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水車の側で

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第六章


第六章

 イギリス側の将兵達も次第に死傷者を増やしていく。ピットも遂に。
「くっ・・・・・・」
 窓から覗いている時にだ。右手を銃弾がかすった。それでだった。
 軍服が破られ血が流れる。それに顔を顰めさせる。
「狙いが甘いな」
「隊長、大丈夫ですか」
「怪我は」
「だから狙いが甘い」
 不敵な笑みになってだ。こう気遣う部下達に言ってみせた。
「イギリス軍の人間を倒したければ頭を狙え」
「そういうことですね。それじゃあ」
「大丈夫ですね」
「ああ、これでいい」
 兵士の一人が差し出した包帯を自分で巻いてだ。そうしてだった。
 そのうえでまた指揮を執る。彼自身もライフルを手に取って狙撃する。一進一退の戦いが続く。それは暫く続くかと思われた。
 しかしなのだった。ここでだ。水車の方にだ。
 戦車や装甲車が来た。それは。
「ヤンキーが来ましたよ」
「ほら、あの連中が」
「何か偉そうに来てますね」
「正義の味方だな」
 ピットは窓から彼等の姿を見てだ。シニカルな笑みで述べた。
「遅れてやって来たって訳か」
「美味しいところ取りですね」
「全くヤンキーってのは」
「何処まで西部劇のつもりなんだか」
「ふざけた奴等ですよ」
「そうだな。それでもな」
 ピットはだ。将校らしく冷静に戦局を見てこうも述べた。
「これで我々はな」
「勝てますね」
「生き残れますね」
「そうだ。それは間違いない」
 それはだというのである。
「それだけはヤンキーに感謝しておこう」
「素直にですね」
「そうしておきますか」
 そんな話をしてだった。彼等はここでさらに踏ん張った。そしてその突如として姿を現したアメリカ軍を見てだ。ドイツ軍も撤退した。流石に戦車や装甲車が相手ではだ。歩兵だけでは相手にならなかった。 
 
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