いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?
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日常風景のパフォーマンス
第31話
前書き
年内更新、ギリギリ間に合わなかったorz
新年あけましておめでとうございます。今年も私、ユキアンの作品を楽しんで頂ければ幸いです。
side 木場祐斗
天守閣に到着してから5分程でプロフェッサーが他の皆を連れて天守閣にまでやってきた。態々用意したのか『断罪の剣 御一行様』と書かれた小さな旗を持って。
「は~い、こちらが天守閣になります。この城唯一の安全地帯、魔法陣も固定化しか存在せずに罠も一つしかない上に分かりやすく、ドクロマークのスイッチ式。ちなみに中身は自爆スイッチとなっておりま~す」
「なんで自爆スイッチなんて付けたんっすか!?」
「ロマンだからだ!!」
「ロマンなら仕方ないにゃ~」
「ロマンだからって仕方なくないっすよ」
「まあ、実利面で見ると帰りに元に戻す必要がある以上、自壊させる必要があるからな。爆発も殆ど起こらんようにしてある。それよりもアーチャー、準備は出来てるか?」
「無論だ。カードから取り出すだけだからな」
隅の方で何かを取り出していたアーチャーが福引きに使う、そう言えばあれって正式名称ってなんなんだろう?まあガラガラで良いか。ガラガラとホワイトボードを持って来る。
「中に色の付いた球を入れてある。引いた色でチームを組んでレクリエーションを行う。優勝したチームには豪華賞品を、ビリのチームには罰ゲームを用意してある。各員、本気で挑む様に」
そして順番に皆が引いた結果が以下の通りになる。
赤:木場祐斗、塔城白音、ゼノヴィア
青:アーチャー、紫藤イリナ、ミッテルト
緑:アザゼル、グリゼルダ、ルゥ、ヴァレリー・ツェペシュ
黄:プロフェッサー、ギャスパー、久遠
「と言う訳でチーム分けが終わったな。それではレクリエーションを始めるぞ。まず最初はリレーだ。あそこに見えるブイまで行って帰ってくる。往復で70m程だな。飛行と転移以外の魔法は使っても良し。直接攻撃は失格。緑チームは三人選んでやるように」
プロフェッサーと久遠さんが同じチームか。絶対搦め手で来るだろうね。今も二人でにやにやしてるし。白音さんも泳げるのは最低限ですしね。これは厳しいでしょうね。
「それじゃあ、下まで行くか。適当に罠に引っかかれば下まで一直線だからな」
そう言ってプロフェッサーが階段を下りていき、何らかの罠が稼働する音が聞こえてくる。窓から下を見てみると、プロフェッサーが勢い良く飛び出して着地に失敗して転がっていた。本当に運動が下手なんだね。単純な力仕事とかは大丈夫みたいだけど。
「それじゃあ、ウチらも行くッスよ」
ミッテルトさんが窓から飛び出して堕天使の羽を広げるも飛ぶ事が出来ずにプロフェッサーの真上に落ちる。城の中だけでなくて外も飛行不能の結界の範囲内だったみたいだね。
「ミッテ~~~、貴様ーーーーー!!オレに恨みでもあるのか!!」
「不可抗力、不可抗力っす!!あと、恨みはありまくりっすよ!!」
砂浜で鬼ごっこが始まる。仲の良い男女が砂浜でおいかけっこをしてるのに甘い空気にならないのはあの二人らしい。
「はぁ、イリナ、付いて来い。このままだとミッテルトが使い物にならなくなる」
「はいは~い」
アーチャーが擬態の聖剣を産み出して、それをロープの様に使って城の壁を降りていく。紫藤さんもそれを真似して下まで降りていく。
「器用な事をするな、あいつら。まあ、オレらは普通に降りれば良いだろう。どうせ全員揃わねえと始まらないんだからな」
アザゼルさんがもっともな意見を言って普通に降りていく。僕達もそれに続いて降りると、床に白線が引かれていて、全員がその上を通る様に歩いていく。なるほど、ああやって案内してきたのか。
「え~、それではレースを始める。各員準備は大丈夫か?」
「一番良い装備を頼むっす」
「お前は別チームだろうが。自分で準備しろ」
「うぃ~っす」
お約束の様にミッテが茶々を入れて場を和ませる。分離出来る様になってからの基本パターンだ。
「さて、今度こそ大丈夫だな」
僕らのチームの一番手はゼノヴィアさんで他はアーチャー、アザゼルさん、ギャスパーだ。アザゼルさんはめんどくさそうにしているけど、普通にやるみたいだ。アーチャーは何か考え事をしている。一番気になるのはギャスパーだ。サンダルを履いたままでいる。何かあると確信する。
