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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第12話 2人の鬼、再会を果たす

 
前書き
大変お久しぶりです。仕事とパソコンで見損ねたアニメを見るなどで手がつかない、ネタが浮かばないの状態でした。まぁとにかく、話が纏まったのでお送りします。

それではどうぞ! 

 
刃衛と睨み合う千鶴と美琴とカナ。美琴とカナは多少の場馴れしているが千鶴は違う。彼女の腰には小太刀があるが、戦いの経験がない。現状の最善は何とか時間を稼ぎ、土方と連絡を取って合流するしかない。

「いいですか?私たちじゃあの男に勝てない。早く土方先生と連絡を取って合流する。だから千鶴さん…私とカナが時間を稼ぐから貴女は土方先生に何とか連絡してください」

「でも美琴ちゃん!」

「大丈夫ですよ千鶴さん。美琴ちゃんの面倒は私がちゃんと見ますから」

「ちょっ!カナ!」

「美琴ちゃんもケガしちゃダメだよ?まだ上条さんに告白してないんだから」

「………は?」

先ほどまで刃衛が居るため殺気が満ちた空間(シリアス)だったのにカナの発言で一気に霧散した

「ちょっカナ!!こんな時に何バカなこと言ってるのよ!?」

「こんな時だから言うんじゃない?」

「はぁ!?」

美琴にはカナの言葉の意味が理解できなかったがカナは説明を続けた

「もし此処で美琴ちゃんがケガしたら上条さん、きっと悲しむよ?美琴ちゃんそんな上条さんを見たい?」

「カナ……」

カナの言葉に流石の美琴も反論できなかった。そして考える…あのバカは私の心配をしてくれるのか…そう考えると過去に自分が絶対能力者(レベル6)の件で絶望し、心の中で助けを求め、叫び続けた。そしてそんな彼女の心を救ったのは紛れも無く、彼…上条当麻だった。
美琴は自分の命と引き換えに妹達(シスターズ)を救おうとしたが上条に止められ、美琴は力ずくで行動するが上条は右手を使わず、()()()()体を張って彼女を止めた。そして美琴は体を震わせながら傷だらけの彼に尋ねた  

『なんで…そんな顔で笑っていられるのよ…』

そんな美琴に上条はフと笑みを浮かべながら答えた

『お前の味方で良かったって思ったからさ…だから、泣くなよ』

彼に頭を撫でられ、彼の言葉で美琴は涙を流しながら今まで抑えていた感情(モノ)をさらけ出した…

美琴もようやく落ち着き、上条はある方法を思いついた。最弱(じぶん)最強(アクセラレーター)に勝てばその実験を止める事が出来るのではと…だから彼は言った。『俺が戦う』と…しかしそれは美琴にとって容認できるものじゃなかった。この実験は自分のせいで始まった。だからこれは自分の手で終わらせなければいけないのに彼は美琴に笑顔である“約束”をした

『何一つ失うことなく、皆で笑って帰るってのが俺の夢だ。だから…それが叶う様に、協力してくれよ』

そう言って実験場(せんじょう)へ向かう彼の背中をみて美琴は涙を流しながら見送った。
そうして上条は一方通行(アクセラレーター)と戦い、見事勝ちを取るが全身傷だらけ、1週間以上の入院を余儀なくされた。美琴は見舞いのクッキーを片手に上条の元へ訪れて彼から実験の事、妹達(シスターズ)の今後を教えてもらい、その後は他愛もない話をしながら美琴はようやく気付いたのだ。自分の気持ちを・・・


