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ソードアート・オンライン-ゲーム嫌いの少女冒険譚-

作者:蓮木
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アインクラッド編
  己が持つ武器の意味



迷宮区に入る前に、一悶着はあった。だがそれも無事に終わり、早速迷宮探索に入る。このSAO攻略の最前線で、危険も兼ね備えながらの戦闘となるが、私にまで攻撃が回っているのがあるか、と言われたら殆んど回ってこない。大半をキリトとアスナが対応してしまう。私はそこまで戦闘を好まないタイプではあるから、必要最低限で迅速に仕留めることを重視する。反面、キリトやアスナのようにバトルを最優先して、出現するモンスターをすべて倒したりするバトルマニアみたいな人も多い。そんな二人がいるからか、戦闘をほぼ任せても良いかもしれないと思わせるまでなってしまった。こうして私たちはモンスターを倒しつつ、ボス部屋前の扉にまで到着した。




「ボス前の扉だね……どうする?」


私はそう二人に問いかける。ボス前であり、ここでこの扉を開ければ強大なボスとの戦闘になる。ここで開けてボスを確認するくらいでも良い。だが、ここで事を焦らなくても良いのだ。一旦戻ったからと言って咎められることもない。安全を優先することは、どのプレイヤーにも等しく存在し、人のあるべき様を作る根底的もの。逃げるのは弱さではない。必要な時に逃げられないことが、最もやってはいけないことなのである。そんなことを思いつつも、私は二人に問いかける。彼らの返事次第で、私の考えを決める。


「多分そうだろうな……ボスの部屋だ、覗くだけなら問題ないだろう。」


私の言葉を受けて、突入することを提案したのはキリト。彼の言う通り突入するのは悪くはない。アスナはどうだろうか?


「どうする……?覗くだけ覗いてみる?」


私はキリトからの返事を聞き終えた後に、アスナに尋ねる。多少は否定的な意見も出るだろうか…


「ボスモンスターはその守護する部屋からは絶対に出ないから、ドアを開けるだけなら大丈夫だよ。」


「まあ最悪の場合は、転移結晶を使えば大丈夫だろう。」


二人の返事と、【ボスはその守護する部屋から絶対に出ない】という性質を持っているボスならではの理由で、この先に進むことを決めた。戦闘ではなく偵察と斥候。生き延びることの方が優先される。



「了解。二人ともそれで良いよね? なら、開けるよ。」


私はそう二人に告げた後、ボスの扉を開けた。重苦しい扉が開くと、私たちは足を進める。そうすると奥より現れてくるのは、ボスモンスター。異形の存在で現実には存在しえないもの。その姿は筋骨隆々で体色は青くねじれた太い角、山羊の悪魔と言ってよい。実際この目で見ると、心の底から竦み立ち、恐怖が沸き起こってくる。モンスター名は<The Gleam eyes>。両目の輝く目こそがそのボスモンスターの名前だった。そいつは右手に持った巨大な剣をかざして、こっちに向かって地響きを立てつつ猛烈なスピードで突進してきた。私たちはその姿を捉えると、反転し全力で逃げた。





「いやー、良く逃げたねー。でもボスの見た目と雰囲気は十分分かったよね。二人が思ったことを言って貰える?攻略する際には必要な情報になるだろうし。」


全速力で逃げ出し、中間地点付近にある、安全エリアまで後退した。そうして初見での感想を述べてもらう。こうして出た情報から、ボスについて予想し、対策を練ろうとする。


「そうだな。見た感じだが、奴の持っていた武器はあのデカい剣ひとつだけど………まぁ、十中八九特殊攻撃を持っているだろうな。」


「どんな特殊攻撃かは流石に分からないけど、物理攻撃力は極端に高いだろうから前衛に堅い人を集めて次々と交代(スイッチ)して行くしかないわね。」


キリトとアスナから意見が出る中私はそれを纏めつつ意見も述べる。そうして議論を続けて行く中、こんな話題がふと出てくる。


「盾装備の奴が最低でも10人、出来ればもっと多くは欲しいな……。まあ当面は少しずつちょっかい出して傾向と対策を考えるしかなさそうだな。」


そうキリトが述べた後である。アスナがこちらの方を訝しむように見ながら話し始めた。


「二人ともどうして『片手剣』なのに『盾を持っていない』の? だっておかしいじゃない。普通だったら、片手剣の最大のメリットって攻撃になる剣と一緒に体を守れる盾が一緒に持てることでしょう? でも、キリト君とレミーちゃんが盾持っているとこみたことないよ。私の場合は細剣のスピードが落ちるからだし、一部ではスタイル優先で持たないって人もいるけど、二人の場合はそのどっちか……っていう訳じゃないよね?」


