ひねくれヒーロー
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閑話・なかよくしな
閑話・なかよくしな
アカデミーを卒業し、下忍合格してから一月も経たない頃のお話
「なぁ先生、俺等最近サバイバル演習ばっかじゃん?
なんか任務やろうぜッにーんーむー!」
紅の服の裾をつかみ駄々をこねるキバ
そんなキバに呆れながら、紅はイルカに何か任務がないか尋ねた
いくつかの巻物を手繰りよせ、思案しながら指し示すのは一つの巻物
「んー・・・そうだな、キバ達がやれそうなのは・・・
これなんか、どうですかね
シノも居るから遂行出来ると思いますよ」
駄々をこねるキバを、我関せずと眺めていたシノが初めて興味を示す
「・・・何故オレの名があがる?」
蟲が必要な任務なのだろうか
そう思いながら、任務依頼書を覗き見る
「これ、コンの交友関係調査の依頼だから」
ねたみコン
アカデミー男子クラスの座学No.1
比較的大人しく、協調性のある男
一体どんな依頼者が出したものなのやら
「・・・何故、コンの交友関係なんだ・・・」
そして依頼人は誰だと問いかけるが、匿名希望のため教えられないと断られる
レポート用紙を渡され、調査結果を記すように言われ火影邸から出る
まずは、自分たちの記憶から交友関係を広げていこう
シノの意見でレポートがまとめやすいようにと店へと入る
甘栗甘のテーブル席を陣取り用紙を広げた
「け、保健室の主か・・・
・・・もう友達はシノだけで良いだろ」
確かにシノはアカデミー時代コンと良くつるんでいた
従兄弟のシュロと異様に仲が良いため、ある意味必然と言える出会いを果たしている
「イ、イカリちゃんは・・・友達じゃ、ないよね・・・お母さんだもんね・・・」
ヒナタとイカリは仲が良く、イカリとコンも異様に仲が良い
ヒナタとコンはよくわからない
何やら同盟を組んでいるとは聞いている
イカリが母親だということを考えると、自称父親であるシュロも友達ではない
そうなるとシュロも省かなきゃな、ナルトはどうなんだ、兄弟だろあいつらなどと雑談が始まる
「待て、シカマルとチョウジもコンと友達だ
何故ならアカデミー時代の演習ではシカマルとチョウジとよく組んでいたからだ
・・・オレにシュロとサスケを押し付けて」
アカデミー主席のサスケと実技No.2のシュロと成績上位のシノ
基本ぼっちのサスケを放っておけないコンが、シュロに頼み込んだ結果なのだが・・・
コンは自分が一緒に組むという発想がないらしい
そもそも体力的に問題があるし、その問題をサスケが蔑んでいることが難点である
「あの2人仲悪いからな
・・・なんであんなに険悪なんだ?」
特に何もケンカなど起こっていなかった
キバの記憶にはそうある
「シュロはイカリが絡まなければ嫌わないと言っていたが・・・サスケは入学初期からシュロを嫌っていたな」
シュロのイカリへのアピールを邪魔するサスケ
くのいちクラスとの合同演習で良く見られる光景であった
「そういえば・・・この前八百屋さんでコン君とイカリちゃんのお父さんが一緒に買い物してるところ見たよ」
ここでのポイントは、コンとイカリではなく
コンとイカリの養父・・・すなわちダンゾウが買い物をしていることである
「・・・あの怖いじいさんと?」
イカリいじめ事件における、アカデミーへの怒鳴りこみは語り草となった
どうみても奴の外見は堅気のものではない
「う、うん・・・あと、シュロ君のお兄さんとその友達と一緒に銭湯に行ってた・・・」
ナルトははぶられたようである
「・・・トルネ兄さんとフーさんか・・・」
そういえば前に家に遊びに来ていたな・・・
暗部でもぶっちぎりの仲の良さを誇るトルネ&フー
だからといって暗部として、友人を実家に連れて行くのはいかがなものか
「あー・・・そういや、拷問部だっけ?そこの人と飯食いに行ってるの見たことある」
大きくなれないのは飯を食わないせいだと半ば無理やり連れていかれているのである
「確か六班は拷問部隊と関わる任務が多かったわね・・・
シナイの馬鹿がスパルタ教育してるから・・・」
三人の情報交換を眺めていた紅がふと漏らす
各班それぞれ特徴というものがあるが、任務があろうと無かろうと常に血生臭いのは六班
そんな風にしたのは担当であるシナイの意向である
「けっ!あんな体弱い奴にスパルタしても無駄ってもんだろ!」
すぐ吐血するし保健室行くし入院するし!
