美しき異形達
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第三十四話 湖のほとりでその七
「その後で向日葵さんや菊さんが来られて」
「何か勘違いしたみたいなのよ」
向日葵も薊に話した。
「アイドルグループって」
「おいおい、何でそうなるんだよ」
薊は二人の言葉を聞いて笑ってこう返した。
「あたし達がアイドルって」
「その辺りはわからないけれどね」
「アイドルねえ、可愛いっていうのかよ」
「そんなこと言ってたわよ」
「あたしはそんなこと言われたことはないよ」
全く、というのだ。
「アイドルとかさ」
「私も。勝手に相手がそう思ったのよ」
「アイドルってな、最近一杯いるよな」
「うん、あの人達も言ってたけれどご当地アイドルね」
「そうしたアイドルって思われてたんだな」
「そうみたいよ」
こう薊に話すのだった。
「どうやらね、まあとにかくナンパされずに済んだわ」
「それは何よりだな、変な男だったらまずいしな」
「世の中色々な人がいるからね」
「ああ、だからな」
それで、と言う薊だった。
「向こうが勝手に帰ったのならよかったよ」
「勘違いしてね」
「まあアイドルとかはな」
それは、というのだった。
「ねえよって思うけれどな」
「そうよね、凄い勘違いよね」
「ううん、アイドルって最近バリエーション豊かだけれど」
菊も言う。
「私達がアイドルってないわよね」
「だよな、確かにアイドルってバリエーション豊かになったけれどな」
「それはないと思うけれどね」
「ステージ衣装着て歌って踊ったりとかな」
「何でそうなったのかしら、まあとにかくね」
「食うか」
「それで飲むか」
「ビール?」
「ああ、暑いしな」
だからビールだというのだ。
「それにしような」
「そうね、それじゃあね」
こうしたことを話してだ、そのうえでだった。
薊達は琵琶湖ではバーベキューを楽しんだ、牛肉や野菜を焼いてそのうえでだ。ビールも飲みながら楽しい時間を過ごした。
その中でだ、薊はふとこんなことを言った。
「さっき鮒寿司の話出たけれどな」
「食べたいの?鮒寿司」
「いや、鮒って川魚だからな」
それでとだ、菫に言葉を返して言うのだった。
「やっぱり火を通した方がいいよな」
「うん、川魚は生で食べたらあまりよくないわ」
「虫が多いからな」
「よく火を通して食べないとね」
「鯉とかもそうなんだよな」
この魚のことにも言及する。
「刺身にしても美味いけれど」
「そうそう、鯉もよ」
「川魚はそうしたことを注意しないとな」
「鯰もね」
黒蘭がここでぽつりと言った。
「注意するべきよ」
「鯰?」
「そう、鯰も食べられるから」
「ああ、鯰な」
「薊ちゃんは鯰食べたことがあったわね」
「まあ一回な、そこそこ美味かったよ」
実際にそうだとだ、薊は黒蘭の問いに応えた。
「意外とあっさりした味で」
「そうね、その鯰もね」
「虫が怖いんだな」
「川魚だからね」
「そうなるよな、ただ何でここで鯰なんだ?」
「琵琶湖だからよ」
だからとだ、黒蘭は薊に答えた。
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