オズのムシノスケ
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第十二幕その七
「今から」
「はい、それじゃあ」
「お言葉に甘えまして」
皆もドロシーの言葉に応えてでした、御飯が出来るまでの間に服を着替えることになりました。服はその間に洗濯されることになりました。
恵梨香はピンクの、ナターシャは黒のドレスを着てです。そうして。
ジョージは赤、神宝は青、カルロスは黄色のそれぞれの絹の立派な服に着替えました。教授も見事な燕尾服とシルクハットに着替えてです。
その上で宮殿の大広間に出ました、ドロシーは白い見事なドレスです。カルロスはそのドレス姿のドロシーを見て言いました。
「ドロシーさんドレスも似合いますよね」
「あら、有り難う」
「普段はあまり着られないんですよね」
「ええ、そうなの」
ドロシーはこうカルロスに答えました。
「私旅に出ることが多いから」
「だからですよね」
「ドレスはあまり好きじゃないし」
「そのこともあって」
「そうなの、だからね」
それでだというのです。
「普段はドレスとかは着ないで動きやすい服なのよ」
「昔ながらの服ですね」
「そうなの」
カンサスにいた時からの着慣れたそれだというのです。
「いつもね」
「じゃあドレスは」
「ドレスを着るのは王宮の中だけよ」
「それがドロシー嬢だよ」
「昔からだよ」
かかしと木樵もこうお話します、う二人はそれぞれ洗濯をしてもらって身体に油を塗ってもらってとても綺麗になっています。
その綺麗な格好で、です。こうそれぞれ言うのです。
「動きやすい服が大好きでね」
「ドレスは綺麗だけれどあまり着ないんだ」
「確かにドレス姿も似合うけれど」
「あまり着ないんだよ」
「そうですよね、そのことがわかってきました」
カルロスも二人の言葉に頷きます。
「やっぱりドロシーさんは旅がお好きなんですね」
「だからね」
ここで新しい声が聞こえてきました、その声はです。
オズマ姫のものでした、金と銀の素晴らしいドレスに王冠で飾っている王女が来てです、少し困ったお顔で言うのでした。
「私もそれが少し残念なの」
「あっ、オズマ姫」
「私がドロシーといたい時もね」
そうした時もというのです。
「ドロシーは旅に出たりしてるから」
「そのことはね」
ドロシーも少し残念そうに言うのでした。
「申し訳ないと思ってるけれど、私も」
「それでもっていうのね」
「やっぱり旅はね」
ドロシーにとってはというのです。
「私にとっては欠かせないものだから」
「ええ、それは私もわかってるわ」
オズマにしてもです、ドロシーのことはよく知っています。何しろ二人はこの上ない親友同士なのですから。
「だからね」
「私が旅に出てもよね」
「いつも待っているわ」
ドロシーが帰る時をだというのです。
「こうしてね」
「有り難う、いつもね」
「ええ。それでだけれど」
オズマはドロシーとお話してからでした、自分達が集まっている大広間の中を見回してそうしてからでした。
首を少し傾げさせてです、こう言うのでした。
「ボタン=ブライトは」
「あっ、そういえば」
カルロスもオズマの言葉に気付いてでした。
お部屋の中を見回してです、そして言いました。
「何処にいるのかな」
「また寝てるのかしら」
首を傾げさせてです、オズマはこう考えました。
「そうなのかしら」
「ボタン=ブライトなら」
オズマにです、教授がお話してくれました。
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