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小説小ネタ倉庫

作者:龍牙
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ハイスクールV×D ライド17

 光の超兵装ブラスター・ブレード、それを無造作に構えながら四季がイリナと対峙している時、木場とゼノヴィア側は……

「……笑っているのか?」

 ある種の『狂喜』と言える表情を浮べている木場。

「壊したくて仕方なかった物が目の前に現れたんだ。嬉しくてさ」

 既に試合で終るのか疑問な表情を浮べて笑っている木場に内心で不安を覚える一誠。ギャラリー側で木場の様子を気にしていないのは詩乃だけだろう。

「……バカな奴」

 そんな木場の言葉が聞こえたのかそんな言葉を呟く四季。……どんな名刀や聖剣……神剣と呼べる類物であっても所詮は道具。罪があるとすれば武器では無く使い手側にあるだろう。……どうせ憎むならばエクスカリバーと言う道具では無く、教会全体を憎めと言いたくなる。

「ええ、復讐になんて捕われるなんて愚かな事よ。それに、あの事件は私達の間でも最大級に嫌悪されたもの。処分を決定した当時の責任者は信仰に問題ありとされて異端の烙印を押されたわ。今では堕天使側の住人よ」

「……二つ、勘違いしてないか?」

「勘違い?」

「オレは復讐を否定しない」

 イリナの言葉に四季がそう言葉を返す。四季は復讐は否定していない……寧ろ、過去と決別するために必要な過程の一つと考えている。

「寧ろ、中途半端な憎しみは返ってすっきりしない物だ。徹底的に憎みぬいた方が良い。その点でもあいつは『半端』だ」

 全てに於いて中途半端……それが木場に対する四季からの評価だ。道具に憎しみをぶつける事しか出来ない……半端な復讐者。己の全てを預ける愛剣も持たず『魔剣創造』と言う神器に頼り、感情に捕われただけで技を見失うほど技を使い続けていない技の面でも半端な剣士。
 それは剣自体の格の差もあるだろうが何本創造した所で四季に一薙ぎで纏めて砕かれた事からも明らかだろう。

「それに『皆殺しの大司教』とか呼ばれた『バイパー・ガリレイ』とか言ったか? そいつを破門した? 異端扱いした? 笑わせてくれる……“その程度”の処分で犠牲者達の恨みが消える訳も無い。せめて処刑くらいしておけ」

 現に波紋程度で済ませたからこそ今回の一件がある。

「何でその名前まで……」

「例によって情報屋ルート。何処でどうやって調べてるのかは知らないけど、優秀なんだ」

 『聖剣計画』について調べた時に知った情報の一つ……序でに僅かにでも関わった教会関係者や天使についても知っている。付け加えると天使の方は本当に何も知らなかったらしい。……そして、皆殺しにした『本当の意味』も。

「大体、異端扱いしたからって教会に責任が無くなる訳じゃない。そいつが神の名の下に聖剣計画を行なった事実は覆らない。……お前達教会……いや、聖書の神はエクスカリバーと言う聖剣の名を汚した“邪悪”だ」

 そう言いきると四季は肩をすくめながら、

「判り易く言えば警察官が不祥事を起したら同じ組織に所属している者全てが犯罪者として見られる。と言うのが俺の考えで、二つ目の勘違いだ。大体、そうして多くの罪の無い血を吸わされたエクスカリバーを使っていると言う事は奴の研究を利用していると言う訳だろ……益ばっかり得て罪を否定するのは良くないぞ」

 そう言って四季は超兵装ブラスター・ブレードをイリナへと突きつける。

「……さて、“邪悪”な聖書の神の使徒さん……始めようか?」

「くっ!」

 擬態の聖剣を構えて切りかかって来るイリナの剣を超兵装ブラスター・ブレードで受け止める。スピードこそ木場に劣っているが十分に二人でコカビエルと三本の聖剣に挑むだけの実力はあると言えるだけの早さだが、

(まだまだだな)

 何度も目にして目標としてきた光の剣士と影の剣士には遠く及ばない。……まあ、比べられている対象の事を知ったら泣いて良いと思う。幾らなんでも並みのドラゴンならば一瞬で切り伏せるレベルの剣士達と比べるのは酷と言う物だろう。

「折角計上変化の武器を持っているんだ。受け止められたら一部を変化させて追撃する程度の想像力は必要じゃないのか?」

「そ、そんな事言われなくてもっ!」

 そうアドバイスすると同時に相手の剣を弾きながらバックステップで距離を取る。

「形状変化を利用するなら斬撃と同時に行なう……ってのも手だな。反撃を狙って紙一重で回避する相手には有効だぞ」

「判ってるわよ!!!」

 回避するにしてもそれらの可能性を考慮して大きく……突然の形状変化にも対応できる距離を取って回避する四季。

「他にも鎧にするのも一つのアイディアだろうな」

「剣じゃないじゃないの!?」

「……人間、娯楽って必要だな。これだから、お堅い所しか知らない奴は柔軟性にかける。刀を集める物語には日本刀の技術で作った全身鎧を《刀》って言い切っていたぞ」

 適正があっても擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)を使うにはイマジネーションが足りない。……列車戦隊並みのイマジネーションが有ればその能力を有効に活用できた事だろう。

「それと、力量差を読み間違えるのは致命的な敗因だ」

「っ!?」

 そう呟いて大きく後ろに跳ぶとイリナから距離を取り、超兵装ブラスター・ブレードを突きの体制で構え、

「ピンポイントバースト!!!」

「っ!? カハッ!!!」

 突きと同時に超兵装ブラスター・ブレードの刀身が展開され、そこから放たれる光の砲撃。それをエクスカリバー・ミミックで受け止めようとするイリナだが、耐える事も出来ず剣を弾かれ光の砲弾によって吹飛ばされ、そのまま校庭をバウンドしながら転がっていく。

 弾かれたエクスカリバー・ミミックがそのまま校庭に突き刺さる様はまるで彼女の墓標のようにも見えるが、十分立ち上がれる程度に手加減しておいた。ピンポイントバーストを受け止めた際に僅かに罅が入っているのには誰も気付いていなかったが。

「この勝利を貴女に。マイ・ヴァンガード」

 誰もが疑う事のできない勝利の構図……己の勝利の宣言を告げた。


 
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