『曹徳の奮闘記』改訂版
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第四十九話
「大変だ大変だッ!! 袁術軍が放火しているぞッ !!」
「町に袁術軍が侵入しているぞッ!!」
商人に化けて、合肥に侵入していた部隊は民間人の死者が出ないように放火していた。
「駄目です満寵様ッ!!」
「民達の動揺が激しく混乱は治まりそうにありませんッ!!」
「ぬぬぬぅ~おのれェッ!!」
部下からの報告に満寵は怒り心頭していた。
「こうなったら儂自らが混乱を治めるッ!! お前達は袁術軍が攻めてきたら必死に抵抗しろッ!!」
『分かりましたッ!!』
満寵の言葉に兵士達は頷く。
「馬を引けェッ!! 混乱しているのはどの地区じゃッ!?」
「は、東地区でありますッ!!」
満寵の問い掛けに部下が答える。
「ならば急ぐぞッ!!」
満寵の言葉と共に部下達も東へ向かった。
「………もういいだろう。放火での混乱は終了だ。これからは戦うぞ」
『オォォッ!!』
クロエの言葉に商人に化けていた兵士達が頷く。
「雪風。お前は援護射撃をしてくれ」
「はい。任して下さいクロエさん」
「王平様ッ!!」
その時、斥候に出ていた兵士が帰ってきた。
「どうした?」
「は、こちらに向かってくる軍勢が来ますッ!! 数は凡そ二百ですッ!!」
「………そうか、なら歓迎してやろう。全員抜刀」
クロエの言葉に兵士達は剣や槍を持つ。
「来ましたッ!!」
斥候が指差す先には、馬に乗った満寵以下の軍勢がやってきた。
「雪風、物陰に隠れて敵将を狙え」
「はい」
クロエの言葉に雪風は物陰に隠れる。
「貴様らかッ!! このような事態を引き起こしたのはッ!!」
「黙れッ!! 我等は袁術軍だッ!!」
「な、何ィッ!?」
「射て雪風ッ!!」
「はいッ!!」
クロエの言葉に驚いた満寵の隙を突いて、雪風は満寵に矢を放った。
ドシュッ!!
「ガハッ!?」
雪風が放った矢は満寵の喉に突き刺さり、満寵はそのまま落馬をした。
勿論、死んでいる。
『満寵様ッ!?』
満寵の兵士達が驚いた。
「今だッ!! 全員掛かれェッ!!」
『ウワアァァァァァッ!!』
僅か百程度しかいない工作部隊だが、士気は旺盛であり、いきなり総大将を失った兵士達が崩れるのは直ぐだった。
「だ、駄目だッ!! 逃げろッ!!」
「逃げるが勝ちだッ!!」
満寵の兵士達は慌てて逃げていく。
「逃げる兵には構うなッ!! 急いで城門に向かって門を開けるんだッ!!」
クロエ達は一斉に城門に突撃をした。
―――長門side―――
「………まだみたいだな」
俺は、防御用の鉄盾を使って門を見ていた。
此処から門のところまで約五十メートル。
袁術軍の兵士は皆、鉄盾を構えて前進をしていた。
「えぇい早く私を戦わせろッ!!」
俺の隣で桜花が叫ぶ。
「ちょっと黙っとけ桜花」
「しかしだな長門ッ!!」
「報告ッ!! 門が開いていきますッ!!」
桜花が文句を言おうとした時、門を見ていた兵士が報告してきた。
「あッ!! 門の近くにいる兵士が旗を振っていますッ!!」
「何の旗か分かるかッ!!」
「『王』の旗ですッ!! 王平様の部隊ですッ!!」
………成功したようだなクロエ。
「全員抜刀ッ!!」
「フフフ、腕が鳴るぞッ!!」
桜花は気合い充分だけど暴走しないように見張っとかないとな。
「目標、敵城門ッ!! 弓隊は援護射撃に徹せよッ!! 全部隊突撃ィッ!! 前ヘェェェッ!!」
『ウワアァァァァァーーーッ!!』
俺の突撃命令と共に部隊は雄叫びをあげながら突撃を開始した。
勿論、俺と桜花、凪、星もだ。
「ハアァァァッ!!」
俺は襲ってくる敵兵の首を吹き飛ばす。
プシュゥゥゥゥッ!!
首が無くなった兵士は斬られた部分から赤い液体を大量に噴き出して倒れる。
「ハッハッハッ!! 私を倒せる者はいるかッ!!」
俺のすぐ近くで桜花が金剛爆斧を振り回している。
桜花が金剛爆斧を振り回す度に敵兵の首や胴体が飛んでいた。
「元気だな………ん?」
物陰からキラリと何かが光るのを見た瞬間、桜花の元へ走った。
「危ない桜花ッ!!」
「何ッ!?」
ドスッ!!ドスッ!!
「グゥッ!?」
桜花を抱き締めて庇った瞬間、低い音が俺の背中からした。
………前にもこんな事あったな………。
後書き
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