転生とらぶる
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マブラヴ
0852話
その通信が入ったのは、ある日の朝食の時だった。
いつものように皆でマリューの作ってくれた朝食を食べていた時、突然通信装置が着信を知らせてきたのだ。
『アクセル代表、こちらマブラヴ世界のゲートです。実はクリメナ・バソールト副長官から通信が入っているのですが、お繋ぎしてもよろしいでしょうか?』
「バソールトから? 特に約束はなかったと思うが……何か異常事態でもあったか?」
あるいは、またアラビア半島にBETAが攻めてきたとかしないだろうな。
さすがにあそこが抜かれるのは、現在のマブラヴ世界の人間にとっては痛い。もし本当に攻めてきたのだとしたら、援軍を出さざるを得ないだろう。
「まぁ、直接話してみればいいか。出してくれ」
『はい、少々お待ち下さい』
その言葉から数秒程で、映像モニタにクリメナが映し出される。
『アクセル代表、ちょっとこちらで緊急の用件があったので連絡させてもらった』
「大規模なBETAの襲来……って訳じゃないみたいだな」
映し出されたクリメナの顔は苦々しげな表情を浮かべてはいるものの、そこまで切羽詰まった様子は無い。となると、BETA以外で何らかの厄介ごとがある訳か。
『君達シャドウミラーの戦力を考えると、いっそBETAの襲撃の方が良かったかもしれないと思うよ』
「また、随分と大袈裟だな。……で、用件は? 一応朝食の途中なんでな。手短に頼む」
『随分と遅い朝食だね。……まぁ、いい。ではそちらの要望通り、前置きは抜きにして手短にいこうか。以前、ニューヨークで行われたパーティで香月博士に会ったのを覚えているかな?』
香月? そう聞かされて、コーネリアと同じような髪の色をして緑のパーティドレスに身を包んでいた人物を思い出す。同時に、その瞳に宿っていた高い知性の光も。
「香月夕呼か? 確かに会ったな」
自分でも科学者だと言っていた以上、クリメナの言葉に出てくる香月博士というのは、あの女の事だろう。
科学者という言葉に興味を引かれたのか、レモンが紅茶を飲みながらこちらへと視線を向けてくる。
シェリルの視線が複雑な色を宿しているのは、グレイス・オコナーの事を思いだしているからだろう。
一応パーティの後ホワイトスターに戻ってきてコーネリアやスレイの口から香月夕呼に関しては話題に出ていたので、名前に聞き覚えがあったのというのもあるか。
『その香月博士だが、君との面会を希望している』
「……なるほど」
面会の理由は、大体予想が付く。
このマブラヴ世界よりも随分と先の技術を持っている俺達シャドウミラーと繋がりを作って、少しでも技術を得たいのだろう。
その割に面会を希望するのが俺なのは、パーティで正式に紹介されたのは俺だけだというのもあるだろうし、何よりコーネリアやスレイはパイロット、あるいは戦士としてはともかく科学者としては見られなかったから、シャドウミラーの代表でもある俺との面会を望んだといったところか。
だが、疑問も残る。例え日本にある基地の副司令官だとしても、所詮はそれだけの人間だ。とてもではないがオーストラリア政府に対して顔が利くとは思えないんだが……さて、その辺はどうなっているんだろうな。
ともあれ、こっちは会ってみても何か不利益がある訳でも無し。特に問題は無いか。
「こっちは構わない。いつにする?」
『香月博士は、すでにこちらに来ているので、出来れば早い方がいいという事だ。何だかんだあって、彼女は忙しい人だからね』
まぁ、科学者と副司令官の二足の草鞋なら確かに色々と忙しそうではあるか。
「分かった。なら……今日の午前10時からでどうだ? 会談場所に関してはこっちの基地でいいのか?」
『いや、以前に君が最初に訪れた基地があっただろう。あそこの基地に場所を用意してあるので、出来れば会談はそちらでお願いしたい』
「……まぁ、いいが」
その言葉を聞いて若干疑問に思ったのは事実だ。お互いの力関係的には、向こうがこちらまで出向くと言い出すと思っていたのだから。だが、それでも向こうに出向いて欲しい、か。さて、何がある?
