閃の軌跡 ー辺境の復讐者ー
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第15話~策略の牢~
前書き
読者様方、漬けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしマグロ・・・ん?挨拶が違うって?これ鮪語です。皆様には最大限の敬意を払っております。何の問題もございません。さてさて、今回はマキアスさんが捕まっちゃいます物語です。
七耀暦1204年 5月30日(土)
「ユーシス・アルバレア。アークスの戦術リンク機能・・・この実習の間に、何としても成功させるぞ」
「なに・・・?」
「いくら君相手とはいえ、他のメンバーが出来ていることを出来ないのは不本意だからな。ちょうど新たな手配魔獣も出ているし、昨日のリベンジをするのはどうだ?」
ホテル一階のロビーに集合したA班は、ホテルの支配人から実習課題用の封筒を受け取る。
明日の朝にはトリスタに戻るため、少なく纏まった課題をこなすプランを考えているとマキアスがユーシスにリベンジの提案をした。彼の態度が突然変わったことを訝しむユーシスだが、思い当たる節があるのか、小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。
「・・・やれやれ。我らが副委員長は単純だな。大方、昨晩の話を盗み聞きして絆されたといったところか?」
「なっ・・・決め付けないでもらおう!君の家の話にケインやリィンの話など僕はこれっぽちも・・・・・・あ」
自分で墓穴を掘ったマキアスは、否定できずに何とも言えない恥ずかしさを抱えていたが、ユーシスがその話に乗ってやると言ったのでひと段落する。今日の実習は上手くいきそうだと言うエマにどうやら同意できそうだ。そんな中、アルバレア公爵家の執事、アルノーがユーシスを実家へ迎えに来る。何でも、アルバレア公がユーシスを呼んでいるらしい。そんなそぶりは全く見せなかっただろうと抗議するユーシスに昨日の彼に対する態度を省みられたのではないかと自身の考えを述べるアルノー。それでも実習を途中放棄するのは躊躇われるのか、逡巡する彼をマキアスが筆頭になって送り出した。
「よし、それじゃあせいぜい頑張って依頼をこなしてユーシスに楽させてやるか」
「ふふっ、そうですね。それにしても・・・」
「な、なんだ・・・?その何か言いたそうな顔は」
ケイン、リィン、エマ、ファミィはそれぞれがマキアスに暖かい視線を向ける。
「マキアスのおかげで色々と良い方向に行きそうだと思ってさ」
「そうそう。アンタにしては頑張ったんじゃない?」
「ええい、何で妙に上から目線なんだ君は!それに、何だその生暖かい目は!
リィン!君とのわだかまりだってまだ無くなったわけじゃないぞ!?」
「え、そうなのか?」
「それとケインにエマ君!来月の中間試験では絶対に君達には遅れを取らないつもりだ!
せいぜい全力を尽くしたまえ!」
「は、はぁ・・・頑張ります」
「ああ、二人とも頑張ってくれ」
「君もだろう!?・・・ついでにファミィ!この際だから言わせてもらうが授業中寝るんじゃない!いいか、勉強というものはまずは授業でノートを取るのが基本であって」
「えっ、寝てないよ?気づいたらみんな一緒に綺麗なお花畑でピクニックしてるの」
「完全に夢見心地じゃないか!」
「ま、まぁ、マキアスもその辺にして」
「ケイン?そう言えば君は寮の門限をたびたび無視しているそうじゃないか・・・トリスタに戻ったら教官に変わって僕が話をさせてもらうぞ」
「うげっ、そいつは勘弁してくれよ・・・」
しまいには説教までしだしたマキアスを止めに入ろうとしたケインだが、自分も彼の話し合い、もとい説教を受ける取り決めをされてしまい、脱力感に肩を落とすケインであった。
