美しき異形達
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第三十三話 神もなくその七
「幾ら何でも」
「ないかしら」
「そうよ、私達は人間だし」
「相手は怪人だから」
「そんな。おかしなことはね」
とても、というのだ。
「ないでしょ」
「そうなるかしら」
「まずないわよ、まあここでの戦いは終わったから」
「はい、旅行に戻りましょう」
桜は武器を収めて言った。
「伊勢を楽しみましょう」
「うん、じゃあ九人で」
「他の場所に行きましょう」
鈴蘭と黒蘭も桜の意見に賛成する、賛成しつつだった。
そうしてだ、こうも言ったのだった。
「伊勢は他にも行く場所があるし」
「楽しみましょう」
「それではね」
「次は何処に行くのかしら」
「ちょっと離れてるけれどな」
それでもとだ、ここでこう言った薊だった。
「夫婦岩のところ行くか?」
「夫婦岩ね」
「鳥羽まで行くのもいいよな」
裕香に言うのだった。
「あそこまでな」
「鳥羽ね」
「それで水族館まで行くか」
「ああ、鳥羽水族館ね」
「グソクムシだったかな」
「ダイオウグソクムシね」
「あの生きものはもう死んだよな」
何年も何も食べずに生きていた、しかも死因は餓死ではなかったという恐るべき生物であった。
「確か」
「うん、もうグソクムシはいないわよ」
「凄い生きものもいるものだよ」
「ええ、ただ他の生きものも一杯いるから」
鳥羽水族館には、というのだ。
「ラッコにスナメリ、バイカルアザラシにね」
「哺乳類多いんだな」
「ヌートリアもいるし」
また哺乳類を出す裕香だった、今度は淡水の生物であるが。
「あと鮫もいるし蟹もね」
「蟹は何処でもいるんじゃね?」
「それがまた特別なのよ」
「珍しい種類の蟹か」
「そう、そうした蟹もいるし他にも一杯いるから」
「行ったら面白いか」
「じゃあ夫婦岩に行ってね」
そしてだった。
「鳥羽水族館にも行こう」
「それじゃあ皆で行くか」
「そうしよう」
こうしてだった、一行は夫婦岩に行ってだった。
それからその鳥羽水族館にも行った、水族館の中に入ってだった。
薊はペンギン達を観てだ、しみじみとして言った。
「ペンギンって面白いよな」
「可愛いんじゃなくて?」
「ああ、面白いよ」
にこにことして裕香に言うのだった。
「よちよち歩いて泳ぎは凄い速いよな」
「そうそう、ペンギンって速いのよね」
「水の中だとな」
「実は狩りに凄く向いてるのよね」
一見すると可愛らしい外見であるがだ。
「ペンギンって」
「だよな、だから面白いんだよ」
「成程ね」
「それにさ」
薊はさらに言うのだった。
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