ムスタング
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6部分:第六章
第六章
「まあ連中は無事にやってるからな」
「俺達の任務は果たせてるしな」
「戦果もあがってるし」
「じゃあいいか」
「戦争が勝ちに近付いているならな」
それならよいとだ。彼等も納得しだしていた。
そしてだ。戦局はだった。
「ドイツ機自体も減ってるしな」
「国力は落ちているな、かなり」
「ああ、相当な」
「じゃあいいか」
こう話してだった。彼等の多忙について納得したのだった。
実際にだ。ドイツはこの戦略爆撃で国力を大きく失いだ。
それも大きく影響して敗れ続けだ。遂には。
首都ベルリンが陥落し降伏した。勝利の後でだ。
アイゼンハワーはだ。宴の場でこう言ったのだった。
「戦争で役に立ったのはジープにバズーカ、原爆にCー47だったが」
「その四つですか」
「役に立ったのは」
「そうだ。この四つは大きかった」
最後のCー47は輸送機だ。それもあるというのだ。
しかしだ。それに加えてだった。アイゼンハワーはこうも言った。
「だが。戦略爆撃も大きかったな」
「あれですか、B-17の」
「あれですね」
「あれがないと戦争はより長引きそして辛いものになった」
そうなったというのだ。連合軍にとって。
しかしそのだ。戦略爆撃があったこそからだとだ。
彼はだ。祝いの場で居合わせた者達に話したのである。
「非常に大きかった」
「左様ですか、戦略爆撃ですか」
「あれを使って」
「しかしだ。爆撃機だけでは成功しなかった」
こうも言うのだった。
「戦闘機もいてくれたからな」
「ああ、P-51ですね」
「ムスタングですか」
「ドイツ機は強かった」
敵だったからだ。そのことはよくわかった。
「だが。彼等がいてくれたからだ」
「戦略爆撃は成功した」
「そうだというのですね」
「その通り。彼等がいてくれたから戦略爆撃は成功し」
ひいてはだというのだ。
「戦争は早く勝利に終わったのだ」
「そうですか。だからですか」
「ムスタングのお陰で、ですか」
「戦闘機とそのパイロット達のお陰だ」
アイゼンハワーは笑顔でこうも言う。
「まことにな」
「ムスタングとパイロット達がいたからこそ」
「戦略爆撃は成功し」
「ひいては戦いは早く終わった」
「そうなりますか」
アイゼンハワーの言葉を聞いてだ。彼等もだった。
そのことを知ったのだった。ムスタングとパイロット達のことをだ。
その話を聞いてだった。ムスタングのパイロット達は。
戦争が終わりアメリカに戻る支度を基地でしながらだ。それで言うのだった。
「こき使ってくれたよな、アイクは」
「ああ。連日出撃だったからな」
「護衛の仕事がなくても何かあればだったからな」
「忙しかったぜ」
「ワーカホリックだったんだけれどな」
こう言うのだった。
「それでも。まあな」
「俺達のお陰で戦争は早く終わった」
「そうなんだな」
「じゃあいいか」
この考えに至る彼等だった。
「戦争の勝利と終結に貢献できたんならな」
「それに生き残れたしな」
「それじゃあな」
「文句は言わないでいいか」
こんなことを言いながらだ。彼等は。
戦争が終わりもういる必要のなくなった基地を次々に去っていった。P-51ムスタングは第二次世界大戦でも最高の名機と言われている。その鮫を思わせる引き締まったシルエットは今も人気が高い。この戦闘機とパイロット達が果たした役割は非常に大きかった。
爆撃機の損害は減りそれにより爆撃の効果もあがった。そして護衛戦闘機の役目以外にも活躍しだ。戦争を勝利に導いたのである。これこそが名機と言うべきであろう。
ムスタング 完
2011・9・4
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