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新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~

作者:黒鐡
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1巻
  偽りの記憶×澪達が追われる理由について

「さてと、深雪もいい芝居だったな。ペルセフォネは二人の尾行を頼む」

「今まで学んできた事を試しただけです。そろそろ二人が出て行った頃ですね」

俺の部屋=織斑家当主の部屋に来ていた俺と深雪は、まずペルセフォネを召喚して窓からの追跡と尾行をお願いした。そしてこの場にクロウ、ラードゥン、ダハーカを召喚してから指輪の中にいる朱音達も召喚したのだったけど、もしかしたらこの人数に値する敵襲だと未来予知があるからだ。

「俺達は元々だが、朱音達全員出すのはいいのか?確か全員出せば一真も疲労感が半端なく襲ってくるだろう?」

「目だけでも神の力を発動していれば全員出しても問題ないのさ、それより未来の魔王様を分析した鈴音はどうだった?」

「正直言ってホントにあれが未来の魔王なの?と思ったくらいだわ、戦闘力と魔力も素人レベルだから。戦えるのも精々敵が少数だったらね」

そう言いながら、空間切断で敵が出現するポイントにクロウ達を送ったのだった。そして送った後に俺らも行くぞと言っては、玄関から出てから風術で俺と深雪は飛んだ。ドライグとサマエルにグレンデルは俺の中で留守番だと言ったが、クロウ達の出番がなかったので納得したけどグレンデルだけは頑なにして出してくれと言っていたが鋼鉄製ハリセンで叩いたらさすがの暴れ龍でも気絶したのだった。

「夜の風は気持ちいいな、それにしても俺が東城刃更の時に五年前の記憶が今になって甦るとは。もちろん俺は勇者の里生まれではないけど」

「お兄様はこの外史に来た時には既にお兄様の分身体は里から追放されていましたし、本来持つはずだった魔剣ブリュンヒルドや『無次元の執行(バニシングシフト)』という技を持っていません。持っているのは聖剣エクスカリバーと神の力です。五年前の事件で亡くなった者達は、お兄様のお力で勇者の里に戻っていると思います。記憶操作は最もお兄様の得意な力です」

「まあな、迅はもちろん勇者の里出身ではない偽りの情報だ。かつて最強の勇者と呼ばれたというのも、俺が植え付けた偽物の記憶であり勇者の力ではなく上位神に仕える夜叉とでも言おうか」

迅があの二人の事を知っていたのは、最初からであの二人が言ったように街で偶然会った訳ではなく、俺からの指示でずっとマークしていたからだ。随分前から《里》が極秘に動いているという情報の元、俺らは里を追放された身だから今更あちら側からちょっかい掛けて来る事はないからしばらく様子見をしていた。蒼い翼と独立蒼翼黒鮫課からの連携により、事態が急速に動いたらしいと聞いたのでどんな奴らなのか調べてもらった。クソジジイ=長老共が準S級監視対象に定めたくらいだからと里にいる俺らのスパイから聞いた情報。

五年前いた一族は魔族の脅威レベルに合せてランク付けをしていると聞く、準S級と言えば、その中ではほとんど最上位ランクでありこの上はS級と特S級しかないそうだ。魔族は通常この人間界とは別世界で、その辺りは拠点D×Dと同じような感じで冥界と呼ばれるがここでは魔界と言うらしい。人間界にやってきては問題を起こすバカはいずれも下級悪魔ばかりで、基本的に魔界から出てくる事はない。それが拠点とこことの違いだ。それとここでは勇者の一族と魔族は、休戦状態のようで和平とかはしていない様子だ。俺ら神族は基本的に悪魔の敵とされているが、前魔王ウィルベルトと交流があったからだ。それもかなり昔だが、俺らとは裏で停戦を設けていたからだ。話が少々脱線したが、長きに亘り人知れず繰り広げられて来た勇者と魔族との戦いは分身体が生まれた頃に区切りをつけていた様子だった。新たな魔王が、神族や勇者の一族との戦いを中止し人間界から魔族を引き揚げた。

