ひねくれヒーロー
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閑話・メシマズチョコと告白
閑話・メシマズチョコと告白
◇◆◇コン◇◆◇
2月14日に起きた出来事
現代ならバレンタインデーと呼ばれる日、何故か木の葉でも同様のイベントがあった
女子から男子にチョコを贈るという・・・日本式バレンタインデー
スーパーのチョコ売り場が飾り立てられているのを見て、前世と全く変わらないと思わず微笑んだ
だがそれも、チョコを大量に買いそろえるくのいち組みと・・・シュロの姿を発見するまで
奴らの姿を確認して思わず顔が引きつった
巻き込まれる前に逃げよう
速攻でそう決めて、まわれ右で背を向けるとイノに阻まれる
くそ、とっくにバレてたのか・・・
「ふふ・・・コン、ちょーっと良いかしら〜?」
「うちにはお腹をすかせたナルトがご飯を待っているんです・・・!」
「甘い!さっき一楽にイルカ先生と居たのを見たわよ!」
・・・ちっ
ナルトがいないから好きなもの買いに来たのが仇となったか・・・
「・・・何の用?」
あらかた予想はついているのだが、確認のために質問する
ない胸を張ってイノが高らかに答えた
「お菓子作りを教えなさい!」
・・・やっぱり・・・
◇◆◇ヒナタ◇◆◇
「ごめんねコン君、無理言って・・・」
「謝るんだったらこの拘束を解いてほしいなー」
「うん、それ無理」
イノちゃんやサクラちゃんと一緒にスーパーへお買い物
途中でシュロ君と出会って、皆でチョコを作ることになったの
イカリちゃんも誘いたかったんだけど、お家にいったら用事があるからって断られちゃった・・・
シュロ君にとったら、イカリちゃんがいなくてよかったのかな?
あんまりチョコを作ったことがないから、何をどうすればいいのか全然分かんないよ・・・
イノちゃんは溶かして固めればいいのよ!と言ってドンドンチョコを籠に入れていくけど・・・
それカカオ97%だよぉ・・・
サクラちゃんはサクラちゃんで、砂糖を大量に籠に入れていくし・・・
サスケ君、甘いもの嫌いなのに・・・チョコは甘いのに砂糖でより甘くするなんて・・・逆効果・・・
シュロ君は無難なミルクチョコとドライフルーツとコーンフレークを買ってる
多分、ドライフルーツとフレークを混ぜ合わせてチョコでコーティングするのかな?
男の子が一番おいしそうなものを籠に入れていくのを見て、あの二人は何も思わないのかな・・・
すっごく不安になったけど、イノちゃんがコン君を連れてきてくれた
コン君はサバイバル演習でも調理実習でも料理上手だって皆知ってる
イカリちゃんとよく手作りお菓子の交換もしてるから、お菓子作りも上手だって知ってる
・・・おすそわけを貰ったくのいちクラスの一部が、負けたって思う腕前がある・・・
きっと
きっとコン君ならイノちゃんとサクラちゃんの暴走を止めてくれる!
希望が見えてきた・・・これなら私でも大丈夫かも!
「・・・とりあえず、なんで砂糖籠に入ってんの?ついでに買いだし頼まれたのか?」
流石に砂糖1㎏はおかしいもんね・・・
「お菓子は甘いほうがおいしいじゃない」
サクラちゃん・・・限度ってものがあるよ・・・
コン君はサクラちゃんに目も合わせず籠から砂糖を取り出して渡した
「戻してこい
おい、なんでカカオ97%入ってんだ、罰ゲーム用か?」
砂糖の下に埋もれていたカカオ97%を見て呆れ顔
オレは好きだけどと呟いてるけど・・・コン君、舌大丈夫なのかな
「サスケ君、甘いもの嫌いっていうから!」
・・・確かにそういう話だけど・・・
「限度があるわ色ボケ
あとは・・・コーンフレーク、ドライフルーツ、ミルクチョコ、生クリーム・・・
・・・そもそも、何作る予定だ?」
生クリームは私が入れたもの
普通だなと呟かれてほっとする
「・・・チョコ?」
イノちゃんが首を傾げながら答える
・・・答えになってないよ・・・
「何のチョコかって聞いてんだよ!」
い、一応私は生チョコを作ろうと思ってる・・・
シュロ君はシリアルチョコだと思う
でもあの二人は・・・
「チョコよ!」
コン君・・・ごめんなさい・・・
私じゃこの二人どうにもできないよ・・・
「・・・トリュフでいいか?」
諦めたように頭を抱えたコン君
ニコニコと頷く2人を見て、私達に向き直った
「・・・ちなみに、どこでチョコ作んの?」
「わ、私の家だよ・・・
オーブンもあるから、ケーキも焼けるし・・・お菓子作りの調理器具は大体揃ってるから・・・」
毎年毎年ナルト君にあげようと思って作ってるんだけど・・・
結局渡すのが恥ずかしくてダメだったの・・・
今年は・・・コン君経由で渡してもらおうかな
「・・・なら、インスタントコーヒーと抹茶あるか?」
「? うん、来客用にいくつか・・・」
どうしたんだろう
「よし、甘さ控えめが良いんだな?