鼻息荒く主張するキバに、赤丸は耳を伏せ悲しそうに一鳴き
噂の本人がおらずとも、素直になれない主を心配しているようだ
「そういう風に言うからコンと友達になれないんだ
・・・お前の名前は書かないからな」
元から書くつもりはないがな
そう言って鼻で笑う
明らかな挑発だった
「てめ、シノっ」
コンはキバを友達とは認識していない
すると、彼らの席に近づく人影が見える
長身の竹刀を担いだ女、まじらずシナイが紅の肩をたたいた
「紅と・・・受け持ちの8班か
コンの名前が出ていたが、何かあったか?」
うちの子が何かしでかしたか?
そういうと空いている席に勝手に座る
「あら、シナイじゃない
ちょっと貴方のところのコンの交友関係わかるかしら?」
担当上忍なんだから、把握してるわよね?
言外にそう匂わせながら訪ねる
「交友?
拷問部だろ医療部だろ、特別上忍特にアンコだろ、ダンゾウに暗部のシュロ兄とその友達に・・・
病院だとカカシとハヤテか
あぁ、日向家の二の姫とも遊んでたな」
「え?ハナビと、ですか?」
自分の妹が同期と遊んでいる
そんなことは今まで知らなかったらしく、ヒナタは不思議そうにシナイを見上げる
「前に日向家の道場整備の依頼を受けてな
体格が近かったから組み手をさせてみたんだ」
「・・・あら可愛らしい」
ハナビとコン、身長差は10㎝以内、体重は殆ど変わらない
そんな2人が和やかに組み手をする姿を思い浮かべ、微笑ましく感じた紅
だがそんな感想もシナイによって切り捨てられる
「負けず嫌いと意地の張り合いの超融合で、お互い吐くまで殴り合ってた」
此方、吐血しながら年上の意地をかけて挑む剛拳使い
彼方、一族のプライドから負けるものかとたたみ掛ける柔拳使い
「止めなさいよ!」
「流石に御当主が止めに入られたよ
・・・まさかクロスカウンターの間に割って入られるとは・・・」
子供と侮ることなかれ
止めに入ったつもりが、良い感じに2人分の拳を体で受け止めたのである
「ち、父上・・・」
見たこともない父親の姿を想像して嘆くヒナタ
「ま、それからおやつの交換から始まって・・・
ちょこちょこ手紙のやり取りしてるようだ
浅く広く、がモットーみたいだな」
俗に、餌付と呼ぶ行為である
「その範囲内に入れないのかキバ」
「うるせぇ!」
「キ、キバくん・・・」
シノの挑発により怒りで我を忘れたキバ
机をたたきながら口早に叫び出す
「大体オレがいつあいつと仲良くしたいとか言ったんだよ!
オレはあいつが、コンが嫌いなんだ!」
あんな軟弱な奴!
そう吐き捨てた時、ヒナタの顔が青褪め、紅とシナイは揃って口元を引き攣らせ頭を抱えだした
シノが後方を指さした
振り返ると・・・コンがいた
ヒナタたちと同じように顔を青ざめたシュロとイカリを伴って
「ね、ね、ね、ねたみ・・・!」
「軟弱・・・?嫌い・・・?
こっちのセリフだ駄犬野郎!」
怒鳴り散らして踵を返すコン
あぁ、またこのパターンかと同期メンバーが呆れる傍ら、担当上忍たちは見守ることしかできない
呆然と口を開いたまま立ち尽くしたキバに、シュロが肩を叩いた
「・・・ツンギレって面倒臭いな」
「な、慰めないの・・・?」
「面倒くさい」
結論
ねたみコンの親友は油女シノもしくは奈良シカマル、秋道チョウジと記され・・・
犬塚キバの名が記されることはなかった
「ほーん、割と付き合い多いんじゃのー」
「・・・爺さん、何の手紙だ・・・?」
「コンの交友関係が気になっての」
「・・・なんでクロスカウンターの絵が添えられてあるんだ・・・」
「・・・知らん・・・」
「あ、あの・・・ハナビ・・・?
コン君と友達って、本当・・・?」
「友達?いえ、違います・・・あえて言うなら
好敵手です」
「?」
(いつか泣かす)
(ハナビが何か怖い)
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・・・
もはやなにも言うまい
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