「ねえ、何かお腹すかない?」
「少し前にハモンドさんからスープをご馳走してもらったばっかなのにな。そんな調子で食べていると太・・・」
「ふと・・・何なのよ?」
「な、何でもありまセン」
「はあ・・・ケイン、君なあ」
昼ごろになったのでユーシスをと待ち合わせをしたホテルへと向かうべく北クロイツェン街道の門から移動しようとする。彼には悪いが与えられた実習課題は全てこなした。課題の一つは、昨晩全員が行ったレストランのオーナー、ハモンドから頼まれたスープ料理用の材料を調達するというものだ。そのお礼としてユーシスが大好物であるらしいハーブチャウダーを振る舞ってもらった。もう一つは例の如く手配魔獣の討伐で、街道の石橋付近へ向かい、さほどの苦労もなく討ち倒した。その時、マキアスがリィンと和解し、青春だと周囲に茶化されたのは記憶に新しい。そんな先ほどの出来事を追想しつつ、ケインはファミィに対してデリカシー皆無な発言をして睨まれる。ついでにマキアスからも呆れの視線を向けられてしまう。リィンとエマはそれを苦笑して見ていた。
「おい、お前たち!」
一同が和んでいたところに領邦軍の兵士が二人ほど前方から駆けつけてくる。実習でバリアハートに滞在しているトールズ士官学院の生徒であることを確認し、リィンがそれを肯定すると、手配の写真がどうのなど不穏当なつぶやきが彼らから聞こえてくる。
「士官学院1年、マキアス・レーグニッツ。それに、ケイン・ロウハートだな?」
「貴様らを逮捕する。大人しくお縄についてもらうぞ」
警戒心を強めつつ至って冷静に領邦軍を睨みつけるケインと間抜けに上ずった声を上げるマキアス。彼らと兵士の間に割って入ったリィンが何かの間違いだと抗議を申し立てるが、オーロックス砦への侵入罪を始めとした複数の容疑を名目にして二人を取り調べる権利を行使せんとさらに多くの兵士がケインらを囲んだ。
(ちっ、せめてマキアスだけでも)
「・・・妙な真似はしない方がいいぞ、破滅の王。貴様の得意なアーツもこの状況では力を発揮できまい。大人しく拘束されるがいい」
「あんたら・・・マキアスは無関係だろッ!?どうして彼が拘束されなければならないんだ!!」
挑発気味に笑みを深くする領邦軍に、珍しく怒りを露わにして両手の拳をきつく握りしめるケイン。マキアスはそんな彼の肩へ手を置き、振り向いた彼に対して首を横に振る。彼の言わんとしたことを理解したケインは、それ以上なにも言うことなく頷いて脱力するのだった。
-領邦軍詰所・地下牢-
「安心しろ、大人しくしていれば危害は加えない」
「容疑が晴れさえすればいずれ釈放されるはずだ」
公都の地下水路にある薄暗き牢に閉じ込められるケインとマキアス。用は済んだと言わんばかりに詰所に去っていく領邦軍兵士二名にガンを飛ばしておいてからマキアスは迂闊だったと項垂れる。一方のケインはと言えばポケットから何かを取り出していた。
「おっ、あったあった」
「ケイン?君は一体何をするつもりだ・・・ま、まさか」
「そのまさか、だよッ!」
煌々と輝く白銀のナイフを取り出したケインは、鍵穴のついた施錠具を上から下に一閃した。すると、ほぼサイレント状態で金具が落ちる。まさか領邦軍の連中も入って一分もしないうちに脱獄する馬鹿はいないと思っているだろう。そのケインの考え通り、今は見張りがいないようだ。数刻も経たないうちに来るのだろうが、彼はマキアスに先に逃げるように言う。
「でも、君はどうするんだ?」
「ちょっと領邦軍シメてくるよ」
「わ、判った。その・・・ほどほどにな」
彼らがケインに伸されるシーンを想像したのか、どこか申し訳なさそうな顔をしながらも彼にお礼を言い、出口へと向かうマキアスであった。
-バリアハート貴族街・詰所前-