---そっか…私、コイツのこと惚れてたんだ……---

そして美琴は心の中である誓いを立てていた。


---いつまでもコイツに頼りっきりは嫌だ。もっと強くなってアンタの力になりたいーーー



という過去を思い出しながら美琴は顔を赤くしながらも顔を強く横に振り、目の前の強敵を相手に改めて気を強く引き締めた

「…たく!カナのせいでヤな事思い出したじゃない!」

「ふふっそう言ってる割に顔がにやけてるよ美琴ちゃん?」

「………」

カナとの会話のおかげか美琴に少し心に余裕が戻った。そして再び、美琴とカナ、千鶴と刃衛の戦いが始まった

「鵜堂さん…土方さんが来るまでの間、私たちがお相手します」

「うふふ、いいだろう…退屈しのぎにはちょうどいい」

そう呟いた刃衛は両腕に差していた刀を構え、数十m離れていた距離を一気に駆け抜け、3人に襲い掛かるがカナが即座に前に出て盾を出した

念動(サイキック)ぅぅぅぅっ!女神の大盾(イージス・シールド)!!」

カナが刃衛の刃を防いでいる間に美琴が砂鉄剣を作り出し、刃衛に斬りかかる。

「くらいなさい!!」

「おっと!」

しかし刃衛も幕末の戦乱を生き抜いた剣客。そう簡単に討たれる男ではなかった

「やはり駄目だな。殺気が無くまるで猫と戯れているみたいだ」

まるで遊びに飽きた子供のような顔で刃衛は3人を見下すが当の3人…特に美琴の目はまだ諦めていなかった

「あらそう。だったら……これはどう!!?」

「ん!?」

突然刃衛の足元から黒い砂嵐(・・・・)が舞い上がった。しかしよく見ると美琴が操っていた砂鉄だった。そしてその砂鉄の嵐はまるで黒い龍となり、刃衛に牙をむいて襲い掛かった

「うふふ」

しかし刃衛はそれを容易くかわし、美琴を小バカにする様な態度を見せる

「残念だな小娘。せっかくの技も当たらなければ意味が…」

だが美琴はそんな刃衛を不敵な笑みで黙らせた

「残念なのはそっちよ!!」

「何!?」

そう、先程の美琴の攻撃は、念を入れて風下から死角に回りこみ、反撃の機会を待っていた本命を隠すための()だった。



そう…



念動(サイキック)ぅぅぅぅっ!」


家長カナという本命を…!


真空の連射砲(エアロ・ガトリング)!!」


カナの見えない奇襲によって刃衛の両腕の骨は砕かれ、吹き飛ばされた

「ぐぎゃあっ!!」

3人にとって…いや、美琴とカナにとって始めての命のやり取りだった。刃衛を戦闘不可にすることは成功したが2人の体は酷く震えていた。

「はぁ、はぁ、はぁ…」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ…」

無理も無い、刃衛との戦いは気を抜けば殺されるのだ。それでも勝ちを取った3人はやっと安堵の表情になった

「は、はは…な、なんとか…なりましたね、千鶴さん」

「う、うん…」

実は刃衛が飛び掛かる直前に、この作戦を思いついたのは以外にも千鶴だったのだ。


刃衛が飛び掛かる直前・・・


『カナの攻撃がこの作戦の本命ですか?』

『うん。鵜堂さんはまず私たちに飛び掛かって刀を振り下ろしてくるはずだから其処はカナちゃんが盾で防ぐ。次に美琴ちゃんがあの砂鉄剣で攻撃するけど、美琴ちゃん、あの剣を大きく…それも相手の視界を妨げるくらいに大きく、広げることはできる?』

『そりゃあ、それ位ワケないけど…あっ!?』

『なるほど!』

千鶴の言葉に勘付いた美琴とカナは即席だが見事に刃衛を出し抜いた作戦を思いつき、今に至る





「それにしても千鶴さんの作戦のおかげでアイツを倒すことが出来ました」

「すごいですよ私達じゃこんな作戦すぐに思いつかなかったし…」

「そんな大した事じゃないよ。ただコレでも私は戦闘には参加できなかったけど池田屋を始めに油小路、鳥羽伏見、甲州勝沼、会津、仙台、函館と土方さんと一緒に戦場を駆け抜けたんだから!」

「そ、そうですか……」

「千鶴さんも、結構ハードな人生を歩んでますよね……」

美琴もカナも千鶴本人から“新選組と共に行動していた”と聞いていたがその戦場の数を聞かされると彼女なりにかなりの数の修羅場を掻い潜ってきた人物なんだなと改めて思い知らされたのだった。
そんな彼女たちの眼差しに恥かしく感じたのか千鶴は頬を赤く染めながらも土方に連絡を入れようとした

「と、とにかく!これで鵜堂さんは戦闘が出来ないから今のうちに土方さんに連絡を…」

「うふふ。いいねぇ…この痛み、この感触…」

「「「!!!!??」」」

だがここでありえないことが起きた。カナの攻撃で両腕を攻撃され、戦闘不可能になったはずの刃衛が立ち上がったのだ

「こんな痛みは実に久しぶりだぁ…」

「鵜堂さん!?」

「そんな!確かにカナの攻撃はあたったはず!?」

「なんで!?」


確かにカナの攻撃で刃衛の両腕の骨は砕け、その激痛で動けないはずだった。その証拠に彼の両腕は肘部分が折れているためか、ブランと垂れている。そのことにやっと気づいた刃衛は

「ん?」

右腕が思うように動かないことにやっと気づき、次に左腕を見た

「んん?」

そして何を思ったのか突然両腕をまるで鞭のように振り回し、彼の口調も徐々に興奮さを増していった
「ん?ん!んん!!んんんんん!?」

ついに刃衛は狂ったような…否、狂った笑みを浮かべながら叫んだ
「これはいい!!まるで腕の節が一つ増えたようだ!!!」

刃衛の叫びに3人は恐怖を感じた。“コイツは何を言っているんだ?”

