遊戯王デュエルモンスターズ ~風神竜の輝き~
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第1章 夢への第1歩
第5話 恐るべき煌き
前書き
初めに断っておきますが、今回は最初から最後までデュエルの話になってしまいました。
デュエル部への入部試験第3試合、亜璃沙VS楠田のデュエルは、秋弥と海堂のデュエルのすぐ後に開始した。
「先攻は譲ろう」
「それじゃあ、お言葉に甘えて!私は《エルフ族の斥候》を召喚!」
《エルフ族の斥候》
☆☆☆☆ 光属性
ATK/1200 DEF/600
【戦士族・効果】
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、手札から『エルフ』と名のついたレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。
「《エルフ族の斥候》の召喚に成功したので、手札から《救済するホーリー・エルフ》を守備表示で特殊召喚します!」
《救済するホーリー・エルフ》
☆☆☆☆ 光属性
ATK/800 DEF/2000
【魔法使い族・効果】
このカードが表側守備表示で存在する限り、相手は他のモンスターを攻撃対象に選択できない。
「私はリバースカードを2枚セットして、ターンエンドです」
「俺のターンだな、ドロー!……俺は《アレキサンドライドラゴン》を召喚し、カードを1枚セットして、ターンエンドだ」
《アレキサンドライドラゴン》
☆☆☆☆ 光属性
ATK/2000 DEF/100
【ドラゴン族】
アレキサンドライトのウロコを持った、非常に珍しいドラゴン。
その美しいウロコは古の王の名を冠し、神秘の象徴とされる。
――それを手にした者は大いなる幸運を既につかんでいる事に気づいていない。
「レベル4で、攻撃力2000……」
「監督のデッキの中でも特に優秀なアタッカーだぜ。もっとも、今回はホーリー・エルフの守備力と同値で動けなかったみたいだがな」
「私のターン、ドロー!」
亜璃沙がドローしたのは、魔法カード。
「私は魔法カード、《融合》を発動!フィールドの《救済するホーリー・エルフ》と、手札の《嘲笑するダーク・エルフ》を融合します!」
「融合召喚だと!?」
《救済するホーリー・エルフ》の隣に、肌の黒いもう1体のエルフが姿を現し、2体は突如発生した渦の中に吸い込まれて行く。
間もなく渦から眩い光があふれ出し、2体のエルフの力を宿した新たなモンスターが出現した。
「《混沌の聖女-カオス・エルフ》を融合召喚!」
右手からは神聖なる光が、左手からは禍々しきオーラが、それぞれ溢れ出ている美しい女性の姿のモンスターだった。
《混沌の聖女-カオス・エルフ》
☆☆☆☆☆☆☆ 光属性
ATK/2200 DEF/2000
【魔法使い族・融合/効果】
『ホーリー・エルフ』と名のついたモンスター+『ダーク・エルフ』と名のついたモンスター
このカードの属性は『闇』としても扱う。
1ターンに1度、手札から光または闇属性のモンスターを墓地に捨てる事で、そのモンスターの属性によって以下の効果を発動できる。
●光属性:自分フィールド上に存在する全ての光属性モンスターの攻撃力を、エンドフェイズまで1000ポイントアップする。
●闇属性:相手フィールド上に存在する全ての光属性モンスターの攻撃力を、エンドフェイズまで500ポイントダウンする。
「まさか、1ターン目から融合召喚をして来るとはな……」
「バトル!《混沌の聖女-カオス・エルフ》で、《アレキサンドライドラゴン》を攻撃!カオスエンド・フォース!!」
カオス・エルフが両手の光と闇を1つに合わせた巨大な力を、《アレキサンドライドラゴン》に向けて放つ。
「おっと、罠カード発動だ!《攻撃の無力化》!」
《攻撃の無力化》
カウンター罠カード
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
カオス・エルフが放った攻撃は、《アレキサンドライドラゴン》の目の前に現れた禍々しい渦の中に吸い込まれて消えてしまった。
「攻撃を無効にするだけでなく、バトルフェイズは終了だ」
「くっ……私は《エルフ族の斥候》を守備表示にして、ターンエンドです」
「俺のターン、ドロー!」
楠田は計5枚の手札を確認しながら、次の手を考える。