「ふむ、ヤツの尻尾を掴むのももう一息か・・・」
マキアスとケインは犯人じゃないと直談判しに来た士官学院の生徒らを一蹴したクロイツェン州領邦軍第2中隊隊長は、笑みを深くしながら門前でそう呟く。エレボニア帝国帝都知事、カール・レーグニッツ。貴族出身の人物らを押しのけて選出された平民出身の知事だが、貴族を根本から否定する革新派の中核を担う人物の一人だ。清廉潔白でかなりの切れ者であるらしい。その息子と一派親玉の最終兵器とでも言うべきイヌも人質として捕らえられた。これで彼らは何らかのリスクを負うだろう。貴族の私兵たる我々にも矜持がある。場合によってはあの二人には消えてもらうこともやむなしだろう。
「・・・?何だ?」
そんな残忍な事を考えながら公爵家の次なる連絡を待っているとコートの内ポケットに入っている無線からコール音が鳴り響く。こちらは領邦軍専用の通信端末で、兵には緊急時以外に連絡の必要はないと指示しているので尋常ならざる事態かと考え、慣れた手つきで応答する。
『た、隊長!!ル、ルインモナークが・・・ぐあっ!』
『おい、どうした!?』
何か切羽詰まった状況であるのは判ったが、兵士の短い悲鳴を最後に通信が途絶してしまった。ルインモナークが詰所に侵入したのか。そうであれば当然、知事の息子も脱獄しているはずだ。そう考えた隊長は、隣の兵士に命令を出す。
「おい、地下にアレを放つよう別働隊へ通達しろ。私は中を収拾する」
「了解しました」
命令を受けた兵士は颯爽と敬礼をし、別働隊に連絡を取り始めた。
「大人しくしていればいいものを・・・虎の子を食らわせてくれる」
虚を突かれたはずだが、このようなチャンスをみすみす逃すほど彼らも甘くは無かった。
-バリアハート・地下水路-
「マキアス!無事だったんだな」
「き、君たち。どうして・・・それに、まさか君までいるとはな」
「フン、貴様のベソをかいた顔を確認しに行ったまでだが・・・それと、父にこのくらいは一矢報いようと思ってな」
「・・・そうか」
「ユーシス・・・」
ケインの迅速な判断によって無事に脱獄したマキアスは、狭く複雑に入り組んだ地下水路を小走りに進むうちに、リィンたちと合流した。どうやら自分とケインを助けに行こうと色々動いていたらしい。そのことで少しばかり涙腺が緩みそうになるマキアスだが、ユーシスの嫌味でそんな気も掻き消えてしまった。ケインがいないことに気づいたエマが彼の所在について訊くが、領邦軍の詰所だと答えるとたちまち苦笑を浮かべている。葬式よろしく顔の前で手を合わせるリィンに、あの阿呆がとでも言いたげに顔を片手で覆い隠すユーシス。さすがのファミィも肩をすくめて見せている。反応は皆それぞれだったが、全員が和んでいる暇はないという考えに至り、出口に向けて集団逃亡を開始した。
「な、何なの!?」
「・・・かなり大きな獣みたいだ」
「ああ、向かい側から迫って来ているようだな」
「くっ、何て厄日だ!」
どうやら領邦軍が魔獣を放ったらしく、耳を澄ませば足音がどんどん大きくなっているのがマキアスにも分かった。回れ右をしようか否かを割と本気で逡巡していたが、詰所の外にも兵士がいる可能性がある。結局彼にできたのはこの状況に毒づきながら仲間と共に出口の方へ猛然とダッシュするのみだった。しかし、そんな全力疾走もむなしくイヌ科の大型獣二体が待ち受けていた。所々に装甲が取り付けられており、軍用であるのは明らかだ。二体の獣は洗練された動きでマキアスたちを囲む。完全に退路を塞がれてしまった。
「くっ、獣のくせに知恵が回る」
「ふ、ふんっ。こんなのになんか負けないんだから!」
「ああ・・・せいぜい躾けてやる」
獰猛な獣相手に話し合いなど通用しない。リィンはⅦ組の重心として全員に号令をかけるのだった。
「・・・何とか倒せたか」
