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鎮守府にガンダム(擬き)が配備されました。

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第1部
  第10話 激闘、横須賀沖迎撃戦〜其ノ三〜

 
前書き
終わらない……話が終わらない……ウゴゴゴ……

そんなこんなで其ノ三です。
次でラスト……だと思います、はい。 

 
8月23日
横須賀沖 40km B7R


「はぁ…はぁ…」

濃霧の中、残ったヲ級の艦橋に身を隠しながら各種砲身を冷却する。
粒子加速器の調子は良好、プロペラントタンク内の残量も申し分ない。

「……はは、また生き残ったか」

被弾皆無、各部計器類異常なし。
結果は上々だ。
ほぼ壊滅させた、と言っていいだろう。
だが……

「〝ハメられた〟……ッ‼︎」

中央艦隊の数は50隻。
だが、その艦隊には鬼級や姫級といった旗艦クラスが存在しなかった。
帝国海軍から提供されたデータを統計しても、50隻以上の艦隊を指揮している艦には、鬼ないし姫のクラスが旗艦として収まっている確率が高かった。
事実、鉄底海峡攻略戦でも姫級が旗艦として出現していたと言うデータもある。
にも関わらず、艦隊には姫級は疎か鬼級さえ確認できなかった。
つまり……

「コイツ等は囮……ッ‼︎
別働隊がいるッ‼︎」


◉◉◉


同時刻
臨時聯合艦隊
旗艦 リンドヴルム


「レーダーに感有りッ‼︎
10時方向より新手の艦隊、接近中ッ‼︎」
「なんだとッ⁉︎」
「正確な数は不明、ですが……駆逐、軽巡、重巡を前衛に、戦艦、空母を基幹とした強襲艦隊であると思われますッ‼︎」

リンドヴルムの艦長、フィカーツィア・ラトロワ大佐は全身から血の気が引くのを感じた。

リンドヴルムのMSは既に発艦し、残存艦艇の攻撃に回っている。
リンドヴルム自体、ハイパーメガ粒子砲に主動力を回していた為、主砲は疎か、回避行動さえ儘ならない。

「測的支援艦いざよいより入電ッ‼︎
10時方向に対空目標多数確認ッ‼︎ 敵艦載機ですッ‼︎」
「…ッ‼︎ 全艦対空戦闘用意ッ‼︎ 155mm単装副砲は使えるかッ⁉︎」
「……使えますッ‼︎
副砲、三三式弾装填しますッ‼︎」
「対空目標接近ッ‼︎
艦爆、艦攻多数ッ‼︎ 爆撃隊と雷撃隊の混成隊と推測されますッ‼︎」
「敵機をリンドヴルムに惹きつけるッ‼︎ 加賀は空母隊、かぐづち、いざよいを率いて転舵ッ‼︎
その他は空母隊の直掩に回せッ‼︎」

艦隊が離れていくのを尻目に、どんどん敵艦載機が接近して来る。
最初からリンドヴルムにしか興味がなかったのか、艦載機は進路を変えることなくリンドヴルムへ向かってくる。

「敵艦載機、射程に入りますッ‼︎
相対速度計測、照準+5に修正ッ‼︎ 第1、第4砲塔に伝達ッ‼︎」

リンドヴルムの艦首と艦上部に配した第1砲塔と第4砲塔が上空の艦載機に照準を合わせる。

「砲撃準備、整いましたッ‼︎」
「よしッ‼︎ 撃ち方始めッ‼︎ 残らず蹴散らせッ‼︎」
「アイ、サーッ‼︎ 撃ちぃーー方始めぇーーッ‼︎」

リンドヴルムのメガ粒子単装砲の同軸に配した155mm単装副砲が火を噴き、対空炸裂散弾……三三式弾を吐き出した。
三三式弾とは、連邦軍で広く使われている対空砲弾だ。
発射したのち、一定距離に到達すると弾殻が割れ、内部に満載された炸裂散弾を無数にばら撒き、目標を破砕する。
元々が対MS戦用に開発された弾頭の為、内包された炸裂散弾1発1発の威力は申し分ない。

夜の闇を斬り裂いて飛び出した三三式弾が、敵艦載機群の手前で分解、数多の炸裂散弾をばら撒き、敵艦載機に降り注いだ。


瞬間、太平洋の闇を爆薬の閃光が掻き消した。


「第1射着弾ッ‼︎ 敵艦載機多数撃破ッ‼︎
……なッ⁉︎」
「どうしたッ‼︎」
「残存した敵艦載機、海面へ逃れましたッ‼︎
第2射効果無しッ‼︎」
「チッ‼︎ 対応が速すぎるッ‼︎
各機銃座、砲門開けッ‼︎ 近接防御だッ‼︎」

続け様に行われた第2射を、海面近くへ降下したことにより逃れた艦載機群が、リンドヴルムへじわじわと距離を詰めて来た。
ラトロワは副砲での迎撃は間に合わないと判断し、機銃による迎撃に切り替えた。

その時だった。

「艦長ッ‼︎ 第1カタパルトの……MSデッキの隔壁が開いていますッ‼︎」
「なんだとッ⁉︎」


◉◉◉


リンドヴルム
第1カタパルト

「よぅし、オレ達の出番だ〝レイバン〟ッ‼︎
奴等を蹴散らすぞッ‼︎」
《本気ですか〝ヤンデル〟少佐ッ‼︎》
「馬鹿野郎ッ‼︎ 〝戦車乗り〟が海で死んでたまるかッ‼︎」

漆黒の闇の中、リンドヴルムのMSカタパルトに1つの影が躍り出た。

鋼鉄の車体に連装砲を積んだ巨躯……連邦軍の戦車、61式戦車である。

勢い良くMSデッキから躍り出た61式3台が砲塔を旋回させ、海面近くを這うように近づく深海棲艦の艦載機を睨みつける。

「全車、護衛機は後回しだッ‼︎
艦爆隊と雷撃隊を優先で落とせッ‼︎」
《《了解ッ‼︎》》

61式の155mm連装滑空砲が唸りを上げ、三三式弾を吐き出す。
計6発の三三式弾は海面近くを飛翔する艦載機の頭上に大量の子弾をばら撒き、瞬く間に海面を水飛沫で覆い隠した。

《敵機8機の撃墜確認ッ‼︎》
「まだだッ‼︎ 次弾装填ッ‼︎」
《敵機、3時方向から来ますッ‼︎》

艦首方向から護衛機が迫り、機銃をばら撒いてくる。

「全車散開ッ‼︎ 油断するなッ‼︎」

機銃から放たれた大口径弾が61式の居た場所を掠め、リンドヴルムの装甲を跳ねた。

「撃てッ‼︎」

上空に逃げようとした護衛機は、進行方向にばら撒かれた子弾の群にもろに突入し、爆散。
残骸が海面へ落下していく。

《《「よっしゃあぁッ‼︎」》》
《第2波接近ッ‼︎》
《《「クソッタレがッ‼︎」》》



◉◉◉



同時刻


「……フゥン、中々ヤルノネ」

未だ漆黒の闇に包まれた海上に、其れはあった。
黒い有機的なデザインに漆黒の飛行甲板。
塔のように聳え立つ艦橋。

日本本土侵攻艦隊を指揮するグレード1、姫級の一翼を担う、空母棲姫だ。

艦隊旗艦である彼女は艦隊を二分し、自身自らの偵察によって危険と判断した白い戦艦……リンドヴルムを撃沈する為、陽動を仕掛けた。
そして思惑通り陽動に引っ掛かったリンドヴルムを航空戦力で撃滅しようとしたのだが、思いの外対空防御に秀でていたのか、麾下の空母隊の艦載機の攻撃を物ともせず、リンドヴルムは逆に次々と無力化していた。

「……久々二ゾクゾクスルワ……コンナ戦イハ〝ミッドウェー〟以来……フフフ」

空母棲姫は嗤う。
久々の〝強敵〟の出現に嗤いが止まらない。
これ程胸踊ったのは〝いつ〟振りだろうか。

《第1時攻撃隊壊滅、第2時攻撃隊接敵シマス》
「第3時攻撃隊ヲ発艦サセナサイ」
《了解》

配下の空母ヲ級の報告に瞬時に判断を下す。

例えこの海戦に敗北しても、白い戦艦の戦闘力さえ測れれば御の字だ。
喪った艦はまた〝補充〟すればいい。

「アラ?」

霊子電探に反応が3つ。
白い戦艦との間に割り込むように前進しながら近づいて来る。

友軍……深海棲艦の反応を示す霊子波長は合流するでもなく、ただ真っ直ぐ海上を進んでいた。

横須賀鎮守府に潜入していた戦艦棲姫と、その配下だ。


〝此方に砲を向けた〟戦艦棲姫からは何の通信も無く、明らかに第2時攻撃隊の進路を阻むように立ち塞がった。


「ソウ……ソレガ貴女ノ答エネ」

空母棲姫は瞬時に悟った。




「全艦二告グ、戦艦棲姫ハ人類二下ッタ、之ヲ撃滅セヨ。
艦載機、全機発艦」



空母棲姫は無慈悲に、只冷酷に、1人ほくそ笑んだ。 
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