美しき異形達
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第三十一話 相性その七
「何時まで遊ぶ?」
「五時位までじゃね?」
薊はこう裕香に答えた。
「暗くなるまでに帰ろうぜ」
「そういうことね」
「ああ、だからさ」
「五時になったら帰って」
「それで旅館でお風呂入ってさ」
「御飯食べて」
「白浜の海の幸と酒楽しもうぜ」
裕香に笑顔で言うのだった。
「そうしようぜ」
「海の幸ね」
「白浜って色々美味いものあるだろ」
「ええと、サザエに?」
裕香はまずこれを挙げた。
「それとウツボよね」
「怪人じゃねえよな」
「ええ、さっきの怪人とは別にね」
「ここウツボも食うんだよな」
「白浜名物よ」
そのウツボ料理がというのだ。
「これが結構有名なのよ」
「美味しいんだな」
「そうみたいよ」
このこともだ、裕香は薊に話した。
「だからね」
「それを食ってか」
「お酒も飲んでね」
そして、というのだ。
「ゆっくり楽しもう」
「風呂もな」
「そうそう、そういえばお風呂だけれど」
ここで裕香はあることに気付いた、そうして薊達に言った。
「皆大丈夫?日焼けは」
「ああ、日焼けな」
「日焼けでひりひりとかしない?」
「皆大丈夫みたいよ」
菖蒲は皆を見回してから裕香い答えた。
「そのことはね」
「日焼け止めクリームを塗って」
「それは裕香さんも同じね」
「うん、私もね」
自分もだとだ、裕香は菖蒲に答えた。
「実際にね」
「さもないとね」
「日焼けするからね」
「日焼けしたら後が大変なのよね」
向日葵も笑って言う。
「痛くて」
「そう、だからね」
「日焼け止めは欠かせないわね」
「海やピールで泳ぐ時はね」
「うん、お肌が白い方がいいってこともあるけれど」
「そのお肌だけれど」
ここでだ、裕香はこうしたことも言った。
「実は私日焼けしてもいいのよ」
「それ自体はいいの?」
「うん、別にね」
そう考えているというのだ。
「海も大好きだし」
「海はあれですね」
桜が裕香に言って来た、彼女の今の言葉を受けて。
「裕香さんはずっと山奥におられたので」
「うん、ずっと海に憧れていたからね」
「それで、ですね」
「奈良は海がないのよ」
奈良県の特徴の一つだ、盆地と山しかない、それが奈良県だ。
「まして私のところなんで物凄い山奥だったから」
「それで、ですね」
「だからずっと海に憧れてたのよ」
それで海が好きだというのだ。
そしてだ、裕香は日焼け自体に抵抗がないこともだ。皆に話した。
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