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ハイスクールV×D ライド19
さて、調味料が切れていた事に気付いたので珍しく一人で買い物に出ていた四季は妙な物を目撃した。
(何やってんだ、あの二人?)
「えー、迷える子羊にお恵みを~」
「どうか天に代わって哀れな私達にお恵みをぉぉぉ!!!」
何処かで診たことの有るような二人組み……と言うよりもついさっき出会った聖剣使いの二人組みだった。
何と言うか、空っぽの箱を手に救いを求める姿はイリナの言う通り……本当に哀れだった。
哀れみを感じるが助けてやる気はそれほど起こらないのは、はっきり言って天界……と言うよりも教会側が他の精力に比べて金払い悪い上に鬱陶しい事この上ないからだろうか……。
「何てことだ。これが経済大国日本の現実か。これだから信仰の匂いもしない国はイヤなんだ」
「毒づかないでゼノヴィア」
本人達も言っているが路銀も尽きた様子だった。……コカビエル対策に聖剣もたせた二人だけで路銀も禄に渡さないとは……『どうぞ、エクスカリバーを奪ってください』と言っているとしか思えない。内心、教会の対応に本気で呆れている所だが、
「ふん、元はと言えばお前が詐欺紛いの変な絵画を買うからだ」
「何を言うの! この絵には聖なるお方が描かれているのよ! お店の人もそんな感じの事を言っていたわ!」
二人の次のやり取りに思いっきりずっこけてしまう。
(悪かった! 教会の上層部悪かった! 金払いが悪くて鬱陶しいけど、最後のところだけは俺が悪かった!)
二人の会話の先に有るのは辛うじてそれっぽいと言うだけの立派な額に入った絵だった。……どう見ても二束三文の絵、つまりイリナが詐欺にあって路銀を失ってしまったというわけである。
異教徒脅して金を奪うとか、寺を襲撃して賽銭箱を襲うとか言っているが、二人が原因で教会への報復を日本神話の勢力から依頼されたくは無い。
「仕方ない」
スマートフォンを取り出して詩乃の番号を表示、事情を話して夕飯の予定を変更。偶にはファミレスも良いだろうと思う。
流石にテロリスト紛いの行動は思いとどまって大道芸をしようと言っているが、その小道具に使われる聖剣を見たら木場はなんと思うだろうか。……それ以前に、エクスカリバー・ミミックならば十分に見世物になるだろう。
少なくとも、邪魔な落書きを切ると言う点では大いに賛成だ。
「おい、そこのバカ二人」
「「ん?」」
「これから夕飯に行くけど……一緒にどうだ?」
まあ、それ以前に……
「とりあえず、邪魔だからその落書きは切り刻もう」
「悪くないな」
「ダメ! これは止めてよ!!!」
そんな訳で結局四季とゼノヴィアのコンビネーションでイリナから絵を取り上げて切り刻む事に成功。……はっきり言って持っていても邪魔だし、明らかに値札のシールが貼られたそれは偽者だろう。
まあ、丁度二人が切り刻んだ所で詩乃が合流。四人で近くのファミレスで夕飯となった。
「うまい! 日本の食事は美味いぞ!」
「うんうん! これよ! これが故郷の味なのよ!」
「……何が有ったの?」
「……詐欺にあったらしい」
かなりの量の食事を取っているが、朝から何も食べてなかったらしい。……哀れである。流石に詐欺にあって路銀を全部失ったと言う所に詩乃も同情したらしく、路銀を少しだけ寄付する事にした。
「……ゼノヴィアだったか?」
「なんだ?」
「……少し恵んでやるから、悪い事は言わないからお前が路銀は管理しろ」
「言われるまでも無い。神に誓ってイリナには財布は渡さない」
「賢明だ」
そう言って三人の視線が更にメニューを見て『デザートからが本番よ』と言っているイリナへと集まる。どう考えてもゼノヴィアに渡しておいた方が安心だろう。
「詩乃、デザートは」
「いらないわよ」
……普通に詩乃さんからの使い注文のリクエストを聞いている四季も四季だが。
「で、私達に接触した理由は?」
「……単刀直入に言う、コカビエルを手早く排除したいから……オレ達も聖剣奪還に協力させてくれ」
そこまで言った後。一呼吸於いて
「主に詩乃の安全の為に!」
やっぱり、四季の行動原理は一つだった。
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