アスナから私たちに向けられた疑問。それは誰もが気付くようなことである。片手剣なのに盾を持っていないのだ。これはプレイスタイルとしての信条がなければほぼ有り得ない。あるとしたら金銭的理由とかだが、ここまでくるようなプレイヤーにそんな問題は無縁だから、私たちは不思議と思われてもおかしくはない。でも、私はこういう時に話すことが出来る理由がある。


「ああ、それはね。始めたばっかりの時にステータスの振り方が良く分からなかったんだよ。最初は兎に角早いのが良いだろうと思って振っていたからね。このゲームが生まれて初めてのゲームだったし勝手があんまり良く分かってなかったから。だから今でもこんな感じで尾を引いていて、片手剣一つ持つのが精一杯ってところだよ。」

説明した理由はいたって簡単。この手のゲーム初心者がやってしまいがちな、ステータス配分のミスだ。多少ゲームをやっていればそんなことはないはずだが、ド素人中のド素人なら、全部を平均的かつ微妙に上げるか、どれかにだけステータスを偏らせるか二択だろう。この言葉に嘘はない。だが、これがSAO攻略組のソロプレイヤーなのかと言われたら、多少は驚かれるかも知れないが。

「レミーちゃんってSAOが初めてだったんだ……意外だな。もっとゲームとかやってると思ったよ。」


「ああ、それについては同感だ。普通のプレイヤーとかと違うやり方をしているのは何となくだけど分かったよ。」


キリトとアスナに驚かれながらも談笑は続いた。途中でアスナお手製のお昼を食べたり、ここにやってきたクラインさんという人たちの〈風林火山〉というグループと会って、キリトがクラインさんに小突かれていたりとか。割と楽しい出来事が起こっていた。そんな中、金属音と軍隊ばった足並みが、私たちの元へ聞こえてきた。こんな音を出して行動するのは、思いついても一つしか思いつかない。〈軍〉だ。


「諸君、私はアインクラッド解放軍所属のコーバッツ。階級は中佐だ。」


「私はレイミー。ソロでやっているわ。」


お互いに挨拶。いや、向こうはそうとは思っていないだろうが。


「君達はもうこの先のダンジョンも攻略しているのか?」


「ええ、ボス部屋の手前まではマッピングしてあるわ。」


多分ここまで聞いてくるからには、恐らく目的はアレだろう。


「うむ、ならはそのマップデータをわれわれ軍の為に提供したまえ。」


「お前今なんて言った? 後からのこのこと来て【マップデータを提供しろ】だと!? お前ら、ダンジョンのマッピングがどれほど苦労して大変なのかを分かって言ってるんだろうな!!」


クラインさんがコーバッツに向けて叫んだが、これはこちら全体の意見と言っても過言ではない。マッピングはそれこそ奥が深く、労力をかけるものだ。それを今さっき来たようなやつに易々と渡せるかと。ここにいる全員の言葉を代弁するものだ。


「我々は君らのような守らなくてはならない一般プレイヤーの解放の為に戦っている! 諸君達が軍に協力するのは当然の義務である!」


それに対して返すかのごとく、怒号のように声を発したコーバッツ。このまま行くと剣を抜いた一悶着までにヒートアップしそうだ。それに割り込むかのように飄々とした声が響く。


「まぁまぁその辺にしときぃな、軍のお偉いさんよ。このままかっかかっかとなっても良いことなんてなんもあらへんよ?」


「む……何者だ貴様ぁ!!」


そう言ってコーバッツの肩をポンポンと叩きつつ話す青年とそれに対して怒り出すコーバッツ。空気の読めない青年だと思うが、生憎、私の馴染みの友人だ。


「なぁ、レミー。マッピングのデータは街に戻ったら公開しようと思っていたんやろ? だったら渡してもかまへんか?」


「ゼノ、何でここに……まぁ、今は良いわ。元々そうするつもりだったし、それで良いと思うわ。」


「だそうや、お偉いさん。先を行っていたプレイヤーにマップデータも貰えてよかったやないか。でも長らく前線引いていたんやから、あまり無茶はせぇほうがええですけどねぇ。」


「くっ……軍は精鋭かつ屈強な軍団だ! その力はこの場においても変わりはない!行くぞ!」


そう言ってコーバッツはマップデータの送信を受けると部下を連れて迷宮に入っていった。大丈夫なのだろうか?


