【DQⅤ】ゲーム内容全把握のニートが転生時に死なない為の心得。
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心得~サンタローズ編~
2,善行を積むのは大切です。
前回のあらすじ。
攻略本を書くつもりが教訓も超えて自分への励ましになっていた、以上。
やっぱり魔物に襲われるのはちょっとイヤなので、我らがお父さんに『お父さん、お姉ちゃんのお父さんが病気で、薬を取りにいかないとダメなんだって』と聞いてもいないことを相談してみた。
「薬を作るおじさんが取りにいったんだけど、帰ってこないみたい」
「そうか。大事にするようビアンカちゃんに言っておいてくれ。私は出掛けるが、いい子にしてろよ」
問答無用で出掛けられました。
だが、そんなことでぼっちな18年で培われた俺の心は折れない。
こそこそストーカーのように父さんの後を追うと謎の乗り合いイカダに乗り合ってしまったので、そこを守るジジっ……お爺さんに声をかけてみる。
「あの、おじいさん」
「坊やはええ子じゃな。それならお父上の邪魔をしないようにな」
「えっと、邪魔をするつもりはないんです。ただ、ちょっと……」
「坊やはええ子じゃな。それならお父上の邪魔をしないようにな」
「はい、しません。ちょっとお父さんに用事があるんです」
「坊やはええ子じゃな。それならお父上の邪魔をしないようにな」
「怖いので別の台詞を喋っていただけますと」
「坊やはええ子じゃな。それならお父上の邪魔をしないようにな」
「お爺ちゃん、晩ごはんはもう食べたでしょ」
段々素に近づいていく俺氏。
だってしょうがないと思うの。絶対このジっ、お爺さんボケてると思うの。
「迷子の迷子の子猫ちゃん(意味深)ー、貴方のお家はどこですかー?」
ボケおじい様の前に敗北を喫し仕方なく正攻法で攻めることにしたが、暗いし湿っぽいし何かそこの角から金色の目が見えるしでやっぱり心細いので、「犬のおまわりさん~ver.R-18」を歌い気を紛らわせることにした。
ちなみに武器は木の枝。ひのきのぼうでさえない木の枝。
村の外に行こうとかいう変な気を起こさないようにと、召使いのサンチョに武器は没収されているからだ。
何やってんのサンチョ、難易度上がったぞサンチョ。解雇だぞまったくもう。
「泣ーいて(喘ぎ)ばかりいる子猫ちゃんー(意味深)っうおぉ!?」
サンチョに内心で愚痴を言っていると、角から見えていた謎の金目が飛び出してきた。
金目っていうと鯛みたいだな。今はめでたいの対極にいるけどな俺。
「っご、ごめんなさい。真面目に歌います。すみません」
動揺のあまり見当違いのことを金目鯛……もといドラキーに口走ってしまう俺。
いやだって怖いんだもん。
こう、金色に光る目がそこの物陰からズザザザザァァッって出てきたら怖いだろ?
そういうことなんだ。分からないか、所詮脳内お友達だもんな。
「キィッ」
「うぇ゛あ!?」
何今の!?メラか!メラなのか!!
すげえ!かっこいい!!
何かね!?こう、魔法陣みたいなのがブワァって出来てさ!
それでそこから火が(以下略)
ふぅ。
熱は冷めたが(2つの意味で)、これ何気俺滅亡の危機だな。
今なら多分気絶で済むだろうが……やっぱり金は大事だ。
と、いうことで。
やってやろうじゃねえかうらああああああぁぁぁぁぁぁぁああ!!!
▼リュカ は にげだした !
「は、はぁ、はぁっ……」
逃げ切った。
これでも俺、中学時代は陸上部だったからな。
信じらんねえだろ。50m程度走っただけで疲れ果てて壁にもたれてるやつが陸上部だったんだぜ。
「う、うぅ゛ん……」
うぉ゛あ。
誰だよ唸ってんの。
まあその岩の下のあいつだと思うが、あんな岩の下にいたら死ぬよな普通。
まさか魔物か?血塗れにするぞ?(俺の血で)
「だ、誰かいるのか……助けてくれェ……」
嫌だよ魔物め。死にたくないよ俺。
「いるなら返事をしてくれ……」
「ナンノゴヨウデショウカー」
せめてもの抵抗として、思いっきり棒読みで答えてやった。
さあ、何が出るかな何が出るかな……?
「お、おぉ……!頼む、誰だか知らないが助けてくれ!」
この人絶対いつか騙されるぞ。
ここまで来たにもかかわらずまだ魔物かと疑ってる俺を見習えよ名も知らぬおっさん。
「はぁ……貴方は誰でしょうか」
「サンタローズの村の薬師だ、薬草を取りにきたのだが岩に押し潰されてしまってな」
あ……あーあーあー!
こいつそういえば潰されてたな!
「薬師さん……お姉ちゃんのお薬を作る人ですか?」
「お姉ちゃん?ふうむ、よう分からんが、薬を作ることは間違いないぞ」
来た!物語進んだ!!
「そうですか……岩、どけられます?」
「さっきから試しているのだが……さすがに無理そうだ」
ですよねー。
逆に出来たら魔王級だぞお前。
「手伝うので、ちょっと頑張ってください」
「分かった」
「はい、せーの!」
っおっも!クッソ重い!
これどかせたら魔王超えるぞお前!
頑張れば動かせそうなんじゃないのかよエニックスさんよぉ!
「ど……どうします?」
「ふむ……魔法は使えるか?」
使えたらドラキーのメラにあそこまで興奮しねえよ。
「使えません……」
「そうか……しかし、やらないことにはいつまで経っても何も出来ないぞ」
「はあ……」
「ひとまず試してみようではないか」
ウィッス。
「あー……主人公が使える攻撃呪文か……確か、バギ系だったよなぁ……」
「どうした、少年」
「あ……何でもないです。えへへ」
ネコ12,3匹被りの愛想笑いで誤魔化す。
「えっと……じゃあ、行きますよ?」
「よし」
「それっ」
……出ないよねー。
やっぱちゃんとバギって言わないとダメなのか?
ドラキーは「キイッ」でいいのに理不尽じゃね?
「……というかそもそも何で俺バギっ」
……とか唱えなきゃいけない状況に追い込まれてるの。
というのが後に続く言葉であったはずなのだが、俺の言葉は不自然に止まった。
俺の目の前に、突如として巨大な竜巻が発生したからだ。
竜巻はひゅんひゅんと唸りながら岩を切り裂き、ひとりでに消えた。
……これ、すごくない?
俺、頑張れば本当に神倒せるんじゃない?
「ありがとう……はっ、き、君はパパスの息子か!?」
「ウィッス」
あ、やべえ、若干引かれてる。
ごめんねおっさん。ちょっと考え事してただけなんだ。
内容が限りなくまともじゃないけどね。
「そ、そうか……ともあれ、助かったよ。確か、リュカくんだね」
「はい」
「リュカくんはすごいな、あんな呪文を使えるとは。さすがパパスの息子だ」
「えへへ、ありがとうございます」
呪文と父さんの遺伝子は関係ないと思うけどね。
父さん呪文に関してはからっきしだし。
でもまあ、褒められたのは嬉しい。
俺の前世は、モブの中でもそれこそFくらいの位置づけだったからな。
ようするに限りないモブだ。悲しいなくそう。
「大したものは持っていないが、せめてものお礼だ。受け取ってくれ」
手渡されたのは、どうのつるぎ。
「わあっ、ありがとうございます!」
ありがたく金の足しにさせてもらうよ!
いやあ、善行は積むものだね!
今日の攻略本(震え声)に書く心得は、これで決まりだな!
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