俺が愛した幻想郷
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
俺は愛せる? 幻想郷...
俺の名前は....
第五話 これは気持ちのいい毛〜ね
みかん美味しいわ。甘くて。みかんっ! って言うみかんだ。微妙な感じは全くない、果物独特の飽きのくる感じもない。マジで美味しいみかんだ。なのだが.....
「な、なぁ? 美味しいか? 美味しいよな! それっ!」
目をキラキラさせて、炬燵のテーブルに手を力一杯抑えて、身体を若干乗り出して。俺にそう聞いてくる狐耳のお姉さんがいるのだ
うわっ眩しっ! 眩し過ぎるよお姉さん...
この狐耳のお姉さん。恐らく紫よりは年下だと思われる。顔つきや声からして、身体つきもな
ちなみに... ちなみに、と言うのは可哀想か
隣にいる女の子は、俺より年下だと思われる、声はわからないが、身体つきや顔つきでわかる。これをお姉さんと言う人はそう居ないだろう
「あのぉ... お姉さん?」
「私かっ!?」
「イェス。お名前は...?」
待ってました、とでも言いたいのか。嬉しそうににぃっと笑みを浮かべている
「藍、八雲藍だ」
八雲... 紫と一緒だな。顔つきや声は似てない... 姉妹ではなさそうだし、親子でもなさそうだ。それ以前に家族とは思えない... っと言うか紫に旦那さんは居るのだろうか? 流石に居るか。綺麗だもんな、あの人
「私は"紫様の式"なのだ。だから、血が繋がってるわけではない。考えていたかな?」
おっと鋭い。狐って鋭いのか?
式ってなんだろうな... ん〜、俺が居た世界で言う部下とかそう言うのか? それともパートナーとかか
「そしてこの子。橙、私の可愛い可愛い橙だ♪ 橙は私の式だが... 私の子供と思ってもらって構わないぞっ♪」
橙か、猫の橙。猫は好きだぞ、おっとりしていて人懐っこくて。それは猫にもよるか
そもそも猫耳なだけであってこの子がネコ科とは限らないしな
そう言えば
「藍さん。紫は一体何処に?」
「へ? どっか行っちゃったのか? だとしたらそれスキマの中で寝てると思うぞ?」
目を泳がして、若干ため息混じりにそう言う藍さん。何か他のこと考えてるな...
多分、俺と同じこと考えてるな
そこで、俺はにやりと笑い、藍さんに言った
「藍さん。ちょっとそれオブラートから取り出してもう一度どうぞ」
如何にも、バレた.... とでも言いたげだ。顔がその言葉を物語っている
「えぇっと。つまりはだな。紫様は眠いから君のめんどうを私達に押し付けてきたんだ。い...以上」
これどうなのかな。紫がもしキッツイ人だったら藍さんオワタだよな。式ってそう言うものじゃないのかな
「まぁいいよ。俺は極力迷惑かけないようにするよ」
「そうかそうかっ! ほら、食べろ。みかん食べろっ♪」
なんでそう人にみかん食わせるかなぁ... 俺でも流石に異世界人来たからってひたすらみかんを食わせたりはしないぞ? チラチラ見るくらいだぞ?
まぁみかんは好きだからいいけどさ
そう言えば、幻想郷にある食べ物は日本と変わらないのかな。みかんは変わらないみたいだけど、他は変わってたりとか、意味不明な物とかないよな? 無いほうが俺にとっては嬉しいのだが
ところで
「藍さんは式なんですよね? そもそも式ってなんですか...?」
「式は式と言っても"式神"だ。あと、これ。狐耳があるだろ? だから狐の神様だ」
ホントかよ...
世間一般では言われる、まぁこの世間一般かどうかは知らないが、ジト目をして藍さんを見た
そのまま炬燵からでて藍さんの目の前に立った
頭に大きなハテナを乗せている藍さん
「ちょっと失礼しますよ」
それだけ言って真顔で藍さんの狐耳を触った。思いのほかふわふわして気持ち良かったので、次は指先でなぞるように触った。終いには両手で両耳を優しく掴んで親指で撫でた
一方、藍さんはびっくりしながら顔を少し紅潮させて居た。びっくり半分気持ち良さげ半分と言ったところか
そして次に。先ほどまでの光景を見ていた橙に目を向ける。すると橙はにぱっ〜っと笑い俺を見返した
天使や... 天使が舞い降りたんや....
引き続き橙を見る、自然と自分の頬が上がって笑顔になってるのは気にしない。(笑顔と言うよりにやけている)橙の目の前に膝立ちする。そして目で問いかける(触ってもいい?)と... 橙は微笑んだまま、頭を俺に擦りつけてきた(早く触って〜♪)とでも言ってるように。(あくまでも俺にはそう思えただけだ)ゴクリと固唾を飲み、何故か藍さんよりも緊張するこの気持ちを抑えて頭を撫でた。ホントは耳を触りたかっただけだが、頭を撫でてからにしよう、天使の微笑みをありがとうございます。気持ちが治まるまで頭を撫で、気持ち良さそうにしている橙の猫耳へ手の位置を変えた。さきほど藍さんの狐耳を触ったときのように、まずは適度に触り、そして指先でなぞる。最後に両手で優しく掴んみ、親指で撫でる。この行程に意味はない。ただ触って確かめたかっただけだから。"本物の耳"かどうかをね
「二人共ありがとう。いろんな意味でありがとう」
橙の頭から手を離し、立ち上がって自分の座っていた場所に戻りながらお礼を一つ。自分の陣地に戻り、炬燵に中る
結果.... 本物の耳だ
触っているとき。わざわざ伏せて居たが
藍さんと橙の反応が本物のそれその物だったのだ
それにしても触り心地がめちゃくちゃよかった。ずっと触って居ても飽きないだろう。こっからは俺の単なる願望だが... さっき藍さんの方へ行ったとき、藍さんの背中の方に目がいったのだが... 尻尾が生えていた。それも九本。触りたい、もふもふしたい。
そしてもう一つ、妖怪か何かの九尾じゃないかと思った
そう言えばさっき、この居間の窓からチラッと外を見たのだが(見えたのだが)、周りに他の家は無かった。そもそも建物がない、周りはほぼ芝生。奥に森がある程度だ。なんか、道に迷ったりしたらいつの間にか家があった。そこがここ。みたいな雰囲気だ
っと、炬燵の中から橙が顔を出して来た
橙は俺の向かいに座っていた。恐らく中を潜ってこちらに来たのだろう
「にゃ〜♪...なぁ〜お....ゴロゴロ」
猫だ。こいつは猫だ
人型の猫だ。天使だ
恐らく、もっと撫でてくれと言うことだろう
炬燵からひょっこり顔を出して、俺の太ももを掴んで離さないのだ
そんな橙に、にっこりと笑顔を見せてみた
橙も同じように、にっこりと笑顔見せたのだった
迷い家の猫...
"マヨヒガの黒猫"と言ったところか
後書き
仲良くしている俺と橙を見ていた橙大好きさん(藍さん)はにやにやとしていた。とても意味ありげに
ページ上へ戻る