美しき異形達
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第三十一話 相性その十二
「私達は皆。顔立ちや髪の毛の色、背丈やスタイルが違っていても」
「何か一緒のところがあるのかい?」
「皆裸になって一度にいてわかったわ」
まさに今この時にというのだ。
「左手の肩、少しだけれど」
「肩かよ」
「そう、水着にも隠れていたけれど」
その紐にさえ隠れる小ささだというのだ、だがだった。
薊も他の面々もだ、自分の方を見てこう言った。
「?痣かよ」
「今気付いたけれど」
「それぞれの北斗七星の符号が」
「ありますね」
「それも肩の最も見えにくいところに」
「そうね、私も今気付いた位よ」
まさにというのだ。
「そして多分ね」
「鈴蘭ちゃんと黒蘭ちゃん達もか」
「ええ、あるわ」
その痣がというのだ。
「けれど。この痣はね」
「薄いしな」
「そうそう気付くものではないわ」
「あたしにしても今気付いた位だからな」
十七年生きてだ、ようやくだった。他の誰にも指摘されたこともない。
「こんなこともあるんだな」
「そうね、けれどこの符号は」
「何だよ、これ」
首を傾げさせて言う薊だった。
「自然に出来たのじゃないよな」
「そう思うのが普通ね」
「だよな、何だよ本当に」
「訳がわからないわね」
「不自然なことが揃ってるな」
薊はつくづくといった口調で述べた。
「本当にな」
「そうね、ただ」
「ただ?」
「このことも謎としてね」
「考えていくべきか」
「そう思うわ、それでだけれど」
ここまで話してだ、そしてだった。
菖蒲はあらためてだ、一同にこう言った。
「今ここで幾らお話しても答えは出ないから」
「それでなのね」
裕香が菖蒲に応える。
「お風呂から出た後は」
「食べましょう」
菖蒲もこう言うのだった。
「白浜の海の幸をね」
「そうね、楽しみにしてるんだし」
「私も海の幸はね」
「菖蒲ちゃんも好きなのね」
「特にお刺身がね」
これがというのだ。
「好きだから」
「じゃあお風呂から出て」
「食べましょう、そろそろ晩御飯の時間よ」
待ちに待ったそれだというのだ。
「それじゃあね」
「行きましょう」
こう話してだ、そしてだった。
七人は温泉から出てそうして刺身や貝のつぼ焼き、それに海草料理に吸いもの等を楽しんだ。そうして。
酒も飲みだ、薊は上機嫌で言った。
「美味いよな、あと和歌山だから」
「梅干もあるわよ」
「だよな」
薊は裕香が差し出してくれたその梅干を見て笑顔で応えた。
「これも忘れたら駄目だな」
「そう、これでお酒飲んでもね」
「いいんだよな」
「そう、実際に私もさっきね」
見れば裕香の皿の上には梅干の種がある、それが何よりの証拠だ。
「一粒食べて飲んでみたけれど」
「美味かったんだな」
「やっぱりお酒と梅干はね」
この組み合わせはというのだ。
「いけるわ、そして和歌山の梅干はね」
「絶品か」
「美味しいわよ」
太鼓判を押した言葉だった。
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