だが刃衛にそんなことは関係なかった。彼は両腕を鞭のように振り回し、一気に襲い掛かった

「感謝するぞ小娘共!抜刀斎以来の楽しい傷をよくぞ付けてくれた!!」

「「「!!!」」」

カナは先ほどの作戦同様、すぐに前に出て盾を展開した

「さっ念動(サイキック)ぅぅっ!女神の大盾(イージス・シールド)!!」

盾を出すことに成功したが刃衛の猛攻は凄まじく、カナは一歩も動くことが出来なくなってしまった。そしてついに…

「うふわははははははーーー!!」

「がっ!」

「カナ!」

「カナちゃん!」

刃衛の兇刃がカナを盾ごと左わき腹から右肩にかけて大きく斬り裂いた。

「カフッ…ゴフッ…」

「カナ!しっかりしてカナ!!」

「カナちゃん!カナちゃん!!」

「はぁっはぁっはぁっ…」

血を吐くカナに美琴と千鶴は涙を流しながら懸命に名前を呼び続けた。思った以上にカナの傷は深く、呼吸も酷かった。このままでは彼女の命が危ない!しかしそんなことは刃衛(このおとこ)には関係なかった

「なんだ、もう終わりか?もう少し楽しませてくれると思ったんだがな?」

千鶴は涙を流しながら怒りに満ちた表情で刃衛を睨み付けた。そして美琴は気づいてしまった…千鶴の瞳が黒から金色に、美しかった黒髪が銀髪に変わっているのが

「ち、千鶴…さん?」

そして美琴にとってあり得ないモノが千鶴から出てきたのだ。






そう



彼女の額から対となる2本の角が生えてきたのだ。その姿は正に先ほど刃衛が話していた空想上の怪物の姿だった


「うそ…千鶴さんが“鬼”だなんて…」

そう、今の千鶴の姿は美しい銀髪に白い角を持ち、その瞳は月のように美しい金色に輝いていた。しかし今の千鶴の瞳は怒りに燃えていた

「鵜堂さん…私は、貴女を許さない!」

彼女がそう叫ぶと同時に小太刀を抜き、刃衛に躍りかかった。対する刃衛も笑いながら千鶴と斬り合いを始めた

「やぁぁああああああっ!!」

「うふわははははははーーー!!」

型は綺麗だが、彼女の剣は実戦で鍛えたものではなく、道場で基礎までを学んだ剣であるため、刃衛と斬り合うのは不可能だった。
しかし千鶴の異常な回復力のおかげか腕や顔に付く小さな傷はすぐに治るために彼女はそのような傷や痛みは完全に無視し、刃衛と斬り合いを続けた。
しかしそれも長くは続かなかった。