「さ、さすがにもうダメかと思ったぞ」
「フン・・・たかが獣ごときに遅れを取ってたまるか・・・」
「その通り、よ・・・あいつらもこれに懲りたら・・・!?」
サラに勝った戦闘のエキスパートとも呼べるケインが欠けていたが、土壇場でマキアスとユーシスが戦術リンクを繋げたため、円滑になった連携で打ち勝つことができた。疲弊が多少前面に出ているユーシスの言葉に同調したファミィの表情が突然曇る。彼女のその反応の意味を一同は即座に理解した。目の前に、先ほどの獣がもう二体現れたためだ。
「洒落になって、ないぞ・・・」
「・・・ここまで、なの?」
先の戦闘で完全に疲労が溜まってしまった一同が諦めかけたその時だった。
「・・・イグナプロジオンッ!!」
背後から毅然とした掛け声とともに一対の炎が現れ、獣の周りを囲みながら最後には衝突して大爆発を引き起こす。
「のぉわあぁぁぁぁ!!」
激しい爆風に巻き込まれたマキアスは、文字通り後方に転がっていく。次に目を開いた時には黒こげになって装甲の半分以上が溶けた獣たちが尻尾を巻いて逃げていくところだった。
「・・・よし。みんな、大丈夫か!?」
「大丈夫なはずがないだろう!?死ぬかと思ったぞ!!」
「い、いや、それはその何というかみんななら避けてくれるかなって思ったんだけど」
バツが悪そうな顔をして俯き加減でマキアスを見る起爆犯もといケイン・ロウハート。実際に爆風で飛ばされたのはマキアスだけであり、他のメンバーは苦笑を浮かべている。否、ユーシスだけは嘲笑であった。そんな彼を不快に思いつつ犯人にさらなる抗議を申し立てたいマキアスだったが、領邦軍の兵士に再び取り囲まれてしまった。
「マキアホ・レーグニッツに構っている場合ではなかったか・・・!」
「勝手に改名するんじゃない!何だその変なあだ名は!?」
「ふぅん、そんな手があったのね。今度から私もそう呼ぼうかな?」
「ファミィ!君も、感心してるんじゃない!!」
呼吸するかのようにマキアスを貶すユーシスに馬鹿にされた当人は声を荒げるが、改名がファミィにまで波及し、ケインやリィンに至っては声を押し殺して笑っている。完全に蚊帳の外にいる領邦軍の怒号など一同にとってはどこ吹く風だ。
「いい加減にしろ、貴様ら!!」
「ああ、怒ってるところ申し訳ないけど、あんたらの隊長は助けなくていいのかよ?」
「は?何を言って・・・」
「地下牢にぶち込まれたあんたらの隊長とその愉快な仲間たちは助けなくていいのかって言っているんだ」
さらっとえげつないことを言ってのけるケインにマキアスらの視線が集中する。挑発的に笑みを深くこそしているが、目が本気だ。おそらくハッタリではないのだろう。一方の兵士らはさすがに動揺したのか、一人が隊長へ無線を繋ぐ。すぐ近くでコール音が水路に鳴り響いた。
『こちらはケイン・ロウハート』
『・・・マジかよ』
ケインが応答したことによる暫しの沈黙。増援が期待できないことを知り、動揺している者もちらほらいるようだ。
「う、狼狽えるな!優位性はこちらが保っている!!かくなる上はユーシス様ごと武装解除を・・・!」
「その必要はなかろう」
一日ぶりに聞いた青年の穏やかな声。声の主の姿を見た兵士らは各々が驚きを呟きにしていた。彼らの驚きももっともなのだろう。現れたのはアルバレア公の代理で帝都へ行ったはずのルーファス・アルバレアであったのだから。士官学院からの昼過ぎに連絡が入り、飛行艇で戻ってきたそうだ・・・サラ教官とともに。父たるヘルムート公には話をつけたらしく、兵士には戻るように指示をする。それに服従する形で彼に敬礼をし、足早に撤収していく領邦軍。
「・・・どうもありがとうございます。彼らは牢屋にぶち込まれなくてよかったですね」
