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小説小ネタ倉庫

作者:龍牙
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ハイスクールV×D ライド11

「ったく、聖剣計画の事を思い出して早々に聖剣絡みの以来なんてな」

「なんでそんな事を思い出すのよ」

 恋人と言うだけでなく、賞金稼ぎの仕事上のパートナーと言う立場でもある以上、ある程度裏の情報などは彼女にも話している。時に表裏問わず世間で情報は武器や神器(セイクリッド・ギア)以上に強力な武器となる。

 主に四大魔王の性格とか、堕天使総督の趣味とか、比較的どうでも良い事から今回の聖剣計画の様にある種反吐がでそうになる様な気分の悪い計画についてもだ。

 そんな訳で聖剣計画の全貌については詩乃も強い嫌悪感を示しており、行き成りそんな話を聞かされては嫌そうな表情をするのも無理は無い。まあ、その計画で嫌悪感を感じないのは教会関係者くらいものだろう。

 四季曰く『ゾンビ映画の主人公の気分が味わえそう』と評した教会のエクソシスト関係……。まだ、殺人狂の方が人間らしいとも評している。

「ああ、前に木場と戦った時に言われた言葉を思い出してな。……“聖剣を超えられる”……。あいつは確かにそう言っていた」

魔剣創造(ソード・バース)って神器(セイクリッド・ギア)を持ってるからじゃないの?」

「その可能性も有るけどな、その時のあいつの目から見えたのは……」

 『憎悪』と言う感情が渇望の奥に見え隠れしていた。そもそも、それが本当ならば主の命を待たずに勝手に試合の条件を決めたと言う言動にも納得が行く。

「情報屋からの話しだと、その計画は一人分の屍が無かったそうだ」

 それは運良く逃げ切れた生き残りが一人居ると言う事になる。それが木場であるのならば、確実に七分の一程度の聖剣等遥かに超える力を秘めた四季の超兵装を求めるのにはそう言う理由があったのだろう。
 ……木場に漆黒の超兵装-ブラスター・ブレードの超兵装に習ってブラスター・ダークの超兵装を『超兵装ブラスター・ダーク』と呼称するべきかは謎だが-を使いこなせるとは思えない。

「それで、その仕事は受けるの?」

「……そうだな、報酬は魅力的な上に二重取り出来るけど……」

 敵は聖書に記される堕天使の大物……流石にそれと合わせて考えると報酬の額も十分に釣り合いが取れているが、

(仕方ない、これはオレ一人で……)

「当然、私も一緒に行くわよ」

 四季がそう考えていると詩乃が四季へとそう声をかける。

「詩乃、推測とは言え相手は堕天使の幹部だ。幾らなんでも危険……」

「四季、私は何? 貴方のパートナーでしょう? 貴方に守られるだけのお姫様じゃないわよ」

「そうだったな。悪かった」

 詩乃は自信家でそれなりにプライドも高い、だからと言って驕っている訳では無い。……そして、四季は誰よりも信頼して背中を預けている相手だ。危険だからと言う理由で四季に置いて行かれるのをよしとする訳が無い。

「一緒に戦おう、マイ・ヴァンガード」

 恋人となった日から、共に戦うと決めた日から、決めていた筈だ。どんなに強い相手でも二人ならば負けない。
 詩乃が間違えたなら自分が正す、自分が間違えたなら詩乃が正してくれる。二人が間違えたのなら……間違いに気付いた方が止めてくれる。どんな道でも二人でなら歩いていける。

(……まあ、その前にオレが切り伏せるか)

 それに仮にターゲットがコカビエルだとして、次の行動を推測する。エクスカリバーの強奪が天使側との戦争の為の火種となる事だとすれば……次の行動は悪魔側との戦争の火種を作る事だろう。

(そうなると、一人で残しても詩乃が危険って言う可能性もあるか)「ん? 雨か」

 頬に当たる冷たい水滴。空を見上げると黒く染まった空から雨が降り出していた。それはまるで四季の予想……不安が的中していると告げている様だった。





―パァンッ!―


「どう? 少しは目が覚めたかしら」

 体育館の渡り廊下に雨宿りの為に入ると其処に居たリアスが木場の頬を平手で叩いていた。

「対抗戦、優勝は出来たけれど、チームが団結しないとならない場面で終始貴方は心此処に有らずだったわ。一体どうしたの?」

 拙い所に出てしまったと思う中、治療を終えたらしい一誠達もその場面に出くわしてしまう。

「……木場」

 死んだような目で項垂れている木場の姿を見て一誠が疑問に思う。

「大会では申し訳ありませんでした。調子が悪かったみたいです」

 作り笑いと分かる笑顔で木場はリアスへと謝罪を告げる。

「もういいですか? 球技大会も終りましたし……。少し疲れましたし、暫く部活も休ませてください」

「おい、木場。お前……」

「五峰くん」

 そう言ってリアスの前から立ち去ろうとする木場を呼び止めようとするが、木場はそれよりも早く四季の姿を見て四季へと声をかける。

「何の用だ?」

「うん、大した用じゃないんだ。君に一つお願いが有ってね」

 濁った瞳で四季を見つめる木場の視線。それに恐ろしい物を感じたのか詩乃が一歩下がるが、四季が彼女を庇うように前に出ると、彼女は四季の手を握る。

「お願い?」

「……全てが終わればどんな代償でも払うから、ぼくに譲ってくれないかな……」

 憎悪と復讐心で濁った目で四季を見据えながら木場はそう告げる。

「君の魔剣を」




 
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