ゼノヴィアさんが戻ってくるまでに色々と対応しなければ勝利は難しいだろう。おそらくだけど、アーチャーも何かを仕掛けてくるはずだ。皮肉屋だけど負けず嫌いでもあるから。
「ようい、スタート!!」
合図と同時にアザゼルさんとアーチャーが肉体強化を施して駆ける。ゼノヴィアさんも一歩送れて飛び出す。そして一番最後尾はギャスパーだ。
「って、あんなのありなの!?」
最後尾を走っていたギャスパーは未だに走っている。だが、最後尾ではなく今は先頭だ。先頭を走っているのだ。
「ふはははは、結界のちょっとした応用だ。海水と反発する結界の魔法陣をサンダルの裏に仕込んでおいたのだ。そして」
戻ってきたギャスパーと代わり、今度はプロフェッサーが走り出す。そして収納のカードからサーフボードを取り出す。そのサーフボードは海水に触れると同時に勝手に滑り始める。プロフェッサーがその上に乗り、魔力を流し込む事でスピードが上がる。
「このオレ、プロフェッサーはスポーツの中で板に乗る物だけは得意中の得意なのだよ」
自分で得意と言うだけあって、波に攫われることなくブイまで到達して折り返し始めた瞬間、海面下からの爆発に飲み込まれて海の藻くずへと変化していった。たぶん、アーチャーが泳ぎながら無限の剣製で無銘の剣をバラまいていたんだろうね。
「ぶはっ、アーチャー、テメエの仕業だな!!」
「ふっ、ルール上問題あるまい。直接攻撃ではないのだからな」
「無論、問題無い。だが、オレのボードを粉砕しやがって。覚えてやがれ!!」
ボードを壊されたプロフェッサーが泳ぎだし、再び爆発に飲み込まれる。
「覚えておくのは面倒だからな。障害はここで排除させてもらおう」
次々と海面が爆発していく中、プロフェッサーが沈んだ場所から少し離れた場所が赤く染まる。
「くっくっく、これでアーチャーは直接攻撃をかましたことになる」
海面が赤く染まった部分からプロフェッサーが浮かび上がってくる。その顔は痛みによって引きつっている。海中の剣を抱き込んだのか、胴回りから大量の出血を伴っている。それに左腕も殆ど動かしていない。
「げぇ、師匠があそこまでなり振り構わないってことは賞品がかなり惜しいのか、それとも罰ゲームがヤバいのかの二択っすね。もしくは両方っすか?」
ボロボロの身体を引きずって戻ってきたプロフェッサーが自分の治療を施しているのを見ながらミッテルトさんが顔を青ざめています。これは、僕達も本気を出した方が良さそうですね。
結局、遠泳対決は僅差で緑チームが1位、2位に僕達赤チーム、そして3位に黄チームで青チームが失格で4位と言う形になった。
「次はビーチバレーだな。見ての通りコートは準備済みだ。ルールは11点2セット先取。メンバーは二人だがサーブ前ならいつでも交代可能だ。それから引き続き飛行と転移と直接攻撃の禁止。それに追加してボールを破壊した場合は失点扱いだな」
治療の為なのか鏡を見ながら自分の身体を縫合しているプロフェッサーがルールを説明する。その姿に大半がどん引きしている。僕もどん引きだ。
「とりあえず聞きたいんだけど、なんで治癒魔法をかけないの?」
「良い質問だな。簡単に説明するとオレの身体は日々改造を加えていてな、現在の所、ホムンクルスよりはゴーレムよりの身体になっていて治癒魔法が効き難い。代わりにこんな適当な処置であとはパテでも当てれば修理完了だ」
そう言って本当にパテを塗り込んで乾かしてしまった。さらに皆が引く。幾ら何でも生物を辞め過ぎだ。
「自分の身体すら研究材料にするとかイカレすぎっすよ」
「何を言っている。ミッテも、おっと」
「ちょっ!?ウチも改造したんっすか!?何をしたんっすか!?吐け、吐くっすよ!!」
「こう拳と拳を合わせてチェンジサイボーグと叫ぶとだな」
「よりによって鋼鉄ジーグ!?」
「特に何ともないな」
「焦らせるのも大概にするっすよ!!」
「さすがのオレでもそこまで時間がなかったからな」
「時間があったらしてたんっすか!?」
「だってミッテは弱いからな。死ぬ位ならそっちの方が良いかなと思わないでもない」
「マジで鍛えてるんで止めて下さい、ウチの精神が死んでしまいます」
「ちぇっ、残念」
二人の漫才が終わりいよいよ試合が始まる。先程の遠泳と違い、緊張感が張りつめる。ミッテルトさんが言った賞品が凄いか罰ゲームが酷いのかどっちかわからないと言う言葉に全員が遊びであると言う考えを捨てた。罰ゲーム、改造手術じゃないよね?