「だから今いる人間界に来る悪魔はいずれもはぐれだけなのですね、お父さま」

「ああそういう事だ。ほとんどがEランクからDランクだったので監視対象か消滅対象となったが、あの二人が準S級とは俺もあまり驚かないよ深雪」

正確に言えば準S級は澪の方で、万理亜は澪の傍にいる存在として警戒はされている。深雪が俺の事を父親と呼んだのは、今なら呼べる事と今頃家にはメイド200人が豪邸に戻っているだろう。メイド達は澪が来た時は、豪邸の地下にいた。存在を隠していたがもう隠す必要はないと判断してから、俺らの護衛者の蒼太と沙紀も俺達が向かっているポイントに向かわせた。人払いの結界があるだろうけど、俺の直感だと魔弾により人間がドウター化したかもしれないという直感である。それと魔王というのは代々男の魔王だったし、人間界から撤退させた魔王がウィルベルトだ。原初の宿敵である神族は、穏健派である魔族と共に休戦状態になったが一年前にウィルベルトが死んだ。

そして今現在魔王をしているのは、澪ではなく現在魔界を支配しているのが魔王らしい。上位魔族でバリバリのタカ派で、そいつが澪を狙っている。正確にはウィルベルトの一人娘で力を受け継いでいるから狙われている訳さ。魔族は穏健派と現魔王派で分かれているそうだが、魔王ウィルベルトの力は魔族の中ではずば抜けていて好戦的な魔族達を撤退させるほどの力を持っていた。最強の力を受け継いだ澪であるなら、新たな魔王になるには喉から手が出るほど欲しいモノだろう。そんで穏健派のウィルベルトは魔界の多くに敵がいるので、気に入らない魔王の娘は人質になるので、生まれてすぐに人間界に送り、配下を両親役にして極秘に人間として育てららしいと聞く。

「それでウィルベルトが一人娘と離れ離れになったとしても、全ては愛する娘の幸せのためにとでも思ったのだろう」

「気持ち的には理解は出来ますが、その後からでしたよね?ウィルベルトが亡くなった後に強大な力は、争いから遠ざけるために離れた場所で暮らしていた成瀬澪へと受け継いでしまった。ただの女の子として暮らしていた彼女が、未来の魔王と知ってからは逃亡生活が長引いたとそういう事でしょか?」

「新たな魔王が澪の存在を許すはずがないから、養父母であった配下達は澪の目の前で殺されてしまった。そういう悲劇を目の前で見てしまったが、大方穏健派の者が保護をしたようだ。それで今は護衛を万理亜一人にしたそうだが、力を知ったのは半年前だからそれ以前は一般人だったという事だ」

「神族や魔族と勇者の一族が異能の力を使えるのは、人間界の外にある理を知っているからですよね。たぶん力の使い方は多少知っている程度で、魔王の力自体は受け継がれただけなので未覚醒の状態なので里の連中は監視対象として留めているのですか」

俺はああと言ってからこれから起こるであろうポイントに辿り着いてから、しばらく様子見だと言って真上にいた。今頃クロウ達は上手く尾行をしているだろう、反応があるので、あとペルペルは俺の肩に乗っている。穏健派はウィルベルトが死んでから急速に力を失いつつだから、現在万理亜が護衛をしている様子だった。ま、残念な事に現魔王派からは対抗出来ないから俺らの存在理由が出来た訳だ。迅からの通信により面白くなるというのは、こういう事であり分身体の記憶はあるが織斑一真として活動できる。里の連中は東城刃更が今どこにいるかは把握していないし、迅もそうだけど俺が五年前起こした事件の事や事件前で仲が良かった者との事は記憶だけであちら側は知らないだろう。

『どうやらそちらでは戦いが起こる様子だな』

「迅か、まあ俺らも予想通りの展開となったがどうも周辺にいる敵の数が尋常じゃない数のようだ。クロウ達と朱音達を尾行させているから問題ないだろう」

『ドラゴンと別世界での前四大魔王が戦うところは、俺も見たかったがこれも役目だ。俺は俺で魔界に行き、独自調査をしてきます。深雪様も一真様を頼みましたよ』

「ええ分かっていますよ、お父さまが少しでも本気になるとこの世界ごと消滅する力を持っていますから」

ははは、十分分かっているかのような言い草だな。俺の娘は・・・・まあ今はいいとして、果たしてまた俺達の目の前でドウターゲートが開くかは知らんが反応はあるらしい。ゲートが開く場所は澪達がいるところで、クロウ達も尾行から気配を消している状態だろうな。そんでしばらくするとクロウ達がいるところに人払いの結界が張った事で俺らは戦闘開始だと言うが動くのはまだだと言ってしばらく様子を見ていた俺達であった。 
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