「俺は《アレキサンドライドラゴン》をリリースして、《エメラルド・ドラゴン》をアドバンス召喚!」
《アレキサンドライドラゴン》がいなくなると同時に、翠緑の表皮が美しい新たな飛竜が姿を現す。
《エメラルド・ドラゴン》
☆☆☆☆☆☆ 風属性
ATK/2400 DEF/1400
【ドラゴン族】
エメラルドを喰らうドラゴン。
その美しい姿にひかれて命を落とす者は後を絶たない。
「よし、バトルだ!」
楠田のその宣言と同時に、亜璃沙はカードの発動を宣言した。
「リバースカード発動!《エルフ族の拘束魔法》!」
《エルフ族の拘束魔法》
速攻魔法カード
自分フィールド上に『エルフ』と名のついたモンスターが存在する時、相手モンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターは、フィールド上に存在する限り攻撃力は500ポイントダウンし、攻撃できず、表示形式も変更できない。
「自分のフィールドに『エルフ』のモンスターがいる時、相手モンスターの攻撃力を500ポイントダウンさせ、攻撃を封じます!」
《エルフ族の拘束魔法》が発動すると同時に、《エルフ族の斥候》と《混沌の聖女-カオス・エルフ》が、《エメラルド・ドラゴン》に向けて魔法を行使する。
すると《エメラルド・ドラゴン》は、まるで見えない鎖に縛り上げられたように、身をすくませて沈黙してしまった。
《エメラルド・ドラゴン》
ATK/2400→ATK/1900
「くそっ、動きを止められたか……ターンエンドだ」
「私のターン、ドロー!」
亜璃沙の手札は0。今のドローカードを確認した亜璃沙は、たちまちそれをデュエル・ディスクにセットした。
「私はフィールド魔法、《エルフ族の秘境》を発動!」
周囲の景色が、豊かな水を湛えた美しい森の中の集落に変化する。
水浴びをするエルフや、木々の隙間を飛び交って遊ぶ幼いエルフ達の姿が見て取れた。
《エルフ族の秘境》
フィールド魔法カード
このカードがフィールド上に存在する限り、『エルフ』と名のついたモンスターの戦闘で発生するそのモンスターのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。
また、自分フィールド上に存在する『エルフ』と名のついたモンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地に送った場合、自分はデッキからカードを1枚ドローする事ができる。
「そして、《エルフ族の斥候》を攻撃表示にしてからバトル!《混沌の聖女-カオス・エルフ》で、《エメラルド・ドラゴン》を攻撃!」
光と闇が交じり合った波動が、《エメラルド・ドラゴン》に襲い掛かる。
為す術もなく、《エメラルド・ドラゴン》は波動に包まれそのまま消滅してしまった。
楠田 庄司
LP/4000→LP/3700
「カオス・エルフが《エメラルド・ドラゴン》を戦闘破壊した事で、《エルフ族の秘境》の効果が発動!カードを1枚ドローします!」
「くっ、《エメラルド・ドラゴン》が……!」
「更に続けて、《エルフ族の斥候》で、楠田先生へダイレクトアタック!」
《エルフ族の斥候》が、素早い動きで楠田の元へ駆け寄る。
そして、鋭く光る短剣を、楠田に向けて振り下ろした。
「うぉっ!?」
楠田 庄司
LP/3700→LP/2500
「そして、今ドローした《翻弄するエルフの剣士》を召喚して、私はターンを終了します」
《エルフ族の斥候》の隣に、凛々しい顔立ちの剣士が姿を現す。
《翻弄するエルフの剣士》
☆☆☆☆ 地属性
ATK/1400 DEF/1200
【戦士族・効果】
このカードは攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。
「俺のターン、ドロー!……モンスターを1体守備表示で召喚。リバースカードを1枚セットして、ターンエンドだ」
「私のターン、ドロー!」
ドローカードを確認してから、亜璃沙はすぐに宣言した。
「バトル!まずは《混沌の聖女-カオス・エルフ》で、裏守備モンスターを攻撃!カオスエンド・フォース!」
《混沌の聖女-カオス・エルフ》が、光と闇の波動を裏側表示のカードに向けて放つと、まるで金属のような体の小型の竜が姿を現し、そのまま消滅してしまった。