「なら、これからそっちに向かうが、それで構わないか?」
『そうしてくれると、こちらとしても助かるよ。何しろ彼女は横浜の魔女と噂される程の人だからね。こちらとしてもあまり怒らせたくはないんだ』
「へぇ、横浜の魔女ねぇ」
なるほど、オーストラリア政府が大人しく今回の話を受けてこっちに連絡してきたのは、その辺の事情があるかもしれないな。
「話は分かった。朝食を食べ終わったら早速そっちに出向くよ」
『よろしくお願いする』
その言葉を最後に通信が切れ、朝食の席に着く。
すると待ってましたとでもいうように、レモンが口を開く。
「あらあら、私達を放って置いて美人の科学者さんとデート? 随分とお盛んね」
「……別にデートって訳じゃないのは、今の話を聞いていれば分かるだろ」
「あら? 麗しの女科学者と2人きりの逢瀬を楽しむんでしょ? ……全く、アクセルの女好きにも困ったものね」
悪戯っぽい笑みを浮かべてそう告げてくるレモン。他の面々も同じような表情を浮かべている。
シェリルも女科学者という時点では複雑な表情をしていたが、今は変わらない。と言うか、それを言えばレモンやマリューだって女科学者なんだからな。
「アクセルで遊ぶのはこれくらいにして、少なくてもパーティで会った限りでは香月夕呼という人物が男としてのアクセルに興味を抱いているようには見えなかったな。……スレイはどう思った?」
コーネリアのその質問に、スレイもまた頷く。
「そうだな。男としてのアクセルというよりは、シャドウミラーの代表としてのアクセルに興味があるように思えた。……もっともそれを考えれば、それこそアクセルに1人で向かわせるのは色々と危険な気もするが」
「どれだけ信用がないのやら。……ともかく、向こうは既に待っているって話だし、行ってくるよ」
そう告げ、レモン達の見送りを受けながら家を出る。
転移区画からマブラヴ世界のゲートに転移し、空間倉庫から出したサラマンダーで以前に向かった基地へと向かう。
ちなみに、当然ながらここはオーストラリア国内なので、空を飛ぶのには許可が必要だ。普通であれば他国に対してそう簡単に自国内での飛行の許可は出さない……あるいは出せないものだが、現在のオーストラリアはアジア各国からの臨時政府が存在しているので、多少その辺は緩くなっている。更にここでもシャドウミラーという国家の実力がものを言っており、他の臨時政府よりもスムーズに許可を得る事が出来る。
ちなみに、その力関係を決めたものの1つに、ゲートを襲撃した中佐の件があったりするんだが……あの中佐、色々な意味でオーストラリアの足を引っ張っているな。
それも裏で糸を引いていたアメリカの計算通りなのかもしれないが。
ともあれ、以前にも来た基地の離着陸場へとサラマンダーで着陸すると、そのまま出迎えに来た軍人の前でサラマンダーを空間倉庫に格納する。
尚、出迎えに来た軍人は例によって例の如く、俺と色々と関わりがある人物だった。以前にも俺の案内役をさせられたのを思えば、この基地の中では既に俺の担当と目されているのだろう。
「お久しぶりです、アクセル代表」
こちらへと向けられる視線に好意が宿っているのは、アラビア半島での防衛戦の影響か、はたまたシャドウミラーがオーストラリアを窓口にすると正式に決まったからか。
「ああ、久しぶりだな。それで、話は聞いているか?」
「はい、香月博士は既にお待ちしていますのでこちらへどうぞ」
そう告げ案内されたのは、基地の中でも端の方にある建物。……そう、俺がこの基地の上層部の連中と初顔合わせをした場所だ。
指紋やら眼球やらのチェックを終えた兵士へと声を掛ける。
「ここなのか?」
「はい。その、私には分かりませんが、色々と特殊な立場な方らしいので、その対策だとか」
「色々と特殊な立場、ねぇ」
確かに日本の軍事基地の副司令官にして科学者というのは間違いなく特殊な立場だろう。だが、それだけじゃないな。恐らくはまだ何かがあると見るべきだ。
そんな風に考えながら、建物の入り口で護衛の兵と別れて中へと入っていく。
そのまま通路を進み、以前に使った会議室の扉への前へと到着する。
中からは1人の気配。……ただし、会議室の隣に隣接している部屋にも気配が1つある。香月の護衛か何かか? 副司令官という肩書きがあるのなら……そして、本人が身体を鍛えていないのであれば、ある意味当然か?
その割には、妙に気になる気配ではあるが……いや、今はとにかく香月との会談だな。
そう判断し、目の前の扉を軽くノックする。
「はいはい、入っていいわよ」
中から聞こえてくるそんな声。
妙に軽い感じだな。ニューヨークのパーティ会場で会った時とはかなり違う。
いやまぁ、あの時は公の場だし、今日は非公式の会談だ。それを考えれば、態度や口調が違ってもしょうがないだろう。
「いらっしゃい、待ってたわよ。ほら座って座って。今日は色々と貴方に話を聞きたくて来たんだから」
国連軍の制服の上から白衣を着るという、ある意味では香月の立場をこれでもかと現している様子を見ながら、その瞬間、俺の中に触れようとしてくる何かを感じる。
何だ、これは……? 俺と同じ念動力の持ち主でもいるのか? いや、触れた感触ではそんな感じではない、か?