コーヒー味と抹茶味のトリュフを作るぞ
ビターチョコとホワイトチョコ、あと生クリームもう一つ持って来い」
「分かったわ!」
どっちを渡すかは2人で相談して決めろ、そう言ってラッピング袋を選んだ
「・・・ヒナタは、生チョコ?」
「う、うん・・・でも、ちょっと手を加えたいなって・・・」
新商品とか好きってキバくん達と話してるの聞いたことあるから・・・
「・・・バナナ味とオレンジ味ならレシピ分かるけど
オレンジはマーマレードがあればつくれる」
「うちにマーマレードがあったから・・・教えてもらって良い?」
「あぁ
・・・シュロは・・・大丈夫だな?大丈夫だよな?」
親指を突き立てて自慢げに頷いたシュロ君
それを見て安堵したように溜息をついたコン君
「砕いて固める、シンプルこそ至高だ」
「・・・問題児は2人か・・・」
本当に、ごめんねコン君・・・
◇◆◇コン◇◆◇
日向邸に移動して手早くトリュフを作った
しかし、あの二人に余計な手を加えさせたら危険だと第六感が囁く
そのためトリュフは丸めず、棒状に切り分けさせた
・・・丸めようとしてチョコが黄土色になるとか、何の化学変化だよ・・・
これだからメシマズ予備軍は困る
前世が女子高生だからか、意外と手早くラッピングまで済ませたシュロが素晴らしい
現役女子2人が問題児すぎるのか・・・
ヒナタはやはり、自分でナルトに渡せない(渡す場面を想像して失神した)ので、オレが渡すことになった
散々手古摺らせた2人は揃ってサスケの元へ向かった
・・・明日、胃薬持っていってやろう
今からイカリに渡しに行くというシュロにくっついて志村邸へ向かう
途中広場に差し掛かる辺りで、少し時間が欲しいと言われた
・・・え、なにすんのお前・・・?
流れ作業の如く、近場の商店のおっちゃんから拡声器を借りたシュロ
あぁ安売りの時の呼び込み用拡声器か
なんだ、シュロなにすんの・・・?
広場のど真ん中に仁王立ちし、拡声器を構えて息を整えている
拡声器が作動した金属音が広場に響き渡る 耳が痛い
音量MAXか・・・!
「—————イカリぃ好きだぁぁぁぁっ!!」
耳を抑えていたオレに飛びこむ、予想だにしていなかった言葉
・・・もしや、シノやシカマル達が言っていた、週一の絶叫とはこれのことか!?
くそう、話には聞いていたが実際聞くのは初めてだ・・・
広場にいた主婦の方々や商店のおっちゃんたちからは若いわねーと微笑まれている
微笑ましい状況かこれ!?
「愛っしてるぜぇイカリぃ!!!」
通りがかる忍たちもが思わず立ち止まって見守るシュロの大告白
一通り愛の言葉を叫び続けたシュロ
満足げに額に浮かぶ汗を拭いとり、拡声器のスイッチを切ったその瞬間
————風遁・真空玉!!————
どこからともなく吹き出された複数の風の玉が、シュロを襲い、浮き上がらせた
「たーまやー」
きたねえ花火だ・・・って違う
おっちゃんあれ花火違う、ニコニコ顔で宙に浮くシュロを眺めないで
空中のシュロは何回転かした後、呼び寄せた蟲に捕まって地上に舞い降りた
顔に直撃したらしく、明らかにめり込んでいる部分が赤く目立っている
だがシュロは笑いながら明後日の方向に親指を突き立てた
「イカリはオレの嫁!!」
・・・直後、第二波が彼を襲ったのは言うまでもない
シュロの懐のチョコは、無事にイカリの口へはいりました
らぶらぶしてる2人を放置してオレは速攻で逃げ帰る
木の葉こわい
湯隠れに帰りたいと、自分も作ったチョコを握り締めながら思わず呟いた
ちなみに
チョコの礼を言おうとヒナタに話しかけると失神されたナルト
思わず涙目になったナルトを回収してくれたサスケが胃薬を強請ってきた
・・・何やら、その後もあのチョコ、化学反応が起きたようだった・・・
「きっとチョコからレーザービームが出るようになるんだろうな」
「それはチョコじゃねえ」
「隠し味は最終兵器乙女心・・・かな」
その後、サスケは食中毒で入院した
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抹茶味とコーヒー味トリュフの制作風景を入れようとしたが、脱線しすぎたため削る。
一番かわいそうなのはSASUKE
アカデミーは多分調理実習もしてると思うんだ(雑用任務に備えて)
各自の傾向↓
イカリ・勘で料理派そして美味い
シュロ・時間、手間のかからないものは美味い
コン・レシピ通り再現しないと気が済まない派美味い
シナイ・レシピ通りしても勘でやっても炎上する
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