そして始まったビーチバレー。トーナメント戦らしく最初は赤チーム対青チームとなる。ゼノヴィアさんがルールに不安があると申告してきたので先鋒は僕と白音さんで、相手はアーチャーと紫藤さんのコンビだ。コイントスでサーブ権を得て試合が始まる。
序盤は確認の為か全員が肉体強化を抑えめにしていたが、確認が終了してからが本番だ。アーチャー以外の全員が肉体強化をボールが耐えれる限界まであげる。アーチャーの行為に何故という疑問が浮かぶが、考えれば魔力が足りなくなるのだと理解する。2試合だけとは言え途中で魔力を切らすわけにはいかない。その為かアーチャーは最低限の肉体強化と目の良さ、そして経験を活かしたフェイントを多用して試合のペースを掴む。
それに対抗する為に僕達も戦法を変える。アーチャーの魔力を削る為の消耗戦だ。白音さんの全力のアタックに耐えれる様にボール自体を強化してアーチャーに向かって叩き込む。躱せばこちらの点になる様に打ち込む位置も調整しながら強引に流れを変える。
だが、敵も然ることながら対抗策をすぐに打ち出してくる。紫藤さんに変わってミッテルトさんがコートに入り、アーチャーの強化を一手に引き受けたのだ。ミッテルトさんは既に上級に指先がかかる程の光力の量とプロフェッサーが徹底的に追い込んで得た高速陣形成と各種補助魔法と結界、そしてゼノヴィアさん達前衛組に追いかけ回されて鍛え上げた高い耐久力とスタミナと瞬発力に回避能力を身に付けている。直接攻撃が出来ない現状、ここまで厄介な相手は数少ない。本人は気付いていないけどね。
結局、ミッテルトさんに強化されたアーチャーに押し切られる形で僕達は負けた。続く緑チーム対黄チームはアザゼルさんの力押しに久遠さんとギャスパーが耐えられない形となった。プロフェッサーはまだ身体の調整中らしく試合に出て来なかった。
そして3位決定戦、相手は久遠さんとギャスパー、プロフェッサーは再び出て来ない。こちらはゼノヴィアさんと白音さんだ。プロフェッサーの行動に合わせて僕が対策を用意することになっている。
注目はコートの外に集っている。
現在、1セット目が終了した所で久遠さん達に取られてしまった。プロフェッサーは未だに動いていない。ただし、ここぞと言う所で魔力を高めたり、全く魔力を感じない状況から突如の強風が吹いたりと、こちらの集中力を切らせに来ている。久遠さんとギャスパーも動揺したりしているので、本当に偶然が重なって強風が吹いているのだろう。
さて、僕はこれにどう対処すれば良いのだろう?