だが、俺に触れたナニカはまるで思いがけない程に熱されていた鍋に触れたかのような感じで、すぐに離れていく。
「ああ、それで俺に話を聞きたいって事だったが?」
ともあれ、どうやらこの会談は表向きの内容以外にも色々とありそうなのは事実なようだ。今のは一瞬だったからはっきりと分からなかったが、その辺は話している間に分かるだろう。
そもそも、俺の念動力はレベル10に達してはいるが、その多くがいわゆるサイコキネシスの方に特化している。ラーダやシャイン王女、あるいはギリアムのように予知とは違う方向性だ。
リョウト、ブリット、アヤとの間に起きる念動力の共振に関しては一種のテレパシーに近いものがあるかもしれないが、これも似て非なるものだろう。
「ええ。出来れば貴方達の中でも科学者と話したかったんだけど、コネがなくてね」
「そう言ってもな。こっちもこっちで色々と忙しいんだよ。今はこのマブラヴ世界に力を入れてるが、この世界以外にも交流を持っている世界はあるしな」
「でしょうね。だからあたしも無理は言わなかったのよ」
「……随分と以前会った時と言葉遣いや態度が違うな?」
「ふふん、あたしだってTPOくらいは弁えているわ。……ああ、そうそう。本題に入る前に聞いておきたいんだけど、アクセル代表って言い方は煩わしいから、公の場じゃない限りはアクセルって呼んでもいいかしら? あたし、堅苦しいのは苦手なのよね。その代わり、あたしのことも夕呼って呼んでいいわよ」
ニコリ、と笑みを浮かべながらそう告げてくる香月……いや、夕呼に小さく肩を竦めて頷く。
俺も堅苦しい態度は好みじゃ無いし、本人も言ってる通り公の場ではない限りは問題ないだろう。
「ああ、それで構わない。……で、早速だが」
夕呼の言葉に頷いてな話を進めようとした俺だったが、それを遮るように再び声が掛けられる。
「その前に。ちょっと聞いた話じゃ、あんた色々と特殊な能力があるそうじゃない。なんでも普通ではまず食べられない程の甘いお菓子を平然と配ったとか」
「……シュークリームの事か?」
最初夕呼が何を言っているのかは分からなかったが、やがて思い出す。
俺をここまで案内してくれた兵士に、以前空間倉庫から取り出したシュークリームを渡した事を。
「ええ。この世界ではかなりの……それこそ、かなりの金持ちでも無ければ食べられない……いえ、場合によっては材料が無いせいで、そもそも作る事すら難しい洋菓子。それをポンと上げたって?」
「確かにやったな。そこまでの高級品扱いってのはその時は知らなかったけど」
それ程の高級品、結局どうなったんだろうな?
そんな俺の疑問が表情に出たのだろう。夕呼は呆れたようにこちらを見ながら口を開く。
「安心しなさい、あのシュークリームは貰った人がきちんと家に持って帰って家族で分けて食べたそうよ。最初は没収して色々と調べたらどうかって意見も出たみたいだけど、そんなんであんた達の怒りを買ってもしょうがないって事になったみたいね」
「……調べると言われても、何の変哲も無い普通のシュークリームなんだが」
「その辺の感性が違うのは、この世界だからこそなのかしら。それとも、アクセルだからなのかしらね。……まぁ、いいわ。それよりも、天然物のコーヒーは持ってないの?」
「それで結局要求するのか……コーヒーはあるが、この程度だな」
そう告げ、脳裏に空間倉庫のリストを表示して本格的な味が売りだという缶コーヒーを何本か取り出す。
そもそも紅茶派を自称していながらも基本的に飲むのはペットボトルだったり、缶だったりの、いわゆる紅茶風飲料だ。そんな俺が缶コーヒーとは言っても、コーヒーを持っていた事を褒めて欲しい。
「……まぁ、いいわ。それで勘弁して上げる」
フェイトやバルトフェルドが飲むような、豆に拘った本格的なコーヒーを期待していたのだろう。不満そうにしながらも、コーヒーを口に含む。
だが、次の瞬間にその表情は驚愕へと変わる。
「ちょっ、ちょっと。何よこのコーヒー……凄く美味しい……」
どうやら本格派の缶コーヒーは、この世界の合成食のコーヒーよりも味の面では上だったらしい。
……コーヒーでも合成食って言うのか? それとも合成飲料?
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1114
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