「フフ、領邦軍も日々の訓練は決して怠っていないのだが、君には物足りなかったかな?・・・強い兵士を持つ“彼”が羨ましい限りだがね」
「ルーファスさんも実は結構な実力者ですよね?」
「卿ほどではないとは思うが・・・」
お礼と同時に若干皮肉めいたことを言っているケインだが、ムキになる様子もなく賞賛するルーファスに器の広さを感じさせられる。彼らのやり取りは延々続く様に思われたが、サラが口を挟む。
「ケイン?単独行動はしないように言っておいたはずよね?」
「マ、マキアスも一緒でしたって・・・少なくとも途中までは」
「その後、『ちょっとあいつらシメてくる』とか言って詰所に単身で侵入していましたよ」
「そうそう、そうなんですよ。あいつら意外と頑固で・・・っておい!!」
眼鏡のブリッジを押し上げ真面目にありのままを報告するマキアスに対して、ケインも一時は同調してしまう。普段はポーカーフェイスであるケインは嘘をつくのだけは何故か苦手だ。しゃれた冗談はさらっと言うのに根は真面目なのだろう。マキアスはそんなことを考えながらケインがサラと対話をしているのをBGMにしてルーファスと話すことに。
ルーファスがトールズ士官学院に三人いる常任理事の一人であることや、コンタクトを取ってきたサラを途中で拾って飛行艇でこちらへ来たことなどを知る。彼が学院理事を務めていた真実を知った時のユーシスは、開いた口が塞がらない様子で脇腹を抱えていたのは内緒である。
「いや、しかしまさか私の留守中にあんな無茶を父が押し通すとは思わなかった。相当頑なではあったが・・・今回ばかりは引いてもらったよ。理事として生徒の不正な拘束は認められないからな」
「兄上・・・」
「ご配慮、感謝します」
ルーファスは良くできた人だと思っていたマキアスだったが、それどころか自分に何のメリットもないのに助けてもらい、貴族にもやはり色々いるんだなと心の中でそう思った。
「・・・次やったらほっぺにチューするわよ?」
「そういうのはあんたの好きな中年男性にやれ!!」
「えっ?口が良いって?やだ~照れるじゃない♥」
「言ってないよ!!断じてそんなこと言ってませんッ!お願いだからやめろ下さい」
「・・・・・・・・・」
「ケイン君と教官殿は、随分と仲が良いようだね?」
「ふう、まあいつものことでしょう」
「はは・・・」
慌ただしかった特別実習も一応の終わりを迎えた。中身だけならカップルのスウィート・トークのように聞こえるような彼らのやり取りを聞かなかったことにしてマキアスたちはルーファスと別れてホテルに戻ることに。すでに日没状態だったが、到着して暫くするとケインとサラもやって来た。五月の特別実習でケインに負けたサラは、ケインに怯えて彼は避けられていたはずだがいつの間にやら関係が修復、いや好感度的なものは上がっていると言えるだろう。現在もケインがサラに腕を組まされている状態だ。ロビーで一応彼らを待っていたⅦ組A班メンバーズは多種多様な反応を示し、
「支配人。あの二人にスイートルームを一部屋だ」
「かしこまりました」
「や、やめてくれ!というか、待ってくれ冗談きついよ!支配人さんもかしこまらないで下さいよ!!」
などとユーシスが真顔で支配人にお願いする始末。ケインが一人騒ぎをしているが、サラは「分かってるじゃない」などとのたまい、彼は空いたほうの手で頭を抱え始めた。
結局は違う部屋で寝ることになったが、最後までサラが文句を垂れていたのは幻聴だろうと自己完結して、マキアスも昨夜と同じ部屋のベッドで目を瞑るのだった。
後書き
物語の視点はケイン、領邦軍隊長、マキアスとなっていましたが分かりましたか?ややこしかったらすみません。なんか話が一人歩きを始めてですね(←言い訳のつもり)
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