戦え!!正義の兄弟戦士ジャスティスカイザー
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第九話 大室中佐!格闘茶道!!その十四
「ミスしろよ、ミス」
「作法間違えろよ」
「何で付け焼き刃でミスらないんだよ」
「そこは失敗するのがお約束だろ」
「何でそうならないんだよ」
今回もあからさまに敗北を願われている二人だった。
「大室さんがミスしないことは当然だけれどな」
「凄い丁寧な動きだな」
「しかも綺麗ね」
「ええ、まさに茶道の理想」
「侘寂があるわ」
それを具現化していた、大室の茶道の作法は。
見ていてそこに美を見られた、誰もが彼のそれを見て唸った。
「見事だ」
「あの作法には誰も適わない」
「付け焼き刃のあの連中はともかく」
「師範の人でもとてもあそこまではなれないわ」
「まさに美」
「日本の美が今ここにあるんだな」
世界の者が恍惚とさえなっていた、彼のそれを見て。
そしてだ、誰もが確信した。
「ジャスティスカイザーなんかめじゃない」
「あんな連中地球の前の塵だよ」
「大室さん凄過ぎるぜ」
「完璧なんてものじゃない」
「茶道そのものよ」
そこまで凄いというのだ、そして。
二人もその大室の茶を飲みながらだ、こう言った。
「ちっ、これはまずいな」
「相手がミスする筈がねえぞ」
作法をしくじることはないというのだ。
「いずれは俺達がミスをする」
「そうなれば負けだ」
「とはいっても下手に動くとな」
「作法ミスで負けるのは俺達だ」
「そうなっちまうぜ」
「どうすればいいんだ」
二人は小声で囁いて話し合った。
「一体な」
「どうすればいい?」
「ここを動かず奴にミスをさせるには」
「どうすればいいんだ」
二人は必死に考えた、そして。
二人当時にだ、閃きと共に言った。
「これしかないな」
「思いついたな」
「ああ、御前もだな」
「これしかないだろ」
二人で話してだ、そしてだった。
彼等が茶を淹れる時にだ、尚武がだ。
茶の中にこっそりと、ほんの一摘みだけだった。何処からかそれを出して。
茶に含めさせた、それから。
茶を淹れて大室に出す、そうして。
彼はその茶を飲んでだ、僅かにであるが。
茶を飲むその時に顔を強張らせた、そして。
茶を口から離してだ、その瞬間にこう言った。
「私の負けだ」
「えっ、何で!?」
「一体何があったんだ!?」
「大室さんが自分から負けを認めるなんて」
「どういうことよ」
「私は口を離してしまった」
茶を飲んでいる最中にだ。
「それは作法に反する、だからだ」
「それで、ですか」
「大室さんの負けですか」
「じゃあジャスティスカイザーがですか」
「勝ったんですか」
「そうなる」
まさにというのだ。
「この茶には僅かにだが」
「おうよ、山葵よ」
「山葵入れたんだよ」
ジャスティスカイザーの二人はここでチューブ入りの山葵を出して誇らしげに言う。
「山葵入れるなとか書いてないよな」
「作法にはないよな」
「だからそれを入れてな」
「中佐の作法違反を誘ったんだよ」
茶とは違う異物、それも辛いそれに驚いて湯飲みから口を離す様に仕向けたのだ、二人の今回の作戦はこれであった。
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