| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

俺が愛した幻想郷

作者:茅島裕
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

プロローグ
  第二話 奇妙な空間

当時の俺の記憶を辿り、あの森が何処なのかを考えて家を出る
一応ではあるが、今日は休みだ、普通の休みの日だ。日曜日だ

当時の俺は、わけもわからず何処が何処かもわからず駆け回った結果に見つけた(迷子になった)森だ

と言うか、当時の俺は背が低かったんだな〜
ただの林でさえも森に見えるかもしれないしな
だとしたら、そんなに大袈裟な森は探さなくていいか
森の奥にある小さな湖。意外にそれはただの水溜まりだったりな
ま、それはないと思うけどね

そう言えば... 当時の俺は家から駆け回ったんだよな? それで何分駆け回ったんだろうか
ん〜 まぁ、子供の体力だしそこまで走ってないだろう。それに足も遅いはずだ

それらをまとめるとするなら〜・・・・


「あ、ここじゃね?」


意外に近くあるものなのだ
家から約十分といったところか

気持ちを整え、森のなかへ入った
森と言うか...これは。まぁここは森でいいか、昔の俺はそう思ってたんだから

奥に進んで行くが、雰囲気的には当時の俺が感じた世界観と変わりはなかった
ただ... やはり森とは言えないね。これは
まぁまぁ確かに、何年も経ってる、木が無くなったりするしわからないけどね


「この辺か.... この辺であの人が出てきたんだよな」

人と言って良いものか。あんな上半身しか出してない、空間歪ましてる者は人間と言うのか...?
あ、そうなると俺も人間じゃないな

更に奥へと進み
小さな湖がある所へと向かった


さてと、あの女性は俺に気づいてくれるだろうか
そもそもこの森に必ずいるとは限らないけどね
んまぁ... これも仮定だが、あの女性が上半身しか出てなかったのが、空間を歪ましたりする能力だとしたら。そしてあの女性が異世界人だとしたら。その異世界とこの俺がいる世界の両方の空間を歪まして来てるとも考えられる

っと
いつの間にか湖の前に着いて居た

懐かしいな
ここで撫でられたっけな
なんで撫でられたんだよ。ホントに...

居ない.....か

このままここで待つ
と言う考えもあるのだが
そんなことしてたらキリがない気がする

帰るか


後ろを振り向き
通って来た道をもう一度歩く


なんだ... なんかあれだな
ここに来るのをなんであんなに嫌がってたんだろうな俺は。結局何もなかったら恐れる必要も無いじゃないか
増してや会えるかどうかわからない相手に会おうとしているんだ
本当に馬鹿見たいだな....

思えば
結局話した所で何も変わらない
そう思ってたじゃないか

それに、俺はただ、本音では、単純に
その異世界を夢見てるだけじゃないか


自分が考えていたことに愚かさを感じて歩く

ふと、気づいた
ずっと歩いているのだが、出口が見つからない。森から抜け出せないんだ

かれこれ行きよりも長く歩いているのに
全然、全くもって外が見えてこない
何故だ? ちゃんと来た道を戻っているはずなのに....

「おいおい、この歳になって迷子かよ」

思わず口に出してしまう
ため息を着いて、目を瞑りながら右手で頭を掻きむしり、歩く


「.....っ!?」

突然の出来事に何秒か固まる

直ぐに頭を回転させ

一歩後ろに下がる

そう、俺は目を瞑っていた
そして目を開けると
俺の直ぐ目の前
目と鼻の先の距離に、顔があったのだ

そして、その顔.... もとい人物をよく見る

「あ.... あんた、もしかして」

そう、全然変わらない
当時、俺の前に現れた女性、俺の頭を撫でたあの女性だ

あれから何年も経っているのに、何も変わっちゃ居ない。今はそこが問題なわけではない

聞かなければ
話さなければ

口を開き、一つ目の言葉を発しようとした瞬間
俺の周りの景色が一気に変わった

あの木だらけの緑ではない

目だらけの紫だ...

ギョロギョロと目が動いている
目玉ではない。ちゃんと瞼が着いているようだ

ギョロ目の空間
なんて言ったらいいのか

そして、暗い紫色の空間
その空間の中に、俺は居た。俺の前に、あの女性
女性の全体が見れた
上半身だけでない、下半身もだ

やはり、不思議な服を着ている

ダメだ
今俺が何処にいるかも何をしているかもピンと来ない...

一言で、驚愕。驚いていたんだ

そんな俺を見て

「久しぶり」

女性は初めて、俺に声を聞かせた
返事をしようと試みたが
身体は正直だ、口はパクパク動くだけで声が出ない。人間は驚くとそうなるだろう?

「そうね。私は八雲紫(やくもゆかり)

八雲紫、女性はそう名乗った
恐らく、この女性は俺より歳上だ。だから、とりあえずは八雲さんと考えておく

「ん〜... その状態じゃ話は出来なそうね。落ち着くまで待ちましょうか」



ぺたりぺたりと見えない地面を歩いて行ったり来たりしている八雲さんが俺の目の前には居た

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