side out
side プロフェッサー
よし、意識が外れたな。今の内に久遠と打ち合わせをするか。まあ、単語の羅列なんだけどな。おかげでちょっと指示がずれることがあって久遠が動揺することもあったが、逆にあれで警戒が解けた。まだまだ甘いな。この場を支配しているのはオレと久遠の二人だと気付けば、またはオレの運動神経が全く無いことに気付けば少しは展開が変わったのだろうがな。
オレがコートに入った途端、負けが確定すると言っても過言ではないからな。うん、スポーツでまともに出来るのは短距離走位しかないからな。ボールを扱う競技は特に駄目だ。真直ぐに飛ばせないし、投げれないし、蹴れないし、味方に被害を出す可能性の方が高い。自分の運動音痴に絶望してしまう。
結局試合はオリジナルが入るも流れを変えられずに久遠とギャスパーが勝利した。そして決勝はアザゼルさんの力押しでなんとかした結果緑チームが優勝した。
その後もオレが用意したゲームを全員が持ち前の能力と、コンビネーションを発揮し、死力を尽くして戦い抜いた。その結果は
「優勝は青チームで、残りが同着か。こいつは少し予定外だな」
仕方ないな。ここは先に優勝賞品を渡そう。
「では、優勝賞品を渡そう」
収納のカードからトランクを3つ取り出して青チームの三人に差し出す。トランクを開けて中を確認した三人から驚きの声が上がる。中にはびっしりと大粒の宝石が敷き詰められているからな。しかも限界まで魔力を込めてある宝石だ。
「すぐにでも宝石魔術で最上級魔術を使える宝石セットだ。宝石だけで20億円程使っている。そこに限界まで魔力を込めてある。宝石魔術で限界まで魔力を込められた宝石はそれだけで神秘的な魅力を発する様になる。買い集めるのに20億程かかったが、売り払えば50億は硬いな」
オレに宝石の価値は分からんが、一流の宝石商がそう言ってた。
「ほ、本当に良いんっすか?これ、貰っちゃって」
「賞品として用意した物だからな、好きに使えば良い。売り払うのも加工するのも自由だ。宝石魔術の使い方が分からないなら研究室の棚に魔術書を置いてあるからそれを参考にすれば良い。加工してアクセサリーにするなら、腕の良い職人を紹介しよう」
「ありがとうございます」
「で、罰ゲームだが、青以外から各チーム生け贄を1名出せ。言い出しっぺの法則で黄からはオレが出る」
「赤からは私が行こう。あまり活躍出来なかったからな」
「緑からはオレだな。嫌な予感がするからな」
「それじゃあ、罰ゲームの発表だ。城の爆破スイッチを押しにいくぞ」
「「えええええええ!?」」
「爆破スイッチを押すと同時に魔力と光力が完全に使えなくなるから急いで駆け下りる必要がある。遅くなるとそのまま飲み込まれるからな」
逃げ出そうとしたアザゼルを仕込んでおいた結界で捕縛して連行する。ゼノヴィアさんも逃げようとしたが、アザゼルの状態を見て諦めたようだ。三人で天守閣まで登り、アザゼルの拘束を解く。
「良いか、計算ではスイッチを押してから2分45秒で完全に城は崩れる。そしてスイッチを押すと同時に魔力と光力が使えなくなる。つまり罠も一緒で作動しない。ただし、自爆スイッチは城の中に居る生命反応が全て天守閣に居ないと作動しないようにもなっている」
「ならお前が押せ。オレとゼノヴィアは階段の手前に居るからな」
「いいだろう。準備は良いか」
アザゼルとゼノヴィアが階段の前にまで移動する。
「良いぞ」
「やれ」
二人の準備が整うと同時にスイッチを乱暴に叩く。二人は階段を駆け下りていき、オレは窓から屋根へと登る。オレの足の早さだと逃げ切れないのは分かっているからな。砂の中からすぐに這い出せる様に出来るだけ上にいる必要があるのだ。さて、二人は逃げ切れてないだろうな。魔力や光力を使った罠は作動しないだけで、普通の落とし穴は作動するから。どっちかが引っかかってるだろうな。
足場が崩れ、宙に舞いながら目を閉じて深く息を吸い込んで埋まる覚悟をする。この身体なら多少の無茶が出来るからな。
そして砂に埋もれながら面白いアイデアが思い浮かぶ。それをなんとか形にする為にもとっとと這い出るか。
side out
後書き
次はサイラオーグとのレーティングゲームですね。どういう風に試合を組み立てるのか悩みますね。
その前に雷帝の方と、ネタ倉庫にプリニーと匙君のを更新かな。
最近感想が無くて若干寂しいです。このまま突き進んで良いのか悩みます。
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