「……これで良かったんか、レミー? 全く少し見ないに随分大きくなったなぁ。」


そう言って私の頭をポンポンしてくる。そしてくしゃくしゃと指を動かす。年の離れた兄弟でもあるまいし……


「そろそろやめて、ゼノ。軍の人たちも、恐らく初見でボスに挑んだりしないと思うけど……」


「まぁ、俺は何となく挑みそうな気がすんやけどなぁ……あのお偉いさん頭固そうだし。様子は見に行くけどアンタらはどないするん?」


ここに居たメンバーも、一応は彼らのことを心配したのか後を追うことにした。そうしてボスの区画に着いた時、そこには悲惨な現状しかなかったことを。



「軍の奴ら…二人いないで!」


ボス区画に到着して、ゼノが軍のメンバーを見てそう言った。確かに軍の人たちの二人が既にいない。転移結晶で脱出したのだろうか?そう私たちが考えている間に一人が斬馬刀の横腹で身体を薙ぎ払わ、HPを危険域(レッドゾーン)に落としつつ床に激しく転がっていった。


「何をしている!早く転移アイテムを使え!!」
キリトがその倒れた軍の男に叫ぶが、男は絶望したような顔で返してきた。

「クソっ、だめだ……! 転移結晶が使えない!!」

「ウソやろ……」

離脱ができない今、姿が見えないということはすなわち……

「何を言うか……我々解放軍に『撤退』のニ文字は有り得ない!! 総員戦え!! 戦うんだ!!」


「おい、こいつは一体どうなっているんだ!!」


ひたすらに我武者羅とも言える戦いをするコーバッツたちと、後から追い付いたクラインたちに簡単にこの事態を伝える。

「な……何とかできないのかよ……」


「何とかできるで。ここであいつを倒せばそれで済む。そうじゃなければ軍の奴らを見捨てるか。その二択や。」


どうしたら良いのかを考えるクラインさんと冷静に状況を語るゼノ。そうこうしているうち体制を立て直したらしいコーバッツ達が一列に並んで突撃。そんな無茶が通るわけはなく、簡単に掬い上げ取られ、コーバッツのアバターが消え去るまでを目撃した。この世界では、HPが潰えれば、無情にもアバター(いのち)は散っていく。これがこの世界の必然(さだめ)だとまざまざと見せられた。


「ゼノ、分かっているよね?」


「全くそうやって簡単に言うなぁ……レミー。俺を無理やり付き合わせて。」


軽くアイコンタクトを取るとメニュー欄を開いて準備を始める。戦闘で使うもの、ここを
打開する為に何が必要なのかを。戦闘(たたかい)に使う道具を片手剣から慣れ親しんだ刀を取り寄せる。その刃が納められている鞘の感覚をしっかりと感じ取りながら。片手剣はあくまでもゲームに使う道具だ。私が戦うときは一人の剣士として、刀を振るわねば。武器に己の戦う意味を籠めて。この刀はゲームの道具(アイテム)なのではなくて、共に戦ってくれる相棒(パートナー)なのだと。


「お前ら……一体何を?」


そんな私とゼノの様子を見て不審に思ったのか、クラインさんが尋ねてくる。それに対して、私とゼノは随分と息を合わせたかのように言葉を表した。

「「ちょっと、ボスにケンカ売って全員助けてくる」」


それだけを口にすると、私たち二人は、ボスに向けて駆け出していた。




「貴方達はまず一旦引いて回復!体制を立て直せたら、まずはあいつの剣を盾持ちが抑える。他はそれのサポートと順次スイッチして!」


「レミー! まずは一旦下げて、その後二手に分ける! 俺が左でレミーが右。それでええな!?」


「了解!!」


軍の人たちも何だ何だと疑問に思ってはいるが、こちら側の決死的な要請と、自らも生き残りたい意志があるからか、私たちの指示に従ってくれる。今は逆三角形型の防御態勢(ディフェンスシフト)を引いているが、こちらに盾持ちが少ないこともあり、なおかつこちらが疲弊しているのもあり、さすがに押されてくる。そんな中私たちとボスの間に入ってくる人影があった。


「そうやって勝手に行って、お前らだけに任せるわけにもいかないだろ? 行くぞ、アスナ、クライン!!」


「ええ!」


「おうよ!」


そこにいたのはキリトやアスナ、クラインさんやギルド〈風林火山〉の面々だ。歴戦の勇士たちは私たちに力を貸してくれる。こうして私たちと、ボスとの戦いが切って落とされた。

「誰か……誰かスイッチを!」


「よし、俺に任せろ!」


ボスからの一撃を受け警戒域(イエローゾーン)に落ちていた軍の一員がこちらに伝わり、それに空いていたクラインさんが軍の人と交代(スイッチ)する。クラインさんが割り込んでボスの攻撃を逸らすと、ボスに対しての攻撃部隊が左右から攻撃を行う。私も攻撃を行う為にボスの右側に回り込んだ。こうして私たちの連携と態勢管理(シフトマネジメント)が上手く組み合うことで、ボスに対して有効にことを進められた。そして最後に………