「う゛っ!!」

「千鶴さん!!」

刃衛の放った刃は千鶴の左腕を深く傷つけ、彼女の回復力でもすぐには塞がらなかった

「うっ…ぐぅぅぅ!!」

千鶴は右手で傷ついた左腕を抑えながら刃衛を睨み付けるがそんなものはお構いなしと言うように刀を上げ、千鶴の眼を見ながら呟いた

「いいぞ雪村。今のお前の眼はまさに“鬼”…俺の首を取らんとする眼は良い殺気を宿していたぞ?」

そう口に漏らす刃衛は刀を下す直前にまた不気味な笑みを浮かべて呟いた

「せめての礼儀としてその首を落として副長に見せてやるとしよう!」

「千鶴さぁああああああああん!!!」









―――ガキィィィンン!!―――








美琴の悲鳴が響いた瞬間、金属がぶつかり合う音が響き、刃衛の刃から千鶴を守る刃が現れたのだ



「フンッ…黄泉川から警備員(アンチスキル)としての仕事をして来いと言われて現場に来てみれば…随分おかしな事が起きているではないか」

千鶴を守る刃の持ち主は金髪で赤い瞳、白いスーツを纏った男性が刃衛を睨み付けた。そして千鶴も突然顔見知りの人物の登場で角は消え、髪と瞳の色が元に戻った



「誰……?」

「貴方は……」

美琴は知らないが千鶴は知っていた。かつて池田屋で出会い、“禁門の変”から何度も新選組と死闘を繰り広げる事になった土方達の宿敵の一人。その男の名は……



「風間…さん……?」

そう、西の鬼達を束ねる風間家の当主であり、土方の最大の宿敵である風間(かざま)千景(ちかげ)本人が千鶴の前に現れたのだ


「ほほう?誰かと思えば確か雪村を色目で見ていた鬼の大将か?」

「そういう貴様は土方達新選組に身を置きながら、アッサリと脱走し攘夷志士に移った殺人狂か?土方や近藤も人を見る目が無い…このような志も何も無い狂犬を傍に置くとは呆れて物が言えぬ」

「む…」

結果的に千鶴を助けてくれた風間だが、自分が敬愛する新選組を小バカにされ、眉間にしわを寄せて抗議の視線を送った。しかし風間はどこ吹く風というような態度を取り、油断を見せることなく刀を構えて刃衛を睨み付けた。対する刃衛も刀を構え、風間の出方を伺った

「“あの女”から話を聞いていたがまさかアンタまでこの世界にいたとはな…鬼の大将?」

「そういう貴様こそ何故此処にいる?風の噂で戊辰戦争でしっぽを巻いて逃げ出したと聞いたが?」

「うふふ…俺は戊辰戦争(あのたたかい)からもずっと人を斬り続けていただけだよ。やはり人を斬るなら強敵との斬り合いが最高だ。雑魚を何百人殺したところで面白みに欠けるからなぁ…」

刃衛はそう笑みを浮かべるが、対して風間は静かに自身の怒りを燃やしていた。チラリと千鶴の様子を見れば傷口は塞がっているが彼女の服は所々が斬り裂かれ、血が滲んでいた。特に左腕がひどく、白だった彼女の服は赤く染まっていたのだ。これを見せられた風間の眼は更に鋭く、今直ぐにも斬り掛からんとする姿勢だった

「貴様が何処で何をしようが俺の知ったことではないが、我が妻を傷物にしたその罪は償ってもらうぞ?」


「は……?」


風間の“妻宣言”に側で聞いていた美琴は一瞬呆けるが一気に顔を赤く染めた

「ち、千鶴さんっ!?貴女、土方先生がいると思ってたけど実はこの人と!!??」

「み、美琴ちゃん!貴方は何言ってるの!!!この人は……!!」

美琴は顔を赤くしながら千鶴に事の真相を確かめるが千鶴も顔を赤くしているが、こちらは恥ずかしさというより誤解された事への怒りで顔を赤く染めて、その誤解を解こうとするが、そこへまた別の人間が千鶴の言葉を妨げた




「千鶴の言うとおりだ。俺の(おんな)に何勝手に“我が妻”宣言してんだ風間?鵜堂を殺す前にお前(テメェ)から斬るぞ?」

風間に対してかなり物騒な発言をする男は片手に刀。黒いスーツを纏い、黒髪で紫の瞳を持ち、その眼光は鬼の如く、幕末(まえ)の世界でも現在()の世界でも“鬼”と呼ばれる彼の名は…








「土方さん!!」

千鶴が信頼し、最も愛する男の名であり、刃衛が今最も付け狙っていた男の名。その証拠に…









「お……?副長……?副長なのか……?」

刃衛は数秒の間呆けるが、次第にその顔に醜く歪みきった笑みを浮かべ

「お……おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!???ふくちょおおおおおおおおおお!!!うふふはははははははははははは!!!」


此処に警備員(アンチスキル)に所属する元・新選組副長“土方歳三”と確証はないが同じく警備員(アンチスキル)に所属する元・薩摩藩の攘夷志士“風間千景”がかつて新選組所属の殺人狂…鵜堂刃衛が再会を果たした。






“鬼の副長”と呼ばれた土方歳三、“西の鬼の大将”の風間千景、“過去の亡霊”鵜堂刃衛





そう…





同じ幕末の戦乱を生き抜きながら、それぞれの違う視線で見てきた男たち3人が今、再会を果たしたのだ!

此処からが本当の“殺し合い”が始まろうとしていた!!

 
 

 
後書き
やっとできました……正直ここまで作るのにえっらい苦労しました。

久々の再会を果たす土方と刃衛。風間は何をしていたのか!?深手のカナはどうなるのか!?

次回!!『喰らい合う人外たち』

それでは次回までお待ちを!!
 
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