美しき異形達
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第三十三話 神もなくその十一
「わかるわね」
「よくな」
「そうした遊びは出来ないわ」
「だよな、絶対に」
「ええ、ただ普通に楽しむことはいいわ」
あらゆる意味で危険な行為をする遊び、楽しみはともかくだ。
「それが学問だから」
「だからいいのか」
「ええ、水族館はそうした場所でもあるのよ」
「生きものを保護して、そして学問をする場所なんだな」
「その二つがあるわ」
「そうか、素晴らしい場所なんだな」
「ただし」
菖蒲のクールな言葉がさらに続いた。
「ここは営利施設でもあるのよ」
「ああ、八条学園の水族館や動物園もな」
「生徒は無料だけれど」
「部外者は入場料必要だからな」
「続けていくにはビジネスも必要なのよ」
「お客さんに来てもらわないと駄目か」
「さもないと続けられないわ」
水族館そのものがだ。
「そこもまた問題なのよ」
「シビアだな」
「ええ、生きものを守ることも学問を楽しむこともね」
「お金が必要なんだな」
「考えてみたら学校もね」
裕香も言うのだった。
「学費必要だからね」
「だよな、お金がないとな」
「何も出来ないのも世の中なのよね」
「水族館もなんだな」
「学問をするにはお金がいる」
「こうした意味でもか」
シビアにだった、そのうえで。
一行は水族館の中を巡っていた、そうして楽しんだのだった。そして次の日に滋賀に向けて出発したのだった。
第三十三話 完
2014・9・22
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