「スターバースト……ストリィィィィム!!」


キリトが私たちに時間を稼いで欲しいと告げて見せたのは片手剣を両手に持った二刀流。あんなものは初めて見た。あれもスキルの一つなのだろうか? 少なくともあんなものが存在するとは聞いたことも見たこともない。言うなれば、番外能力(エクストラスキル)なのだろう。しかも、その中で特に特殊(ユニーク)と言えるくらい貴重だろう。そのキリトの最後の一撃でボスのHPは全て消え去った。そうしてボスはポリゴンとなり消失した。こちら側もHPが極限にまで減らされていたり、ボス戦独特の緊張感から解放されたからか、精神的な負担が多かったり、大分疲弊している。回復用のポーションを飲み、一息ついているところにゼノが声を掛けてきた。


「お疲れ様、レミー」


「ゼノもね……それと犠牲者、出しちゃったね。」


「お前が気に病むことはないで、レミー。あれは、あのオッサンの判断ミスから起こしたことや。レミーのせいやない。」


個人的に気に病んでいたことを吐露し始めると、ゼノがフォローしてくる。助けることが出来なかったことを、見捨ててしまったことを。私はこれからも悔やみ続けるだろう。掴めたものを手放した。それが見ず知らずの人物だったとしても。


「まっ、それよりも心配なんは、向こうのあんちゃんのことやな。どうせこんな世界でのおかしな出来事や。二刀流なんて見たことも、聞いたこともあらへんからな。どうせ話題の種にされるんやろうな。」


「そうね……確かに見たことはないけど。あれは明らかに私たちとは違う何かを持っていることには間違いないよ。」


そうして話題に出したのはキリトのこと。あんな能力を持っているとは思ってもいなかった。まるでこの『ソードアート・オンライン』という物語の主人公のような。そんな気もする。今は私たちとは少し離れた場所でクラインさん達からの質問攻めとかに遭っている。


「まぁ、その辺はあの娘はんがなんとかするやろ。だが、こうなるとアレやなぁ。この二刀流をもっと見てみたいというか、対人戦でやったらどないな感じになるのか俺は気になるな。」


「確かに……もっと見てみたい。キリトの二刀流、見ていられるものなら見ていたい。」


そこにあったのは単純な憧れと望み。見たこともない剣技を見せられたのだから、一プレイヤーとしても、一人の人間としても気になって仕方がない。

「だったらなぁ、レミー。俺良いこと考えついたんや。まぁ、それが実現出来るかは分からんけどなぁ。」


それを見て、何やらにやりとしたゼノ。私はそれを見て、不思議に思っていたが、その意図が分かるまでは、まだこれより後のことだった。

「ほな、向こうに合流するか。そっちはそっちで大変そうやな?」


「そりゃあ、そうだろ。だってキリトのやつこんなスキル持っていたんだぜ? これはちょっと聞いてみたくもなるだろ?」


「まぁまぁ、その辺で止めておいたら? キリト君も好き好んで隠していた訳じゃないと思うから。」


向こうに戻るときにも、まだキリトへの質問やらなんやらが続いていたようだ。私だって気になるのだから。思い出せば私以外の人は、あの場でゼノと初めて出会ったはず。そして先に紹介していなかったのを思い出したのかゼノがキリトたちに自己紹介を始めた。

「そうだ、そういやまだあんさん達には紹介が遅れてしもうたな。俺はゼノ。レミーの保護者役や。」


「え?」


「嘘…」


「マジかよ…」


思わず、私も耳を疑った。

「ち…違うから! ゼノは…その何も知らなかった私に教えてくれたの! お父さん!……じゃなくって先生。先生なの!」

そう言って私は否定した……が、私は墓穴を掘ることになった。ああ、顔が赤くなるくらい恥ずかしい……

「まぁ、そういうところもあって良いんじゃないか? 今まではちょっと硬いというか、何か壁みたいなものがあるように感じたからな。」


「そう思われていたみたいやで、レミー。またそんなことになってたんやな。愛想は悪い訳じゃないけど壁作ってるんやな。」


「別に好きでやっているわけじゃないわよ……普段はこうじゃないんだけどなんか……なんか癖なのよ。」


これが現実と仮想(ゲーム)との違いだからだろうか?どうせこの先に繋がるものでもないと、どこか思っていたところもあるのかもしれない。

「まっ、そないなことはもうこの辺にして帰ろうや。それでレミー、久しぶりに会えたんや。今日は色々と付き合えよ?」


そうしてゼノさんから誘われた。久しぶりに会えたし私も面と面で話したいことは山ほどある。だから、この誘いに乗らないわけはない。

「ったくもう……久しぶりだから嬉しいのは分かったから。ね? この後は一緒にいるから。」


「ホンマか? なら都合ええわ。この後は仰山話したいこともあるしな。ほな、皆さんお先に失礼しますー。」


「じゃあ、キリト、アスナ、クラインさん。またね。」

そうして私とゼノは主街区へと戻った。その時に聞こえた、「あいつら……出来ているのか?」との声が聞こえたような……気がした。
 
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