「《エルフ族の秘境》の効果でカードを1枚ドロー!そして、2体のモンスターでダイレクトアタック!」
《エルフ族の斥候》と《翻弄するエルフの剣士》が、2体同時に楠田に襲い掛かる。
「やった!亜璃沙の勝ちだ!」
「いや、まだだ……!」
「罠カード発動!《攻撃の無敵化》!」
《攻撃の無敵化》
罠カード
バトルフェイズ時にのみ、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターはこのバトルフェイズ中、戦闘及びカードの効果では破壊されない。
●このバトルフェイズ中、自分への戦闘ダメージは0になる。
「このカードの効果により、このターン俺が受ける戦闘ダメージは0になる!」
「そんな……これが決まれば、勝てたのに……」
「そうそう簡単に、監督が負けるわけねーよ」
「まだまだこれからッスよ!」
「……私は、これでターンエンドです」
「俺のターンだな、ドロー!」
手札を確認してから、楠田はすぐにカードの発動を宣言した。
「よし、俺は墓地の《カーボネドン》の効果を発動する!」
「《カーボネドン》?そんなカード、いつ……?」
「憶えてないかな?さっきの裏守備モンスターさ!」
言われて、亜璃沙は思い出す。
先程破壊した、あの金属のような体の竜の存在を。
《カーボネドン》
☆☆☆ 地属性
ATK/800 DEF/600
【恐竜族・効果】
《カーボネドン》の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが炎属性モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。
このカードの攻撃力は、そのダメージ計算時のみ1000アップする。
②:自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。
手札・デッキからレベル7以下のドラゴン族の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
「墓地の《カーボネドン》をゲームから除外し、デッキから《ダイヤモンド・ドラゴン》を特殊召喚!」
地響きと共に、地中から光り輝く巨竜が姿を現す。
《ダイヤモンド・ドラゴン》
☆☆☆☆☆☆☆ 光属性
ATK/2100 DEF/2800
【ドラゴン族】
全身がダイヤモンドでできたドラゴン。
まばゆい光で敵の目をくらませる。
「守備力2800……手強いね」
「ああ……けど、カオス・エルフなら、自分の効果であれを上回る事ができる。亜璃沙が光属性のモンスターを引ければいいんだけどな……」
「更に俺は、《サファイアドラゴン》を攻撃表示で召喚!そして、《エルフ族の斥候》を攻撃だ!」
《サファイアドラゴン》が、《エルフ族の斥候》に突撃する。
硬い体に勢いよく弾き飛ばされた《エルフ族の斥候》はそのまま消滅した。
「《エルフ族の秘境》の効果で、戦闘ダメージは0です」
「分かっているさ。俺はこれでターンエンドだ」
「私のターン、ドロー!」
ドローカードを含めた3枚の手札は、《ハイエルフ・ソードマン》、《死者蘇生》、《和睦の使者》。
亜璃沙はそれを確認して、すぐさま行動を起こした。
「私は、《翻弄するエルフの剣士》をリリースして、《ハイエルフ・ソードマン》をアドバンス召喚します!」
エルフの剣士が光に包まれる。
光が消えた時、そこに立っていたのは、2本の長刀を持つエルフ族の戦士の姿だった。
《ハイエルフ・ソードマン》
☆☆☆☆☆☆ 光属性
ATK/2400 DEF/1200
【戦士族・効果】
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
「バトル!《ハイエルフ・ソードマン》で《サファイアドラゴン》を攻撃!ツインソードラッシュ!!」
《ハイエルフ・ソードマン》が、怒涛の勢いで《サファイアドラゴン》に斬り掛かる。
数え切れないほどの刀傷を付けられ、《サファイアドラゴン》は消滅した。
楠田 庄司
LP/2500→LP/2000
「《エルフ族の秘境》の効果で、カードを1枚ドローします!」
デッキからカードをドローした亜璃沙は、少し状況を考えてからこう宣言する。
「……リバースカードを1枚セットして、ターンエンドです」
「よし、俺のターンだな、ドロー!」
「……何か変だな」
「どうしたの?遊雅」
「余りにも亜璃沙に戦況が傾きすぎてる。何かあるかもしれないぜ」
「そ、そう?あんまり不安になる事言わないでよ、遊雅……」
2人の不安をよそに、楠田はドローカードを確認し、それをセットする。
「俺は《ダイヤモンド・ドラゴン》をリリースし、モンスターを裏守備でアドバンス召喚!」
「《ダイヤモンド・ドラゴン》をリリース!?」
これには、遊雅、亜璃沙、秋弥の3人が皆驚いた。
亜璃沙のフィールドに並ぶ2体の強力なモンスターを阻むほど高い守備力を持つ《ダイヤモンド・ドラゴン》を、わざわざリリースした事に。
「更に、リバースカードを2枚セットしてターンエンドだ!」
「……私のターン、ドロー!」
亜璃沙は楠田の不穏な動きに警戒しつつ、ドローカードを確認する。
ドローしたのは《祈りのエルフ》。
先程《エルフ族の秘境》の効果でドローしたのは《復興への戦備》。
強力なカードだが、今は発動条件が揃っていない。
「私は手札から、光属性の《祈りのエルフ》を墓地に捨てて、カオス・エルフの効果を発動!光属性モンスターの攻撃力を1000ポイントアップします!」
《混沌の聖女-カオス・エルフ》
ATK/2200→ATK/3200
《ハイエルフ・ソードマン》
ATK/2400→ATK/3400
「バトル!《ハイエルフ・ソードマン》で、裏守備モンスターを攻撃!」
裏側表示のカード目掛けて、雄々しきエルフ族の戦士が疾駆する。
2本の長刀で斬りつけられたカードから、全身の宝石が埋め込まれた竜が一瞬だけ姿を現し、そのまま消滅してしまった。
そして、その一瞬だけ現れた姿を見た遊雅は、再び驚愕する事になる。
「遊雅?」
「今のは……《ラブラドライドラゴン》……?」
「えっ?何なの?それは」
「それなりに高い守備力は持っているが、《ダイヤモンド・ドラゴン》よりも守備力の低いモンスターだ。どうして……」
《ラブラドライドラゴン》
☆☆☆☆☆☆ 闇属性
ATK/0 DEF/2400
【ドラゴン族・チューナー】
ラブラドレッセンスと呼ばれる特有の美しい輝きを放つウロコを持ったドラゴン。
そのウロコから生まれる眩い輝きは、見た者の魂を導き、
感情を解放させる力を持つ。
――その光は前世の記憶を辿り、人々を巡り合わせると伝えられる。
楠田 庄司
LP/2000→LP/1000
「カードを1枚ドロー!そして、《混沌の聖女-カオス・エルフ》でダイレクトアタック!」
勝利を確信し自身に満ちた表情を浮かべた《混沌の聖女-カオス・エルフ》が、両手の力を集約し、楠田に向けてそれを放出する。
「リバースカード発動!《ガード・ブロック》!」
しかし、楠田の前に実体化した《ガード・ブロック》のカードにより、その攻撃は阻まれてしまった。
《ガード・ブロック》
罠カード
相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
「また……!?」
「この効果で、俺は手札を1枚ドローさせてもらうよ」
「くっ……ターンエンドです」
「さて、俺のターンだ、ドロー!」
ドローカードを確認した楠田は、妖しく口の端を吊り上げた。
「さぁっ、これで準備は整った。今から俺のデッキの本領を見せてあげよう!」
「おっと海堂、いよいよ来るみたいだぜ」
「待ってました!」
「何だ……一体どんな事が起きるってんだ……?」
不安と期待、相反する2つの感情が入り混じる観客に見つめられる中で、楠田は今日一番とも言える明るい笑顔で、カードの発動を宣言した。
「魔法カード!《極彩宝石竜の降臨》を発動!」
5つの宝石がはめられた台座から、何か強大な存在が現れようとしている様子が描かれた魔法カードが実体化する。
《極彩宝石竜の降臨》
魔法カード
自分の墓地に『サファイアドラゴン』、『アレキサンドライドラゴン』、『エメラルド・ドラゴン』、『ラブラドライドラゴン』、『ダイヤモンド・ドラゴン』が存在する時、それらのモンスターをゲームから除外し、ライフポイントを半分払って発動できる。
手札から《極彩宝石竜 グランジェム・ドラグーン》を特殊召喚する。
このカードを発動した場合、自分はこのターン、《極彩宝石竜 グランジェム・ドラグーン》以外の召喚を行う事はできない。
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