……邪魔だ」
「なっ!? 邪魔ってどう言うことだよ!? 大体お前に用はねえよ」
「残念ながら先に彼女達に協力を申し出たのはこっちだ。……邪魔にしかならない半端剣士と、九割役立たずのお前よりも、匙の神器の方が応用性に長けている分即席の連携も取り易い」
そもそも、二人掛かりで四季に負けている以上『邪魔』と斬り捨てられても無理は無いだろう。
「……あの、五峰先輩」
「ん?」
「……注文して良いですか?」
「オレが出すから好きな物を頼んでくれ。あと……匙、お前も災難だったな好きな物頼んで良いから元気出せ」
「……サンキュー」
小猫の問いかけにそう答えると、項垂れている匙にもそう声を掛ける。
「四季、お金は大丈夫なの?」
「まあ、此処でご馳走する程度にはな」
流石に目の前で見ている方が胸焼けするレベルで食べていた2人に更に人数が増えたことに心配する詩乃にそう答える。
「ああ、すいません、こいつの注文だけ支払いは別で」
その後店員を呼んで一誠の注文だけ支払いを別にする四季だった。
「って、お前! どれだけオレの事嫌いなんだよ」
「……半年前の覗き……」
四季の殺気を籠めた絶対零度の一言に真っ青になりながらも、半年前の事を思い出す。……元浜と松田と一緒に珍しく十分に覗きが堪能できたので良く覚えている。
「……変態先輩」
「小猫ちゃん!」
「なるほど、性欲の塊か。欲望の強い悪魔らしいと私は思うよ」
「悪い」
「なんでお前が謝るんだよ、匙!?」
周囲に打ちのめされながらも必死でその時の事を思い出す。
「あの時は……はっ!?」
思い出したのは徹底的に四季にボコられた悪友2人の姿。……そして、その時覗いたクラスは。其処まで気づいた後で詩乃に視線が止まる。
「……思い出したようだな、オレは今でもお前の眼球を抉り取って記憶が無くなるまで殴ってやりたいと思っている所だ」
「あ、あわわわわわわわわ……」
そう、既に四季の逆鱗に触れてしまっていたと言う事に改めて気付いた一誠だった。
「まあ、一度死んだ事だから目を瞑ってやる心算だったが……記憶くらいは無くなる用に殴った方が良いか? ……それとも、ブラスター・ブレードで叩ききった方が良いか?」
その心算で元浜と松田の2人は潰したのだから。
「すいませんでしたぁ!!!」
迂闊に覗きをしたら次は殺される。そう確信した一誠だった。
「それで、君達の用件はなんだったんだ?」
「あ、ああ。単刀直入に言うと……聖剣の破壊に協力したい」
ゼノヴィアとイリナが目を見開く。考えられる理由は一つ、木場の事情だろう。
悪魔の方から聖剣の破壊に協力すると言って来るとは思って居なかったのだろう。逆に四季と詩乃の2人はそれに納得していた。少なくとも、利害の一致は出来ているのだから。
「君達はどう思う?」
そう言って四季に話を振る。
「……なんでオレなんだ?」
「私は一本くらい任せても良いだろうと思っている。破壊できるのであればね」
ゼノヴィアの言葉にイリナが『え!?』と言う表情を浮べるが、
「ただし、既に協力を申し出てくれた君達の判断もあるだろう」
「判った。詩乃はどうする?」
「私は四季に任せるわ」
詩乃の意見を聞くが彼女も四季に判断を任せると言うものらしい。そして、一誠は四季に睨むような視線を向け、
「断る」
「なんでだよ!?」
「言っただろう。半端剣士と変態ドラゴンの力は必要ない、寧ろ邪魔だ」
二人掛かりで四季に敗れたというだけではない。
「悪いが……木場を仲間に入れる事はこっちの勝率低下に繋がる上に、感情に任せて暴走する奴はいるだけ邪魔。前衛はそこの2人とオレで十分。なにより、そいつの邪魔のせいで詩乃が危なくなったらどうする。それに……変態、お前に至っては問題外だ」
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