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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第四十八話





 公孫賛―――白蓮が袁術軍の将になってから五日が過ぎた時、遂に袁紹軍と曹操軍が官渡で全面対決となった。

 袁紹軍は量は多かったが、質は低かった。

 代わりに曹操軍は量は袁紹軍より少なかったが、質は高かった………が、曹操軍は将が少なかった。

 まぁ、凪や沙和達が袁術軍にいたからな。

 フハハハハ、ざまぁみろ。

 ちなみに両軍の兵力は袁紹軍約十万で、曹操軍は約三万だ。(正史では一万とか言われているが裴松之はもっと多かったはずと言っている)

 史実の将がいないため、両軍の戦闘は膠着状態になっている。





―――玉座―――

「報告からして、攻撃をするのは今が好機じゃな」

 玉座に集まった皆に美羽が言う。

「軍は何時でも出撃可能です」

 零が美羽に言う。

「うむ。では袁術軍は出撃じゃッ!! 目標は合肥じゃッ!!」

『オオォォォッ!!』

 俺達は雄叫びをあげた。

 そして、袁術軍約八万人は攻略目標である合肥を目指した。





 合肥はこの時、曹操軍の支配下にあって合肥を守る将は満寵だった。

「何ッ!? 袁術軍が攻めてくるだとッ!!」

 間者からの報告に満寵は驚いた。

「急いで曹操様に知らせるのじゃッ!! 袁術軍の数はッ!!」

「凡そ八万です。更に大砲らしき物もあるとの事です」

「何ッ!?」

 部下からの報告に満寵は更に驚く。

 各国で大砲は既に袁術軍の秘密兵器とも言える存在になっていた。

「………籠城しかあるまいな。曹操様に何としてでもお知らせするのじゃッ!! それと儂の鎧と剣を持ってこいッ!!」

 満寵は指示を出す。

 合肥から曹操の元へ使いが行くが、途中で引き返してくるのだった。

「な、何だとッ!? 袁術軍の一部が道を封鎖しているだとッ!!」

 間者からの報告に満寵は倒れそうになる。

 報告では、袁術軍の一部が合肥と陳留へ通じる道を封鎖していたのだ。

「………これでは曹操に危機を知らせる事も、援軍の要請も出来ないではないかッ!!」

 徐州へ行く道は封鎖されていないが、国境近くでは徐州軍らしき部隊もいるとの報告もあった。(実際はただの誤報)

「ともかく、籠城の準備を急がせるのだッ!!」

 満寵の言葉に部下達は慌ただしく準備をしていくのだった。






 一方、袁術軍は合肥から約二十里のところを進軍していた。

「………どうやら別部隊は上手くいっているようじゃな」

 進軍する袁術軍の中に、馬に乗った美羽が呟く。

 恋と音々の部隊二万が合肥と陳留へ通じる道の大半を押さえていた。

「後は爆発をしたらいいのじゃがな………」

 美羽は意味深な言葉を言う。

「大丈夫だ美羽。クロエ達ならやってくれてるさ」

 俺は美羽にそう言った。





 そして、袁術軍六万の兵力は合肥を包囲した。

「袁術軍が攻撃してこないな………」

 城壁の上で袁術軍の行動を見ている満寵が呟く。

「満寵様、袁術軍はわれらを兵糧攻めにするのではないですか?」

 部下の一人が具申する。

「むぅ、だが曹操様が合肥の状態に気づけば直ぐに軍を寄越して下さるはずだ。流石に兵糧攻めは無いだろう」

 満寵はそう判断する。

「しかし、奴等の狙いは何だ?」

 満寵の呟きに誰も答える事は出来なかった。





 そしてその夜、遂に袁術軍は動いたのである。

「満寵様ッ!! 袁術軍が進軍してきますッ!!」

「来たかッ!! 弓隊は射程に入ったら射ちまくれッ!!」

 満寵はそう指示を出した時、何か焦げ臭い匂いがした。

「何だこの匂いは?」

「た、大変ですッ!! 町で放火が起こりましたッ!!」

「何ィッ!?」

 兵士からの報告に満寵は驚いた。




「大変だ大変だッ!! 袁術軍が放火しているぞッ!!」

「町に袁術軍が侵入しているぞッ!!」

「………まさか撹乱させるとはな………」

 物陰に隠れているクロエが呟く。

 合肥を攻略する時に賈駆が提案したのが少数を敵の中に商人などの変装して、味方が来た時に中から撹乱させるのだ。

「さぁ急いで城門に向かって門を開けるぞッ!!」

『ハッ!!』

 クロエ達は城急いで